新車で買える国産の「原付二種」と「軽二輪」、ラインアップやサイズ、性能などはどう違う?

■スクーターやスポーツモデルの違いを比較

初心者からベテランライダーまで、幅広い層に支持を受けていることで、最近人気なのが「軽二輪」と「原付二種」。

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
ヤマハ・MT-25

どちらも車検がないなどで維持費が安く、比較的コンパクトな車体でもあり、誰にでも扱いやすいことが魅力。

通勤・通学や買い物といった日常の足から、ちょっとしたツーリングまで、幅広い用途で使うユーザーが増えています。

また、これらのバイクには、スポーツバイクやスクーターなど、さまざまなボディタイプがあり、多様なニーズに応えるモデルが目白押し。

特に、初心者ライダーなどは、どんなバイクを選ぶか迷ってしまう人もいるでしょう。

そこで、ここでは軽二輪と原付二種には、主にどんなモデルがあり、サイズや性能などにどんな違いがあるのかなどを比較。

ホンダヤマハスズキカワサキといった国内4メーカーが揃える、新車で買える現行モデルを例に紹介します。

●原付二種と軽二輪で似ているモデル

原付二種と軽二輪では、ラインアップされているモデルについても、似ている点と違う点があります。

まず、似ているのは、どちらもカウルレスのネイキッドバイクとスクーターを揃えていること。

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
スズキ・GSX-S125 ABS

たとえば、ネイキッドバイクでは、軽二輪の場合、ホンダが「CB250R」、ヤマハが「MT-25」、カワサキが「Z250」、スズキでは「ジクサー250」などがあります。

対して、原付二種のネイキッドバイクでは、ホンダが「CB125R」、カワサキが「Z150プロ」、スズキが「GSX-S125 ABS」などを用意します。

また、軽二輪のスクーターでは、ホンダが「フォルツァ」や「PCX160」、ヤマハが「NMAX155」や「XMAX」、スズキが「バークマン200ABS」などをラインアップ。

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
ヤマハ・シグナス グリファス

一方、原付二種のスクーターには、ホンダが「PCX」、ヤマハでは「NMAX」や「シグナス グリファス」、スズキには「アドレス110」などがあります。

●原付二種と軽二輪のラインアップの違い

軽二輪と原付二種のラインアップで大きく違うのが、スーパースポーツ。

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
ホンダ・CBR250RR

たとえば、国内4メーカーのラインアップでは、軽二輪の場合、ホンダが「CBR250RR」、ヤマハが「YZF-R25」、カワサキでは「ニンジャZX-25R」、スズキは「GSX250R」などを用意します。

一方、原付二種では、スズキが「GSX-R125ABS」を設定しているのみ。スーパースポーツでは、圧倒的に軽二輪の方がモデルが豊富です。

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
スズキ・GSX-R125ABS

また、ツアラーモデルも、軽二輪には、ホンダの「CRF250ラリー」やスズキの「Vストローム250ABS」、カワサキの「ヴェルシス-X250ツアラー」がありますが、原付二種には同様のモデルはありません。

ほかにも、オフロードモデルでは、軽二輪の場合、ホンダが「CRF250L」など、カワサキが「KLX230S」などを用意しますが、このジャンルにも原付二種には似たようなモデルは現在ありません。

ただし、原付二種には、たとえば、ホンダの「スーパーカブ110」や「クロスカブ110」「ダックス125」など、昭和レトロの雰囲気を持つモデルがあります。

これらモデルは、昔を知るベテランはもちろん、若い世代にもデザインなどがオシャレなイメージに感じられるようで、近年大ヒットしています。

また、高い実用性や燃費の良さも魅力で、日常の足からツーリングまで、幅広い用途で使うユーザーが増えています。

●スポーツバイクのスペックや性能を比較

このように、軽二輪と原付二種では、同じような種類のバイクと、全くタイプが違うバイクがありますが、特に、タイプが似たバイクの場合、スペックや性能などにどんな違いがあるのでしょうか?

