■名前のLCは名車フロンテの型式が由来となっている
スズキのアルトラパンは、軽自動車のベーシックカーであるアルトの派生モデルです。シンプルさが特徴のアルトに対してアルトラパンは、女性をメインターゲットとしたこだわりのデザインや機能、装備を採用したモデルです。
今回はこのアルトラパンに追加されたラパンLCに試乗することができましたので、インプレッションを紹介します。
現行型アルトラパンは、2015年6月に登場しました。女性がクルマに求めるものの調査・分析を行い、企画から開発、デザイン、機能・装備、アクセサリーの設定にいたるまで女性視点をふんだんに盛り込んだモデルとなっています。
アルトラパンの外観デザインは、箱型のスタイリングに、丸みを加えた「まる しかくい」フォルムを実現しています。
インテリアは、ソファやテーブルといったモチーフを取り入れ、自分の部屋のようにくつろげる空間を演出しているのが特徴です。
シートにも、質感や柄の異なる、ソファのような3種類のシートを設定。上級グレードにはアクセントとしてパイピング加飾をほどこしています。
また天井の内装材には、キルティングをイメージしたパターンを施しています。
快適装備として、肌や髪にやさしい弱酸性の「ナノイー」をエアコン吹き出し口から放出するフルオートエアコンも採用。UV&IRカットガラスをフロントドアに採用するなど、ホスピタリティの高さが多くの女性に支持されている理由でしょう。
また、取り回しの良さの指標となる最小回転半径は、4.4mを実現。そして、狭い駐車場などでの乗り降りをスムーズに行えるようにフロントドアには中間2段ストッパーを採用するなど細やかな配慮が行われています。
運転支援システムは当初はレーダーブレーキサポートでしたが、2019年に行った一部改良で、車両や歩行者を検知する衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」や、後退時の衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」などを全車に標準装備するなど安全性が向上しています。
2022年6月にアルトラパンは一部改良を行うと同時に新グレード「アルトラパンLC」を追加しました。
一部改良のポイントは、夜間の歩行者も検知するデュアルカメラブレーキサポートを全車に標準装備したこと。
全方位モニター用カメラパッケージ装着車には、すれ違い支援機能や左右確認サポート機能。そして3Dビュー表示機能を追加しています。
装備面では、USB電源ソケット(タイプAとタイプC)を全車に標準装備したほか、ナノイーX搭載のフルオートエアコンと360°プレミアムUV&IRカットガラスを一部グレードに追加。
さらに7インチのディスプレイオーディオを採用し、バックアイカメラ映像の表示や様々な車両情報の確認を可能としました。
そして新グレードのアルトラパンLCのLCはライフチェンジの頭文字です。
さらに、アルトラパンLCはスズキの名車フロンテをオマージュしており、このフロン手の型式がLC10だったことからLCと付けられています。
アルトラパンLCはアルトラパンLとXをベースに外観はメッキフロントグリルガーニッシュ、メッキヘッドランプガーニッシュ、LCエンブレム付メッキバックドアガーニッシュ、LEDサイドターンランプ付きドアミラー(Xグレードのみ)。
そして専用デザインの14インチアルミホイール&フルホイールキャップを採用しています。
インテリアは、レザー調&ファブリックシート表皮、本革巻きステアリング、シックインパネを採用し、個性を主張しています。
今回試乗したのは、アルトラパンLC X。車両本体価格は154万5500円で、スタンダードプラス8インチナビゲーション17万4405円をはじめ、8つのオプション装備を装着し、総額193万335円となっています。
アルトラパンLC に乗って、まず感じたのが視界の良さです。前席のベルトラインを下げて広いガラスエリアの確保や低く抑えたダッシュボード高などにより良好な視界と開放感を両立しています。
さらにステアリングにはチルト機能、シートにはリフター機能が装着されているので、ドライバーの体格に合わせてベストなドライビングポジションを設定することができます。
また、チェックをあしらったシートやツートーンのステアリングなどによってインテリアは上質な空間に演出されています。フロントシートにはヒーター機能も採用されており、寒い朝などでもすぐに快適に運転できるように工夫されています。
ハンドルの操作などは軽さを強調したセッティングになっているのをはじめ、足回りもソフトな乗り味がなされているのが特徴です。
強めにアクセルを踏んだりすると、ボディの揺れは大きくなりますが、メインターゲットの女性のやさしい操作を考えると、これくらいソフトな設定のほうが好まれるかもしれません。
名車フロンテをオマージュしたアルトラパンLC。最新の安全装備が充実していますので、かつてフロンテに乗っていたドライバーの皆さんにもオススメできるモデルです。
(文・写真:萩原 文博)