目次
■ぜーんぶ見せます、新型ヴォクシーのカスタマイズ機能
ヴォクシー試乗の第7回目。そして最終回です。
最後の回は、新型ヴォクシーのカスタマイズの紹介と販売動向、燃費の報告です。
ヴォクシーのカスタマイズ機能には参りました。
なぜかというとですね…
●その数、35項目107点!
カローラクロス試乗最終回の中で、「カローラクロスのカスタマイズ機能は多数ある!」と、自分が開発したクルマでもないのに「な? すげえだろ!」ごとき書き方をしましたが、新型ヴォクシーはその上をいっていました。
もう見出しに答えを書いてしまっていますが、その数たるや、カローラクロスの20項目・76点のはるか上をゆく35項目・107点でした。
買ったクルマの機能の働きを、後からでもユーザー好みに設定できるようにしたのは三菱自動車が最初でしたが、いまやトヨタのほうがやけに力を入れています。
どこのメディアも紹介しないでしょうから、ここでひとつひとつの項目を並べていきましょう。セッティング内容は写真の表をごらんください。
ただし、機種によって多少違いがあります。
●新型ヴォクシーのユーザーカスタマイズ一覧
1.メーター、マルチインフォメーションディスプレイ
言語/単位/メーター表示/エコドライブインジケーターランプ/デジタル車速/燃費グラフ/オーディオシステム連携表示/4WD(トルク配分表示)/ドライブインフォタイプ/ドライブインフォ(1行目)/ドライブインフォ(2行目)/割り込み表示/提案サービス 全13点
2.ヘッドアップディスプレイ
ヘッドアップディスプレイ表示/タコメーター切り替え/オーディオシステム表示/運転支援システム表示/ナビゲーション表示/目的地案内/レーン表示 全7点
3.スマートエントリー&スタートシステム、ワイヤレスドアロック共通
作動の合図(非常点滅灯)/作動の合図(ブザー音量調整)/解錠後ドアを開けなかったときの自動施錠までの時間 全3点
4.スマートエントリー&スタートシステム
スマートエントリー&スタートシステム/連続ロック操作の有効回数
5.ワイヤレスドアロック
ワイヤレス機能/ドアが解錠されている状態でリモコンのバックドア開閉ボタンを操作したときのドアロック解錠作動(パワードアロック装着車) 全2点
6.ドアミラー
オート電動格納機能 全1点
7.パワーウインドウ
メカニカルキー連動開閉機能/ワイヤレスリモコン連動開閉機能/ワイヤレスリモコン連動開閉作動の合図(ブザー)/窓開警告制御 全4点
8.ランプ
ランプ消し忘れ防止ブザー 全1点
9.アダプティブハイビームシステム
アダプティブハイビームシステム/車速に応じたハイビームの明るさと、照らす範囲の調整/カーブ走行中、進行方向側のハイビームを明るく照らす/先行車との距離に応じた、ロービーム照射範囲の調整/市街地用の配光制御 全5点
10.ランプ自動点灯・消灯システム
ライトセンサーの感度調整/ランプオートカット制御/ランプ点灯までの時間/ワイパー連動ヘッドランプ点灯機能 全4点
11.リヤワイパー
バックドア開連動リヤワイパー停止機能/ウォッシャー液を噴射したときのリヤワイパー作動/リバース連動機能 全3点
12.プリクラッシュセーフティ(PCS)
プリクラッシュセーフティ/警報タイミング 全2点
13.フロントクロストラフィックアラート(FCTA)
フロントクロストラフィックアラート/注意喚起タイミング 全2点
14.レーンディパーチャーアラート(LDA)
レーンディパーチャーアラート/警報タイミング/警報手段/低車速支援 全4点
15.レーンチェンジアシスト(LCA)
レーンチェンジアシスト 全1点
16.プロアクティブドライビングアシスト(PDA)
プロアクティブドライビングアシスト(PDA)/支援タイミング 全2点
