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■スタートから勝負を仕掛けるKOBELCO SARDに揺るがないENEOS
2022年4月17日(日)に岡山国際サーキットで開催された2022 AUTOBACS SUPER GT開幕戦『OKAYAMA GT 300km RACE』の決勝レース。風が強く気温が低めだった前日の予選とは打って変わって、スタート時の気温23度、路面温度は32度と、4月中旬としては少し暑いくらいの陽気となりました。
13時25分にGT300を含む全車がスターティンググリッドに並び、2022シーズンの開幕戦スタートを待ちます。
そして14時、いよいよ2022シーズンのスタートが切られました。
順調にスタートを決めた14号車ENEOS X PRIME GR Supraでしたが、その横で勝負を仕掛けてきたのが、予選2番手だった39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra。
第1コーナーからインを刺そうと接近するも、ENEOS X PRIME GR Supraも華麗に防戦。難無きを得たENEOS X PRIME GR Supraは、徐々にその差を広げていきます。
早くも逃げ切り態勢を作ろうとするトップの後ろでは、2番手争いが序盤から激化。
DENSO KOBELCO SARD GR Supraに100号車 STANLEY NSX-GTと38号車 ZENT CERUMO GR Supraが続き、その後ろの5番手にはこの岡山戦でデビューとなるNissan Z GT500の12号車 カルソニック IMPUL Zが入ります。
30周あたりまでENEOS X PRIME GR Supra、ZENT CERUMO GR Supra、DENSO KOBELCO SARD GR SupraのGR Supra勢が上位を独占。またもや開幕戦でのGR Supra祭り開催か?と思わせる状況でしたが、規定のピットインで状況が大きく変わります。
●ピットインをうまく使ってカルソニック IMPUL Zが2位浮上!しかし…
31周目にピットインしたのはENEOS X PRIME GR Supra。2位以下に17秒以上のタイム差を持ってのピットインです。そこで難なくピット作業を終え、実質トップのままレースに復帰していきます。
そのピットのタイミングをうまく使ったのが、カルソニック IMPUL Z。5位でピットインしたカルソニック IMPUL Zは迅速なピット作業でピットアウトし、順位をなんと実質2位まで上げてきたのです。
しかしライバルも負けてはいません。ZENT CERUMO GR Supra、STANLEY NSX-GT、DENSO KOBELCO SARD GR Supraもすぐ後ろにで続き、その後方から3号車 CRAFTSPORTS MOTUL Zと23号車 MOTUL AUTECH Zも猛烈な追い上げてきます。
65周を過ぎると、2番手のカルソニック IMPUL Zがペースダウン。そんな中、67周目に24号車 リアライズコーポレーション ADVAN ZがGT300車両に追突され、そのGT300車両が追突の影響からストレートでクラッシュ。これによりフルコースイエロー(FCY)となります。
69周目にFCYが解除。そこでもペースが上がり切らないカルソニック IMPUL Zに対して、72周目にZENT CERUMO GR SupraとSTANLEY NSX-GTが仕掛けてきたことで、なんとコース幅の狭い岡山でスリーワイド!
ここで前に出たのはSTANLEY NSX-GTで、ここから猛追を開始します。
●ラスト10周のサバイバル
カルソニック IMPUL Zに代わって、NISSAN Z GT500勢で順位を上げてきたのは MOTUL AUTECH Z。3番手のZENT CERUMO GR Supraも抜いて、予選9位のスタートから3番手まで順位を上げてきます。
トップの14号車は盤石な走りで残り10周で2番手に12秒のリードと独走は変わりません。誰もが岡山連勝か!?と思い始めたところに、思わぬ状況が待っていました。
GT300同士の追突トラブルから2度目のFCY、それがレース残り4周で解除となると、2番手のSTANLEY NSX-GTがトップのENEOS X PRIME GR Supraに僅か1.9秒差まで迫っています。
後のインタビューで後半スティントをドライブした山下選手は「FCY解除後の再スタートでGT300車両が目前でハーフスピンし、これを避けきれずに軽く接触して、タイムロスをした」と語ります。
毎周回でタイム差を0.1秒を縮めてきたSTANLEY NSX-GTですが結局は届かず、優勝はENEOS X PRIME GR Supraとなりました。
ENEOS X PRIME GR Supraは昨年に続き開幕戦岡山の連覇を果たしました。2位はSTANLEY NSX-GT。3位はNo.23 MOTUL AUTECH Zで、Nissan Z GT500のデビュー戦に表彰台登壇を果たしました。
GT500の3車種が表彰台に揃って登壇した開幕戦。各メーカーの実力が均衡していることの証左であろうと思われ、今シーズンは予想が全くつかない波乱と混沌のシーズンとなりそうです。
次戦は5月3日(火)、4日(水)の富士スピードウェイ。450kmというロングディステンスでどんな戦いが繰り広げられるのでしょうか? 目が離せません。
【SUPER GT2022開幕戦 岡山 GT500 決勝結果】
順位 ゼッケン 周回数 車名 ドライバー
優勝 14 82周 ENEOS X PRIME GR Supra 大嶋和也 山下健太
2位 100 82周 STANLEY NSX-GT 山本尚貴 牧野任祐
3位 23 82周 MOTUL AUTECH Z 松田次生 ロニー・クインタレッリ
4位 38 82周 ZENT CERUMO GR Supra 立川祐路 石浦宏明
5位 3 82周 CRAFTSPORTS MOTUL Z 千代勝正 高星明誠
6位 36 82周 au TOM’S GR Supra 坪井翔 ジュリアーノ・アレジ
7位 12 82周 カルソニック IMPUL Z 平峰一貴 ベルトラン・バゲット
8位 39 82周 DENSO KOBELCO SARD GR Supra 関口雄飛 中山雄一
9位 17 82周 Astemo NSX-GT 塚越広大 松下信治
10位 8 82周 ARTA NSX-GT 野尻智紀 福住仁嶺
11位 37 82周 KeePer TOM’S GR Supra サッシャ・フェネストラズ 宮田莉朋
12位 16 82周 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT 笹原右京 大湯都史樹
13位 19 82周 WedsSport ADVAN GR Supra 国本雄資 阪口晴南
14位 24 82周 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木大樹 平手晃平
15位 64 82周 Modulo NSX-GT 伊沢拓也 大津弘樹
(写真:吉見幸夫 文:松永 和浩)