ルノー「ルーテシアE-TECH HYBRID」渋滞の低速時もスムーズ、日本にもマッチする走りも魅力なフルハイブリッド

■輸入車唯一フルハイブリッドのWLTCモード燃費は、25.2km/L

新型クロスオーバーSUVのルノー アルカナに続き、Bセグメントハッチバックのルーテシアに追加されたフルハイブリッド「E-TECH HYBRID」。ルノー独自のフルハイブリッドであり、現時点ではアルカナ、ルーテシアに搭載されている輸入車唯一のフルハイブリッドになります。

ルノー ルーテシア
ルーテシアE-TECH HYBRIDのエクステリア

搭載されるエンジンは67kW(91ps)/144Nmを発揮する1.6Lの直列4気筒NAで、メインモーターと「HGS(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)」という2モーターを積み、電子制御式のドッグクラッチマルチモードATがこれらをつないでいます。

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ルーテシアE-TECH HYBRIDのエンジンルーム

メインモーターは36kW(49ps)/205Nm、サブモーターであるHGSは15kW(20ps)/50Nm。なお、WLTCモード燃費は、25.2km/Lと国産ハイブリッドと遜色のない数値を叩き出しています。

同ハイブリッドの見どころは、犬の歯のように凹凸形状が噛み合うドッグクラッチ。ドッグクラッチは、ラリーやF1などのモータースポーツシーンでお馴染みで、市販車に投入されてこなかったのは、音や振動などの制御が難しいなどの課題があるためと言われています。

ルノーは、サブモーターのHGSを使ってギヤを同期させて音・振動面を解決しています。実際の変速時にもほとんど違和感を抱かせず、モーターによる擬似的なクリープは、少し弱いような気もしますが、極低速域のマナーは上々です。

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ルーテシアE-TECH HYBRIDの走行シーン

後退時もモーターが担い、車庫入れなどの極低速域でもスムーズにこなしてくれます。

一方で、アクセルを強く深く踏み込むと、変速の音やショックが若干伝わってきたり、エンジンが停止した際にわずかに振動を伝えてきたりするシーンもありました。CVTのように無味乾燥なスムーズさとは異なり、ダイレクト感を抱かせる欧州車らしい変速フィールといえるかもしれません。なお、低速域のクセでは、フォルクスワーゲンのDSGの方が独特の「間」があります。

●街中の大半をモーター走行でまかなう

メインモーターは、36kW(49ps)と決してパワフルではないものの、最大トルクは205Nmとかなりの高トルクを発揮。そのため、バッテリー容量が残っていれば、「市街地の約80%をEV走行でまかなう」との謳い文句どおり、多くの速度域でモーター走行が可能です。

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ルーテシアE-TECH HYBRIDの走り

高速道路にシーンを移すと、加速時にはエンジンも始動するものの、100km/hで巡航している際などでも道路状況によってはエンジンが止まり、モーター走行に移行しているシーンもあります。一方で、エンジンの効率が高い高速巡航時では、積極的にエンジンを使い、減速時にエネルギーを回生することで、バッテリーに電気を蓄えて必要な時に活用。

シフトポジションを「B」にすると、エネルギーの回生具合が高まります。バッテリー走行、ハイブリッド走行は頻繁に切り替わる印象です。

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ルーテシアE-TECH HYBRIDのインパネ

ルーテシア E-TECH HYBRIDの車両重量は、1.3Lガソリン仕様の1200kgよりも110kg重い1310kgですが、高速道路の合流時や追い越し時など、大人3人乗車時でも動力性能に大きな不満は抱きませんでした。

さすがに高速域でのパンチ力には限界があるものの、日本の道路事情であればまさに必要十分でしょう。それでもアルカナの1470kgと比べると、160kgも軽く、もちろん、ふた回り近く小さいボディによる軽快感も大きな魅力です。

さらに高速道路では、ルノーの美点である直進安定性の高さを享受できます。ロール制御が自然で、コーナーワークも無理がありません。静粛性の高さも国産、輸入車を含めたBセグメントハッチバックの中でもトップクラスに位置しています。

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ルーテシアE-TECH HYBRIDのレザーシート

一方で、ルーテシアのガソリンエンジン車と同様、足まわりは若干硬め。いわゆるフランス車に期待する猫足を想像すると、意外に思う方もいるはずです。ライバルでは、プジョー208(e-208含む)のロードフォールディングスの高さと乗り心地のバランスが目を惹きますが、操舵に対する素直な反応では、ルーテシアの方が好ましく感じるケースもあります。

●純ガソリンエンジン車との違い

ルーテシアE-TECH HYBRIDは、ルーテシアのオーナーやファンでない限り、遠目では純ガソリンエンジン車との見分けがつかないはず。E-TECH HYBRID専用アイテムとして、テールゲートの「E-TECH」ロゴをはじめ、シフトベースにも「E-TECH」のロゴが収まります。

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「ルーテシアE-TECH HYBRID」の専用ロゴ

そのほか、シャークアンテナ、パッケージオプション「レザーパック」(レザーシート+前席シートヒーター)が用意されます。

「レーンキープアシスト(車線逸脱防止支援)」もE-TECH HYBRID専用装備で、道路上の白線や黄線を検知し、車線をはみ出しそうになると、インジケーター表示で警告。必要に応じて、車線を維持するようハンドル操作がアシストされます。作動域は約70~180km/hで、高速道路での安心感、安全性に寄与します。

そのほか、純ガソリンエンジン車と同様に、衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロール(ACC)が備わるほか、車線中央維持のレーンセンタリングアシスト(純ガソリンエンジン車は、インテンス テックパックにのみ標準)が備わるなど、先進安全装備の充実ぶりも目を惹きます。

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トノボード装着時のラゲッジスペース

装備面からも高速道路を使ったロングドライブに駆り出したいのが、ルーテシアE-TECH HYBRIDといえるでしょう。なお、ファブリックシートの価格は329万円で、「レザーパック」の344万円との価格差は15万円あります。

レザーシートは好みにより分かれるものの、前席シートヒーターは冬場のドライブであるとうれしい装備。15万円の差であればシートヒーターも付く「レザーパック」仕様を選びたいところです。

●価格
「ルノー ルーテシア E-TECH HYBRID」:329万円
「ルノー ルーテシア E-TECH HYBRID レザーパック」:344万円

(文:塚田 勝弘/写真:前田 惠介)

この記事の著者

塚田勝弘

塚田勝弘 近影
1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。クルマ、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。