日産が5代目セレナを発表。自動運転技術の「プロパイロット」を搭載【今日は何の日?7月13日】

■ミニバンの草分けバネットから派生したセレナ

2016(平成28)年7月13日、日産自動車は主力ミニバン「セレナ」をフルモデルチェンジ、5代目に移行することを発表、発売は8月24日から始まりました。最大の注目は、同一車線自動運転技術の「プロパイロット」を採用していることです。

2016年にデビューした5代目セレナ
2016年にデビューした5代目セレナ

●ファミリー・ミニバンの時代を切り開く

初代セレナは、1991年6月にデビューしたファミリユースのミニバン「バネット・セレナ」です。従来の商用車ベースの「バネット」を刷新、前輪を前席の前に配置するレイアウトで、長いホイールベースを実現。これにより、フロントに有効なクラッシャブルゾーンが生まれて安全性が向上、さらに1列目と2&3列目の無駄なスペースがなくなり、広い室内空間を確保することに成功しました。また、2&3列目の対面対座やフルフラット化など、レイアウトの自由度の高さもアピールポイントのひとつでした。

1991年に登場したバネットセレナ(初代セレナ)
1991年に登場したバネットセレナ(初代セレナ)

マルチパーパスなバネット・セレナは、新たなファミリー・ミニバンの時代を切り開いて、人気を獲得しました。

●さらに広く便利になった5代目セレナ、注目されたのはプロパイロット搭載

その後もモデルチェンジしながら進化を続けたセレナですが、この日、4度目のモデルチェンジによって5代目に移行。また同時に採用されたプロパイロットについても、技術発表が行われました。

5代目セレナの広い室内&シートアレンジ
5代目セレナの広い室内&シートアレンジ

5代目はブーメラン型の前後ランプや日産の象徴となっているVモーショングリル、サイドのシュプールラインなどダイナミックなフォルムを採用、個性的なミニバンに仕立てられました。インテリアについては、クラス最大級の室内長と室内幅によって、ゆとりある室内空間を確保。その他にも、Aピラーを細くしてメーター類をスリム化することによる視界の向上や多彩なシートアレンジが魅力でした。パワートレインは4代目同様2.0L直4DOHCエンジンとCVTの組み合わせ、およびマイルドハイブリッドのS-HYBRIDをラインナップ、駆動方式はFFと4WDが用意され、いずれも先代を上回る燃費性能が達成されました。

●ミニバン初の同一車線自動運転技術を採用

プロパイロットの操作画面
プロパイロットの操作画面
プロパイロットの機能
プロパイロットの機能

プロパイロットは、従来から採用されている自動ブレーキやLDW(車線逸脱警報)、インテリジェントパーキングなどに、渋滞時や高速走行時にアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動で制御する同一車線自動運転を組み合わせたシステムです。同一車線の走行なら、ステアリングを軽く握っていれば、ステアリング操作を自動で操作したり、アクセルとブレーキの自動制御によって前走車に追従してくれる便利な運転支援技術です。


プロパイロットは自動運転のイメージが鮮烈すぎたため、完全な自動運転と誤解されるようなこともあったようです。確かに自動運転という表現、運転支援から完全自動運転までの広い範囲で使われて紛らわしいですね。そもそも「自動運転レベル2」や「運転自動化レベル2」という表記が正規に使われていること自体が、誤認の原因となっていると思われます。レベル2以下なら、運転支援のみの表現に統一すべきではないでしょうか。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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