■新型クラウンを上回るバリエーション数があったカローラ
2022年7月15日、新型クラウンがワールドプレミアされました。クラウンの「革新と挑戦」のDNAを受け継ぎつつ、ユーザーの多様な価値観やライフスタイルに寄り添うため、4つのバリエーションを持った新時代のフラッグシップとして刷新されました。
第1弾として、2022年秋ごろに発売予定であるのが、クロスオーバー。セダンとSUVを融合させた革新的なパッケージで、これまでの概念にとらわれない、新たな価値を提供するクルマです。
そして、スポーツ、セダン、エステートを順次追加し、今後グローバルに約40の国・地域に順次展開していきます。
新型クラウンに4つのバリエーションが用意されていることに驚きましたが、過去にはもっと多彩なボディバリエーションを揃えていたモデルがありましたので、そのモデルについて紹介しましょう。
●カローラは兄弟車のスプリンターを加えると合計13タイプ!!
それは1979年に発売されたトヨタカローラです。70型と呼ばれる4代目カローラは、スポーティモデルのGTを豊田章男社長が初めて購入した愛車としても知られているモデルです。
1979年3月に登場した4代目カローラはまず、セダン(2/4ドア)、ハードトップ、クーペ、リフトバックが登場。
そしてバン系(2/4ドア)は5カ月遅れて追加され、さらに1982年にはステーションワゴン(2/4ドア)を設定。合計9つのボディタイプが揃いました。
4代目カローラは歴代モデル中で、最もボディバリエーションが豊富で、1983年3月には生産累計台数1,000万台の大記録を達成しています。
セダン、バン系には上級モデルにしか採用されていなかった丸型4灯式ヘッドライトを採用。またクーペ系には角形2灯式ヘッドランプを採用したほか、スポーティグレードの「GT」と「レビン」には、大型の衝撃吸収ウレタンバンパーを装着しています。
シャシーでのポイントは、リアサスペンションを半楕円リーフスプリングからラテラルロッド付4リンク/コイルスプリングに変更したこと。これによって乗り心地と走行安定性を向上させています。
搭載しているエンジンは、1.3L直4(4K-U)、1.5L直4((3A-U)、1.6直4(2T-GEU)の3機種で、セダンとハードトップにも1.6直4DOHC(2T-GEU)を搭載していました。
さらに1979年8月に1.8L直4(13T-U)、1982年2月に1.8L直4ディーゼル(1C)を4ドアセダンに追加しています。
バンモデルは1979年8月にフルモデルチェンジを実施します。ボデーは2ドアまたは4ドアで、スタンダード(1.3Lのみ)、デラックス、GLの3種グレードを用意しています。
バンモデルのリアサスペンションは、先代から引き継いだリーフ・リジッドを採用。荷物の積載量は2名乗車時がこれまでと同じ400kgですが、5名乗車の場合は250kgと増加しています。
デビュー当初、搭載されているエンジンは1.3L直4(4K-J)と1.6直4(12T-J)の2種類。組み合わされるトランスミッションは4速MTを標準とし、1600GLの4ドアのみ3速ATが選択可能でした。1982年5月の小変更ではヘッドランプがセダンと同じ角型に変更されました。そして、1.6Lのガソリンが廃止となり、1.8L直4ディーゼル(1C)エンジンに替わっています。
1982年に行ったバンの小変更と同時に、70型カローラにワゴンが追加されました。この時期はカローラと同じクラスに、サニーカリフォルニアやシビックカントリーが登場し、ステーションワゴンの注目が高まっていました。
カローラワゴンはバン同様に4ドアとロングデッキと呼ばれる2ドアの2種類を用意。商用車のバンをベースとしているものの、後席の居住性をセダン並みにするとともに、内外装備もセダンに準じたものに仕立てあげられています。
搭載されたエンジンは1.3L直4ガソリンエンジン。ステアリング方式はセダンと同じラック・アンド・ピニオンに変更されていますが、重い荷物を積むことを想定してリアサスペンションはバンと同様のリーフスプリング式リジッドアクスルのままとなっています。
兄弟車のスプリンターは4ドアセダン、ハードトップ、クーペ、リフトバックの4タイプが用意されており、カローラとスプリンターで合計13タイプで展開されていました。
新型クラウンも現在発表されているのは4タイプですが、今後クラウンシリーズとしてさらにミニバンなども設定される可能性があるかもしれません。
(文:萩原文博、写真:トヨタ自動車株式会社)