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■「学生フォーミュラ日本大会2022」 3年ぶりの大会開催に向けて
2020年そして2021年と、2年連続コロナ禍の影響で(2020年は開催中止、2021年は車検/動的審査の中止)、開催ができなかった「学生フォーミュラ日本大会」。今年の開催に向けて「学生フォーミュラ日本大会2022報道関係者向け発表会」が、8月2日(水)に静岡県庁でリアルとオンラインのハイブリッドで開催されました。
●世界各国で学生たちが競っているフォーミュラレース
「学生フォーミュラ」は、その名の通り学生たちが実際にフォーミュラマシンを製作するというものづくりを体験しながら、そのアイデアや技術を競うもので、世界各国でほぼ同一のルールで開催されています。
現在はアメリカ・イギリス・イタリア・インド・オーストラリア・オーストリア・オランダ・カナダ・スペイン・タイ・チェコ・ドイツ・ハンガリー・ブラジル・ロシア・韓国・中国・日本で競技会が行われています。
その歴史は古く、1981年にアメリカで開催された「Formula SAE」が始まりです。
学生が自ら小型フォーミュラカーを使ったビジネスの構想をし、それを売り込むという体で、車両の設計からその車両を売り込むプレゼンテーションもしながら、実際に小型フォーミュラマシンを製作。それを用意されたコースで走らせて、車両のデザインや性能評価を行ない、さまざまな角度からの審査が行われるものとなっています。日本国内では、2003年から毎年開催されてきていました。
●20回目となる日本大会の会場と日程。電気自動車クラスが活況
公益社団法人自動車技術会が主催の「学生フォーミュラ日本大会2022-ものづくり・デザインコンペティション-」は、2022年9月6日(火)~10日(土) の5日間にわたって、静岡県袋井市と磐田市にあるエコパ(小笠山総合運動公園)を会場に開催されます。
これまで現地で行われてきた静的審査についてはオンライン開催(デザインファイナル審査のみ現地開催)となり、2022年8月23日~26日(デザイン審査)、29日/30日(プレゼン審査)、31日~9月1日(コストと製造審査)を予定しています。
今回で20回目となるこの日本大会では、69台がエントリー(7月11日時点でこのうち4校がエントリー辞退をしています)。これまではアジア地域や欧州での強豪校の参戦もありましたが、国内からの限定としており、全チームが日本からの参戦となります。
この学生フォーミュラでも、ICV(ガソリン自動車)とは別にEV(電気自動車)クラスが設けられています。最大出力80kW以下、最大交称電圧600VDCというスペックのEVの製作となります。
今回、4チームがICVクラスからEVクラスにクラス変更してエントリーするということで、日本大会過去最大の14校がEVクラスに挑戦するという、EVシフトが加速したことが大きなトピックと言えます。
静岡のリアルでの開催発表会には地元の2校、静岡大学と静岡理工科大学が現在製作中の車両を展示し、オンラインの記者会見にも参加。オンライン参加の大阪大学、名古屋工業大学、京都工芸繊維大学、東京大学、九州工業大学、日本大学理工学部らとともに、チームと車両紹介を行いました。
静岡大学(Shizuoka University Motors)は、2004年から学生フォーミュラに参戦し、今年からEVへクラス替えしたチーム。
過去、EVへクラス変更した最初の年に完走を果たしたチームがないことから、目標は「車検通過と全種目完走」ということですが、この発表会前日に行う予定であった試走が、制御系およびバッテリー系のトラブルが発生したことで断念。さっそくEVの洗礼を受けているという状況でした。
静岡理工科大学(SIST Formula Project)は、大会会場であるエコパに最も近い大学ということで、エコパでの開催を機に発足し、今年で16年目となるチームです。早くからEVクラスへの参戦を始めており、2013年の第11大会からEV部門総合3連覇を果たしています。
今年は解析ソフトを一新し、これまでのパーツごとの解析から車両全体を通した解析が可能となったというこです。
学生フォーミュラ日本大会は、これから合同試走会が開催され、各チームが本番に向けて最終調整を行い、同時に静的審査をオンラインで行いつつ、9月の第2週、エコパで各車両の動的審査に進みます。
(文・写真:青山 義明)