■4WSのリヤ・アクセルステアリングは14万5000円のオプション
2021年6月に発表された現行メルセデス・ベンツ Cクラスは、セダンの「C 200」「C 220 d」が同年秋頃に、「C 200 4MATIC」は2022年の第一四半期、「C 350e」は2022年の中頃、ステーションワゴンの「C 200」と「C 220 d」は2022年第一四半期のデリバリー開始予定とアナウンスされていました。
段階的な日本上陸になっているのは、コロナ禍の部品不足などの影響もあるようで、2022年の早春頃からSNSなどで改めて大々的な宣伝活動が行われています。
本格的な納車が始まったことに加えて、ステーションワゴンと追加されたオールテレインの日本上陸に伴いプレス向けの試乗会が行われました。
まずは、Cクラスの基本形ともいえるセダンから。
試乗したのは、1.5L直列4気筒ガソリンターボを積む「C 200 アバンギャルド」で、マイルドハイブリッドの「ISG(Integrated Starter Generator)」搭載モデル。Cクラスの中でも売れ筋モデル、グレードといえるでしょう。
ボディサイズは、全長4785×全幅1820×全高1435mmで、先代(C200 ローレウスエディション)の全長4705×全幅1810×全高1445mmよりも80mm長く、10mmワイドで、10mm低くなっています。ホイールベースも25mm延びていて、見た目でも伸びやかなフォルムが目を惹きます。
マイルドハイブリッドの1.5Lガソリンターボは、204PS/5800-6100rpm・300Nm/1800-4000rpmというスペック。エンジンと9速トランスミッションとの間に配置される48VマイルドハイブリッドでもあるISGは、瞬間的なブーストが可能なほか、エンジン再始動時の振動や騒音が抑えられていて、高級セダンにふさわしい質感を備えています。
試乗車は、32万6000円の「AMGライン」が装着されていて、専用スタイリングの「AMGスタイリングパッケージ」のほか、スポーツサスペンション、18インチAMG5ツインスポークアルミホイールを履いています。
見た目だけでなく、走りもスポーティな味付けで、低速域ではコツコツとした振動を伝えるシーンもあります。高速道路にステージを移すと、引き締まった足まわりが頼もしく、フラットライドな乗り味を示します。18インチ仕様は、適度に硬めと表現できるでしょう。
一方で、標準の17インチタイヤがどういった乗り心地なのかも気になるところ。今回は、セダン、ステーションワゴン、オールテレインと乗り比べることができました。セダンらしくボディの剛性感が高く、ホイールベースは当然ながら同値に関わらず、最も人馬一体感があり、意のままになる走りを享受できます。
パワートレーンは、ISGの恩恵と低速域からスムーズな9速ATにより、ほぼ文句なしといえる仕上がり。「ほぼ」と表現したのは、発進時やUターンする際にアクセルを軽く踏んでいくと、少しガツンと唐突につながるようなマナーが散見されたためです。ただし、これは個体差かもしれませんし、些末な指摘かもしれません。
ISGの恩恵は、先述したように発進時やパーシャル域から踏んでいった際に実感できます。線の細さを抱かせず、スムーズに速度を乗せていくのも印象的です。山道や高速道路も含めて十分に速いといえる動力性能を備えています。
オプションのリヤ・アクスルステアリングを装着していた試乗車は、60km/h以下で後輪を前輪よりも逆に最大2.5度まで、60km/h以上で、後輪を前輪と同じ方向に2.5度操舵させることで、安定感のあるハンドリングを演出。
より分かりやすいのが60km/h以下のリヤが逆位相になる領域で、右に左に軽快なフットワークが強調されています。60km/h以上になると違和感がほとんどなく、高速域のスタビリティも万全といえるもの。
Cクラスの中でも売れ筋モデルといえる「C200 アバンギャルド」は、先述したようにオプションにより走りの味付けはかなり変わりそうではあるものの、スポーティセダンと表現できる仕上がりになっています。
パワートレーン、ハンドリングも含めて高級感があり、先進的なスポーツセダンを探しているのなら打って付けといえる存在です。
●ボディサイズ:全長4785×全幅1820×全高1435mm
●車両本体価格(試乗車):654万円
●オプション込み車両価格(試乗車):726万4000円
●オプション込み車両価格+保証プラス+メンテナンスプラス:751万7000円
(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久)