たとえば、ホンダのネイキッドモデル「CB250R」と「CB125R」。どちらもホンダ伝統のCBシリーズに属するモデルですが、車体や搭載するエンジンなどには違いもあります。

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
ホンダ・CB250R

まず、CB250R。

車体サイズが全長2020mm×全幅805mm×全高1045mmで、シート高795mm。車両重量は144kgです。

エンジンは、249cc・水冷4ストローク単気筒で、最高出力27ps/9500rpm、最大トルク2.3kgf-m/7750rpmを発揮します。

一方のCB125R。

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
ホンダ・CB125R

車体サイズが全長2040mm×全幅820mm×全高1055mmで、シート高815mm。車両重量は130kgです。

エンジンは、124cc・水冷4ストローク単気筒で、最高出力15ps/10000rpm、最大トルク1.2kgf-m/8000rpmを発揮します。

こうやって比較してみると、CB125Rの車両重量は14kgも軽いことが分かります。そのため、駐車場などでの取り回しは、CB125Rの方がいいことが推測できます。

ただし、シート高はCB250Rの方が低いですから、CB125Rよりも足着き性は意外によさそうですね。

エンジンは、どちらも単気筒ですが、排気量が違うこともあり、パワーはCB250Rの方が上です。

ただし、法規上、CB250Rは高速道路を走行できるのに対し、CB125Rは一般道のみですから、街乗りだけで比較すると、車体が軽いCB125Rも十分に扱いやすいといえるでしょう。

ちなみに、価格(税込)は、CB250Rが56万4300円なのに対し、CB125Rは47万3000円。CB125Rの方が10万円近く安い価格に設定されています。

●スクーターのスペックや性能を比較

今度は、スクーターで、軽二輪と原付二種を比較してみましょう。たとえば、ヤマハの軽二輪スクーター「NMAX155」と原付二種スクーターの「NMAX」では、どんな違いがあるのでしょうか?

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
ヤマハ・NMAX155

まず、軽二輪のNMAX155。

車体サイズが全長1935mm×全幅740mm×全高1160mmで、シート高765mm。車両重量は131kgです。

エンジンは、155cc・水冷4ストローク単気筒で、最高出力15ps/8000rpm、最大トルク1.4kgf-m/6500rpmを発揮します。

一方、原付二種のNMAX。

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
ヤマハ・NMAX

車体サイズが全長1935mm×全幅740mm×全高1160mmで、シート高765mm。車両重量は131kgです。

エンジンは、124cc・水冷4ストローク単気筒で、最高出力12ps/8000rpm、最大トルク1.1kgf-m/6000rpmを発揮します。

NMAX155とNMAXでは、車体が共通のため、サイズやシート高、車両重量は同じ。専用アプリ「Yamaha Motorcycle Connect(Y-Connect)」をインストールしたスマホとバイクが連携し、スマホに車両情報を表示できるなど、さまざまな機能が使える利便性も同じです。

ただし、パワーは、より排気量が大きいNMAX155の方が若干余裕がありますね。また、高速道路もNMAXは通行不可なのに対し、NMAX155では走行が可能となります。

一方、燃費性能では、WMTCモード値でNMAX155が44.6km/Lなのに対し、NMAXは46.9km/L。燃料タンク容量は、どちらも7.1Lですから、航続距離的には若干ながらNMAXの方がいいようです。

あとは価格(税込)。NMAX155は40万7000円で、NMAXは36万8500円。この約4万円の差をどう考えるかですが、たとえば、通勤・通学や買い物など、街乗りの普段使いがメインならば、安くて燃費もいいNMAX。

普段使いもするけれど、休日にはツーリングも楽しみたいのであれば、走りにより余裕があり、高速道路も走行できるNMAX155、といった感じではないかと思います。

原付二種と軽二輪のラインアップやサイズ、性能の違い
軽二輪は高速道路を走れることも魅力(写真はホンダ・フォルツァ)

いずれにしろ、軽二輪と原付二種は、前述の通り、それぞれのジャンルにしかないモデルもあるため、自分の好みや使い方、予算などに応じて選ぶのが一番だといえるでしょう。

車検などがなく、比較的安い維持費で乗れることは、あまり変わらないですからね。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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