まるでフランス版クラウンクロスオーバー。シトロンC5 Xの三位一体デザインとは?【クルマはデザインだ】

■シトロエンの伝統を踏まえた独創的フラッグシップ

日本人デザイナーがインテリアを手掛けたシトロエンの「C5 X」が話題です。美しい素材感に溢れた内装は魅力的ですが、もちろんフラッグシップらしいエクステリアも見所満載です。

今回はそのエクステリアデザインについてあらためて検証してみましょう。

C5X・メイン
セダンとワゴン、SUVを組み合わせたまったく新しいスタイルの提案

●3つのボディスタイルを融合した最先端デザイン

シトロエン自ら「大胆で革新的」と謳うボディは、セダンとワゴン、SUVを組み合わせたもの。

実車を見ると、セダンとしてはキャビンが広く、ワゴンとしてはスマートで、SUVとしては背が低いと、まさに「いいとこ取り」のスタイルです。6月に発表されたプジョーの新型「408」との近似性も感じますが、新型「クラウン クロスオーバー」とも被っていて、これぞ流行の最先端ボディといったところ。

C5X・フロント
C4に準じるフロントグリルは、より低いボディにマッチしている

2016年発表のコンセプトカー「CXPERIENCE CONCEPT」をベースとするV字シェイプのフロントは、先に発売された「C4」と同じ表現ですが、より低いフロントエンドでの納まりのよさが印象的です。また、グリルのボトムに置かれたクロームパーツが高い車格感を表現。

ボンネット上の「削いだような」キャラクターラインは、C4や最近のプジョー車にも見られる手法で、アクセントでありつつ、フロントセクションの過度なボリューム感を抑える効果もあります。

●長いボディを緩ませない工夫

C5X・サイド
キックアップしたベルトラインと、張りのあるショルダー部が特徴

サイド面は、豊かなショルダーラインと、その前後の大きく張り出したフェンダーの組み合わせが特徴。リアのベルトラインをキックアップさせてフェンダーの抑揚をより大きく見せる手法も含め、基本造形はC4と同じ考え方です。

一方、サイド面におけるC5 X独自の造形はふたつ。まず、前後に伸ばした変形のホイールアーチは、恐らく4805mmの長いボディに対応させることと、SUVの力強さを示したものでしょう。

サイドシル上部の「切り欠き」はそれ自体珍しくなく、たとえばプジョー「308」にも見られますが、これもまた広大なサイド面の引き締め役としての造形です。

ちなみに、ルーフに沿って流れるクロームラインはアクセントでありつつ、同時に上級車感も醸し出しているようです。

●伝統を踏まえつつ、最新の流行も盛り込む

C5X・リア
ルーフからの流れがスポーティなリアは、サイドに回り込んだランプが特徴的

リアビューでは、上下ふたつのスポイラーを持つテールゲートが特徴ですが、ここから張りのあるリアパネルへの流れが美しく、実にスポーティ。コンビランプはC4よりスマートで長く、サイドへの回り込みも一層伸びやかで、長いボディのリアエンドをしっかり受け止めています。

さて、車名のXは「CX」に始まるシトロエンのブランドの系譜を継承しているとされます。たしかに、流行のSUVルックの中にかつての名車のエッセンスが見え隠れしますが、ただ、どちらかというと「クロスオーバー」の意味の方が大きく感じられます。

もちろん、それは決して悪い話ではありません。これまで、シトロエンのフラッグシップがヒット車になることは極めて稀でしたが、C5 Xがその突破口になる可能性を示しているからです。

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

すぎもと たかよし

すぎもと たかよし 近影
東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、クルマも最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。