17.ロードサインアシスト(RSA)
ロードサインアシスト/速度標識超過告知方法/その他の告知/速度超過告知車速 全4点
18.休憩提案
休憩提案 全1点
19.レーダークルーズコントロール
再発進可能時間延長/加速度設定/速度設定(短押し)/速度設定(長押し)/ガイド文言表示/カーブ速度抑制 全6点
20.発進遅れ告知機能
先行車/信号/告知タイミング 全3点
21.Advanced Drive(渋滞時支援)
Advanced Drive 全1点
22.ドライバーモニター
注意喚起 全1点
23.ITS Connect
通知感度/信号情報/道路環境情報/緊急車両通知/クルーズ(ITS) 全5点
24.パーキングサポートブレーキ(PKSB)
PKSB(パーキングサポートブレーキ機能) 全1点
25.ブラインドスポットモニター(BSM)
ブラインドスポットモニター機能/ドアミラーインジケーターの明るさ/接近車両を知らせるタイミング(感度) 全3点
26.リヤクロストラフィックアラート(RCTA)
RCTA(リヤクロストラフィックアラート機能)/RCTA作動時のブザー音量 全2点
27.リヤカメラディテクション(RCD)
RCD機能 全1点
28.クリアランスソナー
クリアランスソナー機能/センサーの検知機能/駐車システム音量/サラウンド通知 全4点
29.安心降車アシスト(SEA:Safe Exit Assist・ドアオープン制御付き)
安心降車アシスト機能/感度/ミラー点灯 全3点
30.ドライブスタートコントロール
後退速度の抑制制御 全1点
31.リヤシートリマインダー
後席置き忘れ防止の表示 全1点
32.パワースライドドア
左側ハンズフリーパワースライドドア機能/右側ハンズフリーパワースライドドア機能/ブザー音量 全3点
33.パワーバックドア
パワーバックドア全開時の開度/ブザー音量 全2点
34.フロントオートエアコン
AUTOスイッチがONのとき、連動して外気導入と内気循環を自動で切りかえる/AUTOスイッチをONにしたとき、A/Cスイッチが連動してONになる 全2点
35.イルミネーション
ドアの開閉後に点灯している室内灯が自動で消灯するまでの時間(室内照明消灯時間調節)/エンジンスイッチOFF後の室内灯自動点灯機能/ドアを解錠したときの室内灯自動点灯/電子キーを携帯して車両に近づいたときの室内灯自動点灯/ドアミラー足元照明消灯までの時間/接近時のドアミラー足元照明の点灯/解錠時のドアミラー足元照明の点灯 全7点
知らないまま、使わないまま手放したり廃車にしてしまうひとも多数出てくると思われるほどのかなりの量です。
残念ながら、筆者がほしいと思っている車速検知式のドアロック機能の項目はありませんでしたが、これだけの項目があるのですから、新型ヴォクシーのオーナーが、クルマを購入していろいろな機能を使っているうちに自然発生的に湧いてくる「だったらいいな」の多くを解決してくれるのではないかと思います。
カローラクロスのときと重複しますが、設定変更の方法はつぎの三通りです。
A:マルチメディアの画面操作での設定変更
B:マルチインフォメーションディスプレイでの設定変更
C:トヨタ販売店での設定変更
AやBは、好きなときに好きな場所で気が向いたときに行えるので、まさにユーザーカスタマイズですが、問題は「C」の方法だけ。販売店でしかできない項目で、こればかりはトヨタのお店に持ち込み、ちょっとメカニックのお手を煩わせるしかありません。そして設定後の作動がやはり意にそぐわないときは再度入庫ということになるわけです。
このカスタマイズ内容は、取扱説明書の後ろの方に記載されていますが、筆者なら必要なページをコピーし、希望の項目に赤く○をつけて依頼するでしょう。
●ガソリン車か? ハイブリッド車か?
