アウディA8/S8がビッグマイナーチェンジ。洗練された内外装にリフレッシュし、新エンジンのV8「4.0 TFSI」を設定

■最新のデザイン言語に基づくエクステリアにリフレッシュ

アウディA8
ビッグマイナーチェンジを受けた新型アウディA8

以前お伝えしたように、2022年4月21日、アウディの最上級セダンであるA8がマイナーチェンジを受けました。

発売は同年7月の予定になっています。今回のマイナーチェンジは第4世代のフェイスリフトで、アウディ最新のデザイン言語に基づきデザインされています。

ほかにも、最先端技術などにより全面的なアップデートが施され、スポーティかつ快適な走りを実現しているそうです。

最も目を惹くのが、エクステリアデザイン。アウディの顔つきを印象づけているシングルフレームグリルは、ロア部が拡幅されたことで存在感が強調され、クロームインサートによりプレステージ性も高められています。

アウディA8
新しくなったシングルフレームグリル

またサイドエアインテークにもクロームのアクセントを配置。サイドビューは、6ライトのキャビンデザイン、なだらかに傾斜するリヤエンドなどにより、エレガントなフォルムが表現されています。また、オリジナルの「quattro(クワトロ)」を彷彿とさせる力強い彫刻的なデザインのフェンダーも特徴です。

アウディA8
新型アウディA8のサイドビュー

リヤビューでは、左右のテールランプをLEDライトストリップで結ぶことで、高級感が演出されています。

なお、全モデルにマトリクスOLEDリヤライトが標準化されていて、薄くて軽量でデザインの自由度が高いうえに、消費電力の少ない有機発光ダイオード(OLED)を採用。走行モードによって表情を変えるというアウディらしい凝ったライト(リヤ)になっています。

さらに後続車が2m以内に近づくとすべての OLEDセグメントを点灯させることで、車間距離を警告する機能を備えるなど、安全面への配慮も盛り込まれています。

ほかにもエクステリアには、スポーティな「S lineエクステリア」が新たにオプション設定されています。ブラックハニカムパターンの「S line」グリル&バンパー、20インチ専用ホイールにより、堂々たる印象をさらに強めることができます。

●3.0L V6、4.0L V8は48Vマイルドハイブリッド化で、ハイパワーと高効率を実現

インテリアは、開放感のあるラウンジのような仕立て。ワイド感をもたらすため、水平基調のシンプルで上品なデザインをはじめ、「エクステンデッドレザー」や「エスクテンデッドアルミニウムルックインテリア」など、素材の質にもこだわり、上質かつ快適なキャビンになっています。

アウディA8
新型アウディA8のインテリア

「S lineインテリアプラスパッケージ」や「Audi デザインセレクション」など最上級モデルにふさわしい質感とセンスを備えた新たな選択肢も設定されています。

搭載されるパワーユニットは、新型A8向けとして「3.0 TFSI」と「4.0 TFSI」を設定。前者は3.0LのV型6気筒「3.0 TFSI エンジン」で、過給方式にツインスクロールターボが採用されています。最高出力250kW(340ps)、最大トルク500Nmを発揮。

後者の4.0L V型8気筒「4.0 TFSI」は、2基のツインスクロールターボが搭載された新エンジンで、最高出力は338kW(460ps)を誇り、最大トルクは660Nmに達します。

アウディA8
広大なキャビンが自慢のA8

組み合わされるトランスミッションは、8速ティプトロニックで、すべて48Vマイルドハイブリッドが搭載されています。

マイルドハイブリッドは、リチウムイオンバッテリーとベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)により、減速時には最大12kWの回生エネルギーをリチウムイオンバッテリーに送り込むことができます。

コースティング(惰力走行)時のエンジン完全停止に加えて、アイドリングストップの動作速度を22km/hへと高めたことにより、100km 走行あたり最大0.7L(欧州値)の燃料を削減可能です。駆動方式は、全車に、機械式センターディファレンシャルが搭載されるquattroフルタイム四輪駆動システム。

アウディA8
新型アウディA8のエクステリア

セルフロッキングディファレンシャルは、通常時には「前40:後60」にトルクを配分し、後輪駆動のような軽快なハンドリングとフルタイム4WDならではの優れた走行安定性を兼ね備えているそう。路面状況によってトルク配分を可変することで、優れたトラクション性とダイナミックな走りが得られるとしています。

