TEAM TOYO TIRES DRIFTは川畑選手が2戦連続ひとけた順位。藤野選手もポイント獲得【D1GP OKUIBUKI DRIFT】

■安定感バツグンな2台のGR86

藤野選手、第2戦での単走
藤野選手の第2戦での単走。まだ藤野選手本来のメリハリのある走りには至っていないようです

6月第2週の週末に行われたD1GP第2戦と第3戦。場所は奥伊吹モーターパーク。スキー場の駐車場を使った特設コースで、土日に2連戦が開催されました。TEAM TOYO TIRES DRIFTは、GR86の2台体制。前戦の富士でデビューしましたが、川畑選手がいきなり優勝。藤野選手も4位と、戦闘力の高さ、素性のよさを証明しました。

前戦で全体的なバランスがよかったこともあり、この奥伊吹ラウンドには2台とも大きな仕様変更は行わずに臨みました。金曜日の公式練習でも手応えはまずまず。川畑選手がファイナルギヤを交換したり、藤野選手もアライメントなどさまざまな部位のセッティングを変更して、データどりをしつつ順調に走行を終えました。

そして迎えた土曜日の第2戦。藤野選手は突出したところはないものの、完成度の高い走りで難なく11位通過。いっぽう全体的に慎重な振り出しを見せる選手が多いなか、川畑選手は1本めから高い車速とキレのある振りを見せて、6位通過となりました。GR86の2台は見ていても扱いやすそうで、安心感があります。

第2戦TOYO対決
藤野選手と川畑選手の対決は寄せた距離の差で川畑選手が勝ちました

しかし、単走決勝の結果、追走トーナメントのベスト16で川畑選手と藤野選手が対戦する組み合わせになってしまいました。TOYO対決は楽しみですが、どちらかが負けてしまうので、もっと上のほうで見たいところです。

植尾選手vs川畑選手
第2戦のベスト8。川畑選手は植尾選手に敗れてしまいました

追走前に雨が振り出し、ウエット路面で行われたTOYO対決。1本めは川畑選手が先行。藤野選手は加速区間で川畑選手をとらえられず、コース前半では寄せることができませんでした。前後を入れ替えた2本めは川畑選手がより近い距離でドリフトを合わせて川畑選手が勝ちました。

ベスト8に勝ち上がった川畑選手は180SXに乗る植尾選手と対戦。後追い時の接近度では川畑選手が上まわりましたが、植尾選手は特に後追い時のDOSS(機械審査)の点が高かったため、合計得点では敗れてしまいました。第2戦は川畑選手が6位、藤野選手が11位となっています。

■川畑選手、わずかに及ばず準決勝進出を逃す

第3戦川畑選手単走
川畑選手はメリハリのある走りで単走3位に入りました

翌日曜日は第3戦。コース設定は前日と同様です。単走決勝ではAグループの第3走者として出走した川畑選手、クイックな振り出しも、コーナーでの角度や安定感もよく、いきなり98.19点という高得点を叩き出します。このあと、B、Cグループと川畑選手の得点を上まわる走行は出ませんでしたが、最後のDグループで北岡選手と中村選手に抜かれたものの、川畑選手は単走決勝で3位という結果を残しました。なお藤野選手も前日より得点を伸ばし、9位で追走進出を決めました。

追走トーナメント。今回は別の山に別れた藤野選手と川畑選手は、そろってベスト8に勝ち上がります。藤野選手は中村選手と対戦。このふたり、じつはD1ストリートリーガル、ドリフトマッスルからの長年のライバルです。その時期によって中村選手が強かったり藤野選手が強かったり……。しかし今回は中村選手が上手でした。藤野選手は後追い時に加速でやや後れをとってしまい大きくアドバンテージをとれなかったのに対し、中村選手には終始接近ドリフトを決められ、中村選手の勝ちとなりました。

藤野選手vs中村選手
藤野選手は、V8エンジンを積むシルビアの中村選手をとらえきれませんでした

いっぽう川畑選手は横井選手と対戦。まず先行の川畑選手がいい走りを見せましたが、それに対して横井選手はきれいにドリフトを合わせて接近ポイント10。合計98:106と、8ptsのアドバンテージを奪われました。2本めは横井選手が先行。川畑選手も近いドリフトを見せましたが、前半では横井選手のインに入りきれず、接近ポイントは8.5にとどまります。DOSS点が比較的よかったため、合計では105.5:98となりましたが、0.5pts及ばず横井選手の勝利。川畑選手は5位。藤野選手は7位に終わりました。なお、第3戦は中村選手が優勝、横井選手が準優勝となっています。

横井選手vs川畑選手
川畑選手は横井選手にぴったり追いつかれてしまいました

このラウンドの結果、シリーズは横井選手が57ptsで首位。川畑選手は6pts差で4位に、藤野選手は少し離れて19pts差で5位につけています。

2連戦を終えて、藤野選手は「加速で出遅れた感じでミスったんで。もうちょっとクルマに慣れた方がいいですね。あともっとテストしないと……クルマは悪くはないんですけど、今は現状このパッケージでできてます、っていうだけなんで、やっぱりそのときの状況に応じたセッティングにできないといけないと思うので。もうちょっとこうしたらこうなるとか、そういうデータを集めて、強みを出していきたいですね」とのこと。

藤野選手と川畑選手
まだマシンの戦闘力アップを図りたい藤野選手(左)と川畑選手(右)。2人ともほぼ同じ仕様なので、熟成も早そうです

川畑選手は「単走は乗り味的には悪くなかったんですけど 、DOSSの点数がうまく出せなかったのはちょっとそこまではつかみ切れなかったって感じですね。 追走はまたセットを変えて試しながら、 スタビとってみたらどうなんだろうとか、いろいろやってみたんですけど、なんかちょっと感触が悪いから違うなって戻して。横井くんのときも、もうエア圧を下げれるだけ下げてやってみたんですけどやっぱりスタートからついていけてなくて、先行のときはもうバッチリ入られちゃったし。DOSS点では安定して98点台とか出ているので、そのレベルではコントロール下にはあるんですけど、もう少しクルマのトラクションが上がると勝負的には有利になるんで、 そのへんをちょっと探って武器を強くしていきたいですね」と語っています。

D1GP次戦は、8月20日(土)~21日(日)。福島県のエビスサーキット西コースで開催です。

(文:まめ蔵/写真提供:サンプロス、まめ蔵)

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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