いまや猫も杓子もハイブリッドという有様で、筆者の周囲を見渡しても半数以上がハイブリッドとなっています。次項の「販売動向」のデータを見ると、新型ヴォクシーのガソリン車、ハイブリッド車の比率もそれを示していますが、この2つのパワートレーン間の車両本体価格差は、2WD同士で35万円、4WD車同士で38万円となります。新型ヴォクシーのオーナー予備軍の中には、この価格差に戸惑い、「ガソリン車がいいか、ハイブリッド車がいいか」と迷っているひともいるのではないでしょうか。
よくいわれるのが、年間何万キロ走ることで、何年でその価格差をペイできるかというやつです。
記事によっては10何万キロ走らないとモトがとれないというものもありますが、ヴォクシーの場合はどうなのか? 計算してみました。
筆者は群馬県の人間ですが、いっぱんに地方のひとは、ごく普通の使い方(というのだってひとによりけりなので、深く考えないことにして)で年間1万キロ走るといいます。いっぽう、地方と異なり、公共交通機関が発達している東京在住のクルマ持ちは年間で5000km走るかどうかと聞いたことがあります。筆者はといえば、いまはコロナ禍によりだいぶ落ち込んでいますが、もともとは年間平均2万2000km走る人間です。
いまこれを書いている6月18日(金)夜時点での、筆者行きつけのガソリンスタンドの価格を調べたら、新型ヴォクシーが指定するレギュラーガソリンの価格は171円/Lでした。
というわけで、今回の試乗車・ヴォクシーS-Zのガソリン版とハイブリッド版のカタログ燃費を引っ張り出し、年間の走行距離が5000kmの場合、1万kmの場合、2万2000kmの場合の3とおりを想定し、ハイブリッドを買ったときに何年でモトがとれるのか、パチパチパチと計算してみました(ここでは税金や保険料の割引などは入れていません。)。
結果から述べると、レギュラーガソリン価格を171円/Lとし、新型ヴォクシーのガソリン車に対して35万円余計に払ってハイブリッド車を入手した場合、カタログのWLTC総合値で計算したとき、約9万2000km走った時点でモトが取れることがわかりました。
都市在住者なら約18.4年、地方在住者でも約9.2年、そして年間2万2000km走る筆者の場合でも約4.2年かかる計算です。昨今、クルマの所有期間が伸びているという話ですが、さすがに18年超まで使う人はそうそういないでしょうから、都市在住者の方なら「燃料代だけで元を取る」考えならガソリン車を求めるほうが賢明ということになります。
もうひとつ、実用燃費で計算するとどうなるか、やってみました。
文末で述べますが、前回のカローラクロスと同じ使い方をしてのヴォクシーの実用燃費は13.0kmでした。カタログ値の約85%です。
そしてハイブリッド。一般に、ハイブリッド車はガソリン車の場合よりもカタログ値からの乖離が大きいといいますから、ここからは文字通り机上論ですが、同じトヨタということで、ハイブリッドだった前回のカローラクロスの乖離率約81%をこちらヴォクシーハイブリッドのカタログWLTC総合値にあてはめ、予想実用燃費をはじき出して計算しました。
その結果がこの表です。
実用燃費がカタログ値から離れるということは実際のガソリン代もカタログ値からの理想額よりもかかるということになります。ただしハイブリッドはカタログ値から乖離が大きくなるぶん、かかるガソリン代の上昇率は、ガソリン車がほとんど17%増であるのに対し、ハイブリッド車は23~24%の上昇率となっています。
というわけで、実用上は、理想的な計算の場合よりももう少し短い年数、距離でモトがとれることがわかりました。そうはいっても全体からするとわずかなもので、年間の走行距離が短い人ほどモトが取れるまでの時間、距離が長いことには変わりはありません。
さあ、ここから先、どう考えるか?