●アルミとスチール、カーボンファイバーなどのコンポジットボディ

さらに、ボディやシャーシのアップデートも盛り込まれています。ボディパネルやフレーム部分にアルミニウムが使われていて、 キャビンには、熱間成型スチールコンポーネントとカーボンファイバー(CFRP)のパネルが採用されています。ストラットタワーバーには、マグネシウムを使うなど、高いボディ剛性と軽量化を両立。

また全車に、快適な乗り心地とスポーティなハンドリングを両立するというアダプティブエアサスペンションが標準化されています。

アウディS8
新型S8の精悍なエクステリア

最新の「プレディクティブアクティブサスペンション」もオプション設定(S8には標準装備)されます。

車両が路面や走行条件を先読みし、それぞれ1100Nmを発生するモーターを内蔵する4つのサスペンションを瞬時独立制御することにより、車両の姿勢変化を整える技術。「アウディドライブセレクト」の「ダイナミック」モードを選択すると、スポーティな走りに最適な走行姿勢になります。

「コンフォート+モード」では、ステアリングがフロントカメラと連動し、路面状況を把握。アクチュエータを予測的に制御することで、路面の凹凸をスムーズに吸収できるそうです。加速、減速、旋回などの状況下で、常に車体を水平な状態に維持することで、快適な乗り心地を実現。

アウディS8
新型アウディS8の走行イメージ

さらに、「アウディプレセンス360」と連動し、側面衝突が避けられないと判断した際には、衝突面の車高を約80mm引き上げて、車両剛性の高い部位でインパクトを受けるとともに、衝撃をサスペンションの減衰力で吸収。これにより、キャビンの変形や乗員への衝撃を軽減できるそうで、足まわりも高い安全性に寄与します。

スポーティグレードのS8も同時にマイナーチェンジ。新型S8には、4.0L V8ツインターボの「4.0 TFSI」エンジンが積まれ、420kW (571ps)/800Nmというスポーツカー並みの圧倒的なパワーを実現。

A8と同様に、48Vマイルドハイブリッドシステム、8速ティプトロニックを組み合わせることで高性能と高効率を両立しているのも特徴です。

足まわりには、前述の乗り心地と操縦安定性を高いレベルで両立する「プレディクティブアクティブサスペンション」をはじめ、取り回しを向上させながら、高速では前輪と同じ向きに切ることでスムーズなレーンチェンジなどを実現する「ダイナミックオールホイールステアリング」を搭載。

さらに、高速コーナリング時に左右のリヤホイール間で積極的にトルクを配分し、ハンドリングをさらにスポーティなハンドリングを実現する「リヤスポーツディファレンシャル」も標準装備されます。

アウディS8
新型アウディS8のインテリア

S8のエクステリアは、専用デザインの前後バンパーやアルミニウムルックインサートによって精悍さを増したハニカムデザインのシングルフレームグリルがアイキャッチになっています。

専用の点灯パターンが採用されたOLEDリヤライトや4本出しの楕円エキゾーストフィニッシャー、5ダブルスポークスターデザインの21インチアルミホイールがスポーティ感と精悍さを向上。一方のインテリアは、ブラックが基調で、「フルレザーパッケージ」や「バルコナレザー」の専用スポーツシートなどがスポーティ感と質感の高さを醸し出しています。

アウディS8
ラグジュアリーなキャビン

なお、ボディカラーに、S8と「S lineエクステリアパッケージ」専用の「デイトナグレーパールエフェクト」や「ウルトラブルーメタリック」といった新色も設定されているのもトピックスです。

●ボディサイズ
・標準ボディ:全長5190×全幅1945×全高1470mm
・ロングボディ(L):全長5320×全幅1945×全高1485mm

●価格
・「Audi A8 55 TFSI quattro」:1190万円
・「Audi A8 60 TFSI quattro」:1635万円
・「Audi A8 L 60 TFSI quattro」:1800万円
・「Audi S8」:2050万円
※全モデルに、左右両方のステアリングを設定

塚田勝弘

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる