■トップを見守りながらも緊張感のピット
8月27日(土)、28日(日)に三重県の鈴鹿サーキットで開催された、2022 AUTOBACS SUPER GT第5戦 FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE。8月28日(日)に決勝レースが行われました。
既報の通り、優勝は4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)となりました。以前の優勝が2017年の開幕戦岡山で、実に5年ぶりの優勝ということになります。
前戦、第4戦富士100LAPレースでは終盤、トップを走りながらもタイヤトラブルで下位に沈んでしまうという不幸に見舞われたグッドスマイル 初音ミク AMG。
その印象が色濃く残っているのか、第5戦鈴鹿も終盤、トップのまま迎えたラスト3周となっても、ピットガレージでの安藝代表、片岡龍也選手にはトップを走っているという浮かれた表情は一切ありません。
レースクイーン、レーシングミクサポーターズ2022のメンバーも、トップを走るグッドスマイル 初音ミク AMGを祈るような目で見守ります。
この間、ヘアピンでGT500の12号車 カルソニック IMPUL Zが17号車 Astemo NSX-GTのインを突き、トップに躍り出るとグランドスタンドでは大歓声が起こります。そんな喧噪も、この緊迫した状況のピットガレージの空気を変えることはありません。
レースクイーンのメンバーの中では唯一、5年前の優勝を知る荒井つかささんは、涙ぐみながらこのレースの優勝を祈ります。
そしてファイナルラップ。いよいよ優勝を確信したのは、マシンがスプーンコーナーを超えて西ストレートに差し掛かったあたり。ここで片岡選手はゆっくりのとレーシングスーツの襟を締め、マシンと谷口信輝選手を迎えるためにサインガードへと向かいます。
チェッカーの瞬間。サインガードのフェンスからマシンに手を振る片岡選手と安藝代表。
ここで初めて、安藝代表と片岡選手に安堵の表情が浮かびます。
また、レースクイーンはじめピット全体が歓喜の声に包まれる瞬間でもありました。
●実は鈴鹿で初優勝。片山右京監督も喜びの声
優勝したマシンはGT300、GT500ともにグランドスタンド側に設けられたパルクフェルメへと向かいます。
片岡選手と片山監督は、このパルクフェルメでマシンと谷口選手を迎えます。
2016年まではわりと見慣れたはずのこの光景だと思われましたが、実は初めて見る光景だったのです。2008年にデビューしてから15年目にあたる今年、なんとこのレースが鈴鹿で初めての勝利となったのです。
5年ぶりの優勝が鈴鹿初勝利! チームにとってはダブルでうれしいレースとなりました。
表彰式を前に片山右京監督は、「いやぁ、長かった。本当にやっと勝てましたよ」と、安堵と喜びの声を聞かせてくれました。
そして迎えた表彰式。ここで金の鹿とオートバックストロフィーを授与されたドライバー、谷口選手と片岡選手。
しかしグッドスマイルレーシングのサポーターである個人スポンサーの方々は、この表彰式ではまだ優勝を確信していません。
なぜなら、2013年の鈴鹿1000kmで、2位から再車検不合格により失格…を味わっているからです。
そんな再車検も無事合格。その報がSNSに拡散されると、多くの個人スポンサーの方々が優勝を祝うコメントを発します。
5年ぶりの優勝を果たしたグッドスマイル 初音ミク AMG。待ち望んでいたファンもその喜びをしっかりと噛みしめています。そんなファンの方々と共に臨む第6戦SUGO。
魔物が棲むというスポーツランドSUGOでも、この第5戦でのチームとファンがひとつになった気持ちがあれば魔物も逃げてしまうかもしれません。
そんな第6戦SUGOは今週末、9月17日(土)、18日(日)に開催されます。
(写真・文:松永 和浩)
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https://clicccar.com/2022/08/31/1215190/