購入価格は「20~49万円」が最多。「軽二輪」と「原付二種」の違いや初心者からベテランまで人気のワケは?

■価格や乗り味が時代にマッチした「軽二輪」や「原付二種」

ベテランライダーはもちろん、若い層の免許取得数が増えるなどで、近年バイク人気が高まっています。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
オリコンのユーザー利用実態調査を紹介(出展:oricon ME)

特に、最近は、51cc~125ccの原付二種や、126cc~250ccの軽二輪が人気といわれていて、初心者からベテランライダーまで、多くの層が購入しているといいます。

では実際に、バイクを購入する人には、どれくらいの排気量や価格帯のバイクを選ぶことが多いのでしょうか?

顧客満足度調査を実施するoricon ME(オリコン エムイー、以下、オリコン)では、バイクメーカー系のバイク販売店と、それ以外のバイク専門販売店を利用してバイクを購入した人を対象にした利用実態調査を実施。その結果を元に、過去3年間でバイクを購入した年齢層や性別、購入価格、排気量などに関する調査レポートを発表しました。

それによれば、特に、初めてバイクを買う人には「軽二輪」と「原付二種」が人気。購入価格は「20~49万円」が最多であることなどが分かりました。

●バイク購入者の最多は50代

今回の調査レポートは、ホンダヤマハカワサキスズキなどを扱うチェーン展開の「メーカー系バイク販売店」と、メーカーや車種を限定しておらず、チェーン展開をしているバイク王やレッドバロンなどの「バイク専門販売店」に関し、オリコンが行った顧客満足度ランキング調査の際、同時に行ったユーザー利用実態アンケートを元にしています。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
バイクを購入した年齢層(出展:oricon ME)

調査は、2022年3月10日~2022年3月18日の期間、全国の16~69歳で、過去3年以内にバイクを購入し、価格を把握している人を対象に実施。サンプル数は「バイク専門販売店」が1315名、「メーカー系バイク販売店」1129名だったといいます。

レポートでは、まず、バイクを購入した年齢層を公開。「バイク専門販売店」と「メーカー系バイク販売店」それぞれの利用者の年齢層を抽出すると、いずれも最多は50代(バイク専門販売店35%、メーカー系バイク販売店39%)で、次いで40代が多い結果(バイク専門販売店27%、メーカー系バイク販売店28%)になったといいます。

また、3番目に多い年齢層は「バイク専門販売店」は30代(17%)なのに対し、「メーカー系バイク販売店」は60代(18%)だったそうです。

これらにより、オリコンでは、「10~20代と30代はバイク専門販売店(での購入)が比較的多く、40代以上はメーカー系バイク販売店(での購入)が比較的多い」傾向にあると分析しています。

●比較的若い年齢層では女性ユーザーが多い

次に、レポートでは、バイクを購入した人の男女別の傾向を発表。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
バイクを購入した人の男女比(出展:oricon ME)

それによれば、「バイク専門販売店」「メーカー系バイク販売店」のいずれも男性が83%、女性が17%で、男性が圧倒的に多いことが分かりました。

ところが、男女別に年齢層を掛け合わせてみたところ、50代以上では男性が比較的多い割合を示したのに対し、10~40代では女性の割合が多い結果に。

これにより、男性は比較的高い年齢層、女性は比較的若い年齢層が、それぞれバイクを購入したことがうかがえるといいます(男女でサンプル数に差があるため、あくまで参考値です)。

●購入価格は「20~49万円」が最多

レポートでは、購入したバイクの価格を聴取した結果も公開しました。

それによれば、「20~49万円」が「バイク専門販売店」(42%)「メーカー系バイク販売店」(35%)ともに最多となったそうです。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
購入したバイクの価格(出展:oricon ME)

一方、「100万円以上」と回答した人の割合は、「バイク専門販売店」では12%だったのに対し、「メーカー系バイク販売店」では28%と大きく差が付いたといいます。

そして、この違いはおそらく、新車購入の割合ではないかとレポートでは推測しています。その根拠は、購入したバイクが新車か中古車かを聞いた結果です。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
新車と中古車の割合(出展:oricon ME)

「バイク専門販売店販売店」ではほぼ半数ずつの回答(新車51%、中古車49%)だったのに対し、「メーカー系バイク販売店」では「新車」と回答した人の割合が88%と多数を占めることに(中古車は12%)。

