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■2021年から圧巻の連続20連勝で王座に
ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)のワークスチーム「ヤマハ・ファクトリー・レーシングチーム(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)」に所属する中須賀克行選手が、2輪ロードレースの国内最高峰「MFJ全日本ロードレース選手権」のJSB1000クラスで、2022年シーズンの年間チャンピオンを獲得しました。
2022年8月18日に開催された第7戦スーパーバイクレース in 岡山(岡山国際サーキット)で中須賀選手は、独走で勝利し開幕から10連勝を達成。しかも、2021年シーズンから数えると20連勝という偉業も達成し、自身11回目の王座に。
また、ヤマハにとってもJSB1000の年間チャンピオンは、5年連続となります。
●最新のモンスターマシンで競うクラス
2輪ロードレースの国内最高峰が「MFJ全日本ロードレース選手権」のJSB1000クラスです。
ヤマハをはじめ、ホンダやスズキ、カワサキといった国内4メーカーはもちろん、イタリアのドゥカティ、アプリリア、ドイツのBMWといった海外メーカーなどが市販する最新の1000ccスーパースポーツなどをベースに、200ps以上を発揮するモンスターマシンたちが速さを競うシリーズです。
参戦するライダーも、世界レベルのテクニックを持つトップライダーばかり。日本のロードレースの中でも、まさにトップ中のトップといえるマシンとライダーが闘うレースなのです。
ちなみに、中須賀選手がこのクラスで乗るのは、ヤマハのワークスマシン「YZF-R1」。997ccの水冷4ストローク4気筒を搭載し、ノーマルでも最高出力200psを発揮するヤマハ製ロードバイクのフラッグシップです。
●ヤマハにとっても5連覇
中須賀選手は、JSB1000クラスに、2005年から参戦しているベテランライダーです。2006年にはヤマハトップチームの「YSP Racing Team sponsored by PRESTO Corporation」に加入し、2008年に初のチャンピオンを獲得すると、2009年にも連覇。
さらに、2012〜2016年には5連覇を達成。その後も、2018年、2019年、2021年にチャンピオンに輝いています。
特に、2021年シーズンの中須賀選手は、シーズン全勝の10連勝で自身10回目のチャンピオンに輝き、史上初となる記録を達成しました。
続く2022年シーズンでも、活躍が期待されていましたが、結果は、前述の通り、開幕から第7戦までをすべて優勝し、連勝記録を20に更新。そして、最終戦を待たずして、見事に11回目のチャンピオンに輝いたのです。
なお、JSB1000クラスの年間チャンピオンは、2018・2019・2021・2022年に中須賀選手、2020年に野左根航汰選手がそれぞれ獲得していることで、ヤマハにとって5連覇を達成したことになります。
●スタートダッシュを決めて独走優勝
チャンピオンを決めた第7戦は、台風の影響が心配される中で開催。20周で争われる決勝で中須賀選手は、ポールポジションから好スタートを決め、ホールショットを奪取。その後も、1分31秒台の好ラップタイムをキープし、徐々に後続を引き離していきます。
特に、9周目以降は、2位を走る作本輝介選手(ホンダ)のラップタイムが1分32秒台に落ちてきたのに対し、中須賀選手はほとんどの周回で1分31秒台を維持したことで、独走態勢に。全周回をハイアベレージで走り、見事に優勝を決めます。
なお、中須賀選手は、レース後に以下のようなコメントを発表しています。
「まず、今年もチャンピオンを獲得できてホッとしています。最終戦の3レースを残してチャンピオンを取ることができましたが、一戦一戦、しっかりと準備を進めて戦えたことが、好成績につながりました。
もちろん、毎レースでしっかりと戦えるマシンに仕上げてくれたチームスタッフには本当に感謝しています。
今年は岡本裕生選手がチームに加わり、吉川監督からは、野左根選手のときよりも一歩踏み込んだ形で育成に関わってほしいと頼まれました。
しかし、2人で走っていると新しい発見があり、それが自分の進化にもつながっています。もちろん、レースで負けられないというプレッシャーも出てきて、これもいい形で自分を追い込むことができました。
改めて、気持ちよくレースに送り出してくれるヤマハ発動機のスタッフとチームスタッフ、私のレース活動を支えてくれている家族に感謝するとともに、応援してくれるファンの皆さん、スポンサーの皆さんに、今年もチャンピオン獲得の報告ができることを大変うれしく思います」
今や全日本JSB1000クラスの絶対王者ともいる中須賀選手とヤマハですが、2023年シーズンにはどんな活躍を見せてくれるのか、今から楽しみですね。
(文:平塚直樹)