低燃費である、そして給油の回数が減るのがうれしいということで、最新ハイブリッド技術にわざわざ高いお金を払うくらいだったら、最初から安いガソリン車を選んで、その差額マージンをガソリン代に充てても同じじゃないの? という考えが成り立ちます。
このあたりの考え方は何もいまに始まったことではなく、1970年代半ばから80年代にかけて登場し始めた電子制御燃料噴射、1973年にホンダが初代シビックのCVCCで、トヨタが1984年のカリーナでが小出しし、90年初頭にホンダ、三菱、トヨタが本格化させたリーンバーン(希薄燃焼)技術、同じくトヨタが70~80年代にクラウンやスターレットで温め、2010年前後になって市場全体に一挙広まりを見せたアイドリングストップ…まずはマスキー法に端を発した排ガス浄化、以降はさらなる低燃費をめざして実用化された技術ですが、電子燃料噴射付きなら約8~10万円、リーンバーンなら4~5万円ほど、それまでのクルマに対し、新技術分の価格が上乗せされていました。アイドリングストップも同じ。燃料節約とは引き換えに、アイドリングストップ搭載と並行して発電機やバッテリーのほうも専用品となり、これまでよりも高くなりました。何てことはない、どれもこれも先々ガソリン代に費やすはずだったお金の支払い先が別の技術分にまわり、新車購入時に先払いすることになっただけの話なのです。
余談はともかく、環境保護の意識が高い方は最初からハイブリッドを選べばいいと思いますが、35万円という車両価格差に悩むひとは、年間走行距離や想定使用年数と相談して決めましょう。ガソリン車だってまだまだ捨てたもんじゃないヨ。だからこそガソリン車だって売っているわけで…表を参考にして判断してください。
●販売動向
かたい話はさておき、トヨタの方にお願いし、ヴォクシーの今年2022年1月13日発表・発売から、ついこの間6月までの販売動向を出していただきました。
★販売台数
1万7300台(2022年1月13日~5月末)
★ガソリン・ハイブリッド比率
ガソリン車:ハイブリッド車=48:52
★2WD・4WD比率
2WD:4WD=85:15
★機種別比率
【ガソリン車 2WD】
・S-Z 68.0%
・S-G 7人乗り 10.0%
・S-G 8人乗り 10.0%
【ガソリン車 4WD】
・S-Z 11.0%
・S-G 7人乗り 2.0%
・S-G 8人乗り 2.0%
【ハイブリッド車 2WD】
・S-Z 64.0%
・S-G 7人乗り 16.0%
・S-G 8人乗り 5.0%
【ハイブリッド車 4WD(E-Four)】
・S-Z 12.0%
・S-G 7人乗り 4.0%
★ボディカラー比率
1位 ホワイトパールクリスタルシャイン : ガソリン車37.0% ハイブリッド車44.0%
2位 アティチュードブラックマイカ : ガソリン車32.0% ハイブリッド車27.0%
3位 グリッターブラックガラスフレーク : ガソリン車11.0% ハイブリッド車12.0%
4位 スパークリングブラックパールクリスタルシャイン : ガソリン車7.0% ハイブリッド車7.0%
5位 マッシブグレー : ガソリン車6.0% ハイブリッド車6.0%
前回、たまたまカローラクロスを採り上げたこともあり、いろいろなところでカローラクロスを引き合いにして書いてきましたが、カローラクロス全体のガソリン:ハイブリッド比率が22:78だったのに対し、こちらヴォクシーは48:52でほぼ半々となっています。いちばん安いGですら300万を超える309万円…全体の価格レンジが上にシフトしており、250万円あたりがスタート価格だった旧型からするとひとクラス上に上がった印象です。安全デバイスや通信デバイスの標準化が価格を押し上げているのでしょう。そしてだからこそ、手を伸ばしやすいガソリン車の相対比率が高いのかも知れません。装備類を取捨選択した、戦略的価格モデルの投入にも期待したいところ。