これにより、特定のメーカーのバイクを購入する人は新車購入の割合が多く、必然的に購入価格も上がる傾向にあることが伺えるといいます。

●軽二輪や原付二種を選ぶ層は幅広い

最後に、レポートでは、過去3年以内にバイクを購入した人のうち、初めてバイクを買った人の割合も発表。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
購入したバイクの排気量(メーカー系バイク販売店、出展:oricon ME)

「バイク専門販売店」は37%、「メーカー系バイク販売店」は28%で、いずれも購入経験者(バイク専門販売店63%、メーカー系バイク販売店72%)の方が多い傾向となったようです。

また、購入したバイクの排気量を購入経験別にみた場合、「今回が初めて」と答えた人は「51cc~125cc」(バイク専門販売店27%、メーカー系バイク販売店26%)と、「126cc~250cc」(バイク専門販売店37%、メーカー系バイク販売店25%)が多い結果に。

一方、購入経験ありと答えた人の場合も、「51cc~125cc」(バイク専門販売店28%、メーカー系バイク販売店27%)、「126cc~250cc」(バイク専門販売店30%、メーカー系バイク販売店20%)は比較的多い傾向にあります。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
購入したバイクの排気量(バイク専門販売店、出展:oricon ME)

ただし、メーカー系バイク販売店の場合は、「401cc以上」も多く、32%と最多になったようです。

これにより、バイクを初めて買う人は51cc~125ccの原付二種や126cc~250ccの軽二輪など、排気量が比較的小さいバイクを選ぶ傾向にある一方、購入経験者では、原付二種や軽二輪といった小排気量と、いわゆる大型バイクが人気を二分していることが伺えます。

●原付二種や軽二輪が時代をけん引?

以上の結果をみる限り、原付二種や軽二輪は、まず、初めてバイクを買う人にとって、多くが選ぶエントリーモデル的ポジションであることが分かります。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
ホンダ・スーパーカブ110

確かに、100万円以上するモデルが多い大型バイクと比べると、原付二種や軽二輪は、価格も手が出しやすいですからね。また、車体がコンパクトで軽いため取り回しもしやすく、足着き性もいいため、初心者でも乗りやすいことも選ばれる要因だと思われます。

一方、バイクの購入経験者では、より走りが余裕で、質感も高い401cc以上の大型モデルも人気ですが、意外にも原付二種や軽二輪を買う人の割合も結構多いことも注目です。

おそらく、これらのジャンルには、例えば、原付二種にはホンダの「スーパーカブ110」や「クロスカブ110」、「ダックス125」など、昭和レトロの雰囲気を持つモデルが多いことも要因でしょう。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
ヤマハ・NMAX

これらモデルは、そのデザインが、昔を知るベテランはもちろん、若い世代にもオシャレなイメージがあることで人気。また、高い実用性や燃費の良さは、日常の足からツーリングまで、幅広い用途で使えることも魅力のようです。

ほかにも、原付二種には、ヤマハの「NMAX」やホンダ「PCX」など、通勤・通学などに最適なスクーターがあるなど、ラインアップが豊富。また、新車でも30万円台〜40万円台で買えるモデルが多いことで、多くの層が購入しやすいことも多くの人が選ぶ理由なのでしょう。

●軽二輪も豊富なモデルを揃える

一方、軽二輪には、例えば、ホンダ「CBR250RR」やヤマハ「YZF-R25」、カワサキ「ニンジャZX-25R」やスズキ「GSX250R」などの250ccスーパースポーツがあります。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
ヤマハ・YZF-R25

これらは、1980年代中盤から1990年代前半に一斉を風靡した、かつてのレーサーレプリカを彷彿とさせるモデル群。

今回の調査で最多だった50代の購入層、当時を知るベテランやリターンライダーに受け入れやすいスタイルです。また、意外に若い世代でも、スポーティなイメージなどで人気が高いといえます。

オリコンのユーザー利用実態調査で軽二輪と原付二種が人気
スズキ・Vストローム250

ほかにも、軽二輪には、ホンダ「CB250」やヤマハ「MT-25」といったネイキッドモデル、スズキ「Vストローム250」やカワサキ「ヴェルシス-X250ツアラー」といったツーリングモデルもあるなど、こちらも多岐に渡るバリエーションを誇ります。

しかも、1000cc超の大型バイクなどと比べると、やはり車体が軽く、取り回しも楽。今回の調査で比較的若い世代に多かった、女性ライダーでも乗りやすいバイクも多いことも特徴だといえます。

今のバイク人気をけん引している原動力のひとつともいえる軽二輪や原付二種。これからも、時代のニーズにマッチした魅力的なモデルの登場に期待します。

(文:平塚直樹

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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