■アフターサービスも含めて持続可能な運用システムを構築する
モビリティ(乗り物)の魅力は、「速く」「遠くへ」移動することだけではありません。「ゆっくり」「ちょっと近場まで」快適に移動できるのも美点といえるでしょう。
ヤマハ発動機は、ゴルフカートをベースとした電動小型低速車(電動ランドカー)を使い、20km/h以下で公道を走行できる「グリーンスローモビリティ」の実証、導入を各地で行ってきました。
そんな中、2022年6月8日、ヤマハ発動機と日本自動車連盟 (JAF)は、低速モビリティを活用する協業契約を締結しました。
今回の協業契約は、低速モビリティの提供とサービスを通じ、地域社会に合う移動を実現することで、人々の豊かな生活に貢献することを目的に掲げています。
同社の低速モビリティ(電動ランドカー)の開発、販売ノウハウと、JAFが持つロードサービスや観光協定をはじめとしたJAFの全国に広がるサービス網、自治体との連携を持ち寄ることで、新たな移動する自由や喜びを提供するのが狙い。
その中には、バスなどの公共交通機関の廃止による移動困難地域に低速モビリティを導入するだけでなく、アフターサービスも担うことで、持続可能なモビリティサービスの提供を目指すのもポイント。
JAFが導入地の選定や導入検討に向けた付随業務などを行い、ヤマハ発動機は、車両提供や車両へのシステム搭載などを担うそう。
導入後のアフターサービス、低速モビリティの安全運転講習業務などをJAFが担うことになります。車両導入の提案、サポートから導入後のアフターサービスまで、より細やかな対応を可能とすることで、持続可能な運用を目指す構えです。
ヤマハ発動機は、新規事業のひとつとして、いわゆる限界集落などといわれる、公共交通機関にアクセスできない地域の移動課題の解決を掲げています。
一方のJAFは、「対話と共創により常に変化し続け、モビリティユーザーの生活を彩るJAFとなる」をテーマに掲げ、社会課題の解決に向けて取り組んでいます。
観光地などでも低速モビリティの実証実験を行っているヤマハ発動機と、クルマのトラブルに駆けつけ多くの人を救ってきたJAFがタッグを組むことで、特に地方で起きている移動の自由や楽しさの確保に向けて協業が進むことになります。
(塚田 勝弘)