もっとも、新型ノア/ヴォクシーに待ったをかけるように、1月のティザーサイトで新型をチラ見せしてきたステップワゴンも似たようなもので、エントリー価格はやっとの思いで300万を切ったような299万8600円。やはり確実にクルマの値段は上がっています。いや、日本人の所得が上がらないままなのが問題なのです。
販売台数が控えめなのは新型ヴォクシーにとって不幸なことで、コロナ禍と半導体不足による影響による納車遅れが販売台数に現れているのは如何ともしがたいところです。
参考までに、トヨタのサイトによると、新型ヴォクシーもノアも、受注してから工場出荷までの期間は、「受注から5~6カ月程度」、ハイブリッド車に至っては「6カ月以上」と説明されています。筆者などは「クルマなんかのんびり3カ月くらい気長に待ってもいいんじゃないの?」というクチで、いま使っているクルマなど、時間がとれなかったというのもありますが、クルマが販売店に届いてから1カ月ほどほったらかしにしていたくらいなのですが、さすがにメーカーにも販売店にも顧客にも無関係な理由で、納車日が見えない中での5カ月6カ月待ちはたまらないと思います。
クルマの複数持ちならまだやりくりがつくでしょうが、1台持ちで毎日クルマが必要な立場の人にはかなり悩ましいことと思います。誰もが頭を悩ますのは、車検切れのタイミングに納車が合わせられるかという点でしょう。このあたり、希望する納車時期に持っていけるよう、セールスマンと密接なやり取りでうまく進めていくほかありません。
色の話で、筆者の予想が大ハズレだったのは、ヴォクシーの一番人気が白だったことです。
筆者が今回ガソリン車のヴォクシーを題材に選んだのは、ボディがホワイトだったことも理由にありました。「ダークカラーのイメージが強いヴォクシーの白なんてめずらしいだろう。ガソリン車であることもめずらしいからちょうどいいヤ」と思ってのことだったのですが、ヴォクシーでいちばん選ばれているのがホワイトカラーだったとは!
★メーカーコメント
新型ノア・ヴォクシーは、お好きな位置で止められるバックドアや片手で格納できる3列目シートなど、工夫を凝らしたからくりを使って、ミニバンならではの使い勝手の良さにさらに磨きをかけました。
加えて、渋滞時の運転支援システムやリモート機能付きアドバンストパークなど、最先端の機能もご用意。
新型ノア・ヴォクシーで、大切なご家族やお友達と一緒に、もっと楽しく、安心・快適なドライブをお楽しみください!
■エピローグ
今回、新型ヴォクシーの、特に最新のToyota Safety Sense、Toyota Teammateに触れて思ったのは、「人間はすごかったんだな」ということでした。
先行車との間隔を保ちながら巡航する、標識を認識する、車線変更を行う、ハンドルをくるくるまわしてレーン内に入れる、道路脇のクルマやひとを避けながら縫うように走る、渋滞になったらなったで、状況に即した速度で発進・停止を繰り返す、青信号を認識する…1936(昭和11)年のトヨダAAから86年、1955(昭和30)年の初代クラウンから数えても68年経過。ようやくいまになって、新型ヴォクシーはこれらのことを自分でやってのけるようになりました。この、「ようやくいまになって」クルマができるようになったことを、68年も86年も前のひとびとは行っていたと考えると、元来、人間が生まれつき持っていたセンサーと、それを駆使して、周囲状況を目で見て判断して周囲のひとやクルマにぶつからないようにして走っていたなんてと、いまさらになってひとの身体の優秀さを認識させられました(まあ、当時はひともクルマもいまほどには進んでいないから、事故はそれなりに起きていたでしょうが)。
