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■Uターンで転ばないためのライテクを公開
免許を取ったばかりの若いライダーなど、バイクの初心者が意外に苦手にしているのが「Uターン」。街中はもちろん、ツーリング先でも特に幅が狭い道路でUターンをする際は、よくバランスを崩して転倒する人も多いようです。
初心者の多くが苦手意識を持っているUターンですが、どうすれば転ばずに、うまく克服できるのでしょうか?
その答えをヤマハ発動機(以下、ヤマハ)が行っている「ヤマハ大人のバイクレッスン」で発見しました。
2022年6月18日に、神奈川県の大磯ロングビーチ第1駐車場で開催された「平成生まれ若者限定オンロードレッスン&ツーリング」では、バイクでうまくUターンをするための3段階ステップ練習法をやっていて、実際に多くの初心者がメキメキ上達。
一体、どんな練習をやるのか紹介しましょう。
●大人のバイクレッスンとは?
大人のバイクレッスンは、ヤマハが全世界で展開するユーザー向け安全普及活動「YRA(ヤマハ・ライディング・アカデミー)」の一環として行っているライディング講習会です。
主な対象は、免許を取ったばかりとか、ライディングを基礎から復習したい初心者ライダーなど。また、久しぶりにバイクに乗るリターンライダーなども対象にしています。
レッスンは、今回行われた大磯ロングビーチ第1駐車場のような特設のクローズドコースを使ったオンロード編のほか、オフロード編も開催。また、オンロードでは、公道でのミニツーリングがセットになったものもあります。
2022年は全国で計44回開催される予定で、なかでも今回は平成生まれの若者に限定したレッスンを実施。
19歳から31歳までの男女14名が参加し、多くがバイク免許を取って1〜2年の初心者ライダーでした。また、今回は、ここで紹介するUターンのほかにも、ポジションやブレーキング、カーブのスムーズな曲がり方、そしてツーリングでの安全な走り方など、さまざまな実践テクニックを学ぶことができました。
なお、今回の練習バイクは、250cc・単気筒エンジンを搭載するトレールモデル「トリッカー」。コンパクトな車体や、低速域から扱いやすいパワー特性などで、初心者でもかなり乗りやすいモデルです。
このレッスンは、コース内容によって機種は変わりますが、基本的にバイクをレンタルできるのも特徴。また、ウェアやプロテクターなど安全にバイクで走るための装具も借りられるため、ほぼ手ぶらで参加できることも魅力です。
●ステップ1:両足出しUターン
話をUターンに戻しましょう。レクチャーでは、大きめのカラーコーンを中心に小旋回をする練習を実施。狭い道幅の外周を再現するために、外側にはいくつかの小型コーンも置かれており、それを倒さないように、また転ばないようにUターンするというものです。
まず、最初のステップは、両足を出したままのUターンです。やり方は、バイクにまがたり両足を路面に付けたまま、アクセルを少し開けて一定にし、半クラッチを使ってバイクを進ませながら、曲がりたい方向へハンドルを切りながら旋回していく、といった感じ。ギヤは1速のままでOKです。
両足は、バイクが進むのに合わせて、歩くように左右互い違いに前に出していけばよく、これなら速度も低いですし、バイクをほぼ寝かさずにできますから、初心者にも比較的楽にできそうです。
しかも、練習バイクのトリッカーは、アップライトなバーハンドルを装着するため上体が楽で、ハンドルの切れ角も大きく、シート高も810mmと比較的に足着き性も良好なモデル。前傾姿勢がきついバイクや、シート高が高いモデルと比べると、小柄な女性でもやりやすいといえます。
でも、なかには失敗してしまった人もいました。これは、アクセルを一定にせず、曲がるときに戻したことでエンストしそうになり、バランスを崩したためです。しかも、その際に、外側の足で車体を支えようとしたのですが、ハンドルは内側に向いているために余計にバランスが崩れ、転倒しそうになったのです。
この方法で、もしバランスを崩しバイクを支えようとするときは、内側の足で踏んばることが必要。体格が小柄で、両足がつま先しか付かないライダーなどは、特に意識した方がいいでしょうね。
また、速度調整はあくまで半クラッチで行い、アクセルは常に少し開けた状態を一定にキープすることも鉄則です。
●ステップ2:片足Uターン
次のステップは、ターン方向内側の足だけ路面に付け、外側の足はステップに載せる方法。右のターンであれば右足、左ターンであれば左足を出します。また、アクセルを少し開けて一定にし、1速ギヤのままハンドルを内側へ切りながら半クラッチで進む点はステップ1と同じです。
この方法も、トリッカーのように足着きがいいバイクであれば、どんな体格のライダーでも、比較的怖さを感じずに小旋回のUターンができます。
旋回中は、バイクを少しだけ内側に倒しますが、内側の足を出しているので、もしバランスを崩してもバイクを支えやすいですしね。
ただし、視線は常に進む方向の先を見ることも重要。これは今回紹介する3ステップとも同じですが、視線を下や手前の方に向けると、半円を描くようなUターンの走行ラインをうまくトレースできず、路面からはみ出してしまうこともあります。
●ステップ3:両足ステップUターン
3つめは、発進後に両足をステップに乗せ、そのまま足を地面につかずにUターンする方法。アクセル一定や半クラッチを使うことは同様ですが、今度は速度調整にリヤブレーキを使います。
ギヤは、ステップ1や2と同じ道幅が狭く、低速でまわるコースで1速。今回はほかにも、Uターンの目印となる大型コーンだけで、外側の小型コーンを設置せず、より広い道幅を想定したコースもあり、そこはやや速い速度で回りますから、2速を使う想定で行われました。
この方法でも、視線は常に先へ向けることが重要。また、ステップ1や2と違い、足は地面につけませんから、旋回中はややバイクを内側へ寝かせます。
そのため、旋回中には、うまくバイクのバランスを取るために、しっかりニーグリップをし、上半身には力を入れないことも必要です。腕などに力が入っていると、ハンドルが自然に切れ込む動きを邪魔してしまい、うまく小さく回れなくなってしまいます。
さらに、速度調整で使うリヤブレーキも、急にガツンとかけるのではなく、じわっと引きずるような感じでかけると、車体がギクシャクしずらくなります。
いかがでしたか? Uターンが苦手な初心者ライダーは、ぜひ参考にしてみて下さい。また、こうした練習は、人や車両の行き来がない広い駐車場など、安全にできる場所があればできますが、もし近所にそうした場所がない場合は、こういったレッスンを受講するのも手です。
なお、ヤマハ「大人のバイクレッスン」は、前述の通り、バイクなどをレンタルできて、しかも料金は8000円とリーズナブル。
会場も、北海道や関東、中部や関西、九州など全国各地で行われ、電車やバスなど公共交通機関でも行ける場所でやりますから、アクセスがいいこともポイントです。
さらに詳しく知りたい人や受講してみたい人は、公式ホームページへアクセスしてみて下さい。
(文:平塚 直樹/写真:平塚 直樹、小林 和久)
【関連リンク】
ヤマハ「大人のバイクレッスン」公式ホームページ
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/yra/otona/