さて、Toyota Safety SenseやToyota Teammateの充実で、かなり「ぶつからないクルマ」になりました。いっぽうで、これからは自分が「ぶつけられない」技術、または「ぶつけられてもへっちゃらな技術」も考えてほしいところです。隣からドアアタックされそうになったらどこからか防御デバイスが出てきて、真剣白刃取りみたいに受け止める、サイドプロテクターをつける、損傷を受けても手のしもやけかやけどが治るように自然治癒する塗装など…
なんだかヴォクシーというよりは、ヴォクシーが持っている最新デバイスに思うエピローグになってしまいましたが、最後、燃費の報告で、新車リアル試乗No.2を終わりにします。
次の「新車リアル試乗」は、ホンダN-BOXを採り上げます。
(文・写真:山口尚志 モデル:Mai/海野ユキ)
■燃費報告
★トータル燃費:13.0km/L(カタログ燃費(WLTC総合):15.0km/L)
★総走行距離:407.4km(一般道132.8km + 高速道245km + 山間道29.6km)
★試乗日:2022年5月21(土)~23(月) 期間中、雨と晴れが半々、クーラーはくもり止めに使ったくらい。
【経路内訳】
一般道:東京都練馬区~新宿区~江東区、群馬県前橋市内、高崎市内 計132.8km
高速道:
首都高11号線台場IC~都心環状線C1左まわり~5号線早稲田IC 計11.9km
関越自動車道・練馬IC~北関東道・前橋南IC 83.9km、北関東道・前橋南IC~関越・昭和IC 37.1km、関越 昭和IC~前橋IC 28.5km、北関東道・前橋南IC~関越・練馬IC 83.6km 計245km
山間道:赤城山 1往復 29.6km
※今回は霧だったため、赤城山は1往復にとどめました。
【所感】
カタログ燃費達成率、約87%。期間中は雨が降ったり晴れたりで、クーラーはわずかな暑さを凌ぐためとガラスくもり防止のために使用。格別ていねいなアクセルワークを狙ったわけではないし、瞬間的に120km/hにまで加速することはあったが、全体的には80~100km/hの間で巡航した。ガソリン車ならカタログ値からの乖離が8割になるところ、約87%のカタログ燃費の達成率だ。13.0km/Lの数字は、数字そのものを見ると大したことないかも知れないが、車両重量1.7t弱の1640kgの車体を、2Lのガソリンエンジンで街でも高速でも山でも軽々引っ張ったことを思うと、優れた数字といっていいのではないか。以前なら1.3t前後の1.5~1.8L車がこれくらいの燃費値だったもの。みんなでやれ電動化だ、ハイブリッドだというばかりでなく、ガソリンエンジン単体の省燃費技術の進化だって認めてしかるべきだと思う。
帰着時の給油時の燃料計指針は1/4わずか超え、スタート時と同じ給油機で飲み込んだ燃料の量は31.45Lでした。
【試乗車主要諸元】
■トヨタヴォクシー S-Z (6BA-MZRA90W-BPXRH型・2022(令和4)年型・2WD・ガソリン・自動無段変速機・ホワイトパールクリスタルシャイン)
●全長×全幅×全高:4695×1730×1895mm ●ホイールベース:2850mm ●トレッド 前/後:1500/1515mm ●最低地上高:140mm ●車両重量:1640kg ●乗車定員:7名 ●最小回転半径:5.5m ●タイヤサイズ:205/55R17 ●エンジン:M20A-FKS(水冷直列4気筒DOHC) ●総排気量:1986cc ●圧縮比:- ●最高出力:170ps/6600rpm ●最大トルク:20.6kgm/4900rpm ●燃料供給装置:D-4S(筒内噴射+ポート燃料噴射) ●燃料タンク容量:52L(無鉛レギュラー) ●WLTC燃料消費率(総合/市街地モード/郊外モード/高速道路モード):15.0/11.4/15.3/16.9km/L ●JC08燃料消費率:- ●サスペンション 前/後:マクファーソンストラット式/トーションビーム式 ●ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク ●車両本体価格:339.0万円(消費税込み・除くメーカー/ディーラーオプション)