■bZ4Xで初採用された「Electricity Supply Unit(ESU)」の充電機能と電力変換機能を担う
2022年4月12日にバッテリーEVのトヨタbZ4Xが発表され、5月12日に法人向けはリース販売、個人向けはKINTOで発売されます。
4月13日、豊田自動織機はバッテリーEV向けに、車載充電器とDC-DC コンバーターを一体化させた小型、軽量の新ユニットを開発したと発表しました。
この一体型新ユニットは、bZ4Xに初搭載されます。
同ユニットは、トヨタがバッテリーEV用に初採用した「Electricity Supply Unit(ESU)」で、充電機能と電力変換機能を担う基幹ユニットになります。なお、電力分配機能は、デンソーが担っています。
車載充電器は一般家庭に供給されている交流電圧を直流電圧に変換し、バッテリーEVの高電圧バッテリーを 充電するために欠かせない機器です。
もう1つのDC-DCコンバーターは、直流電圧を機器に応じた電圧に変換する電源装置で、バッテリーEVの高電圧バッテリー(355V)から12Vの低電圧に変換。DC-DCコンバーターにより、補機バッテリーや制御ECU、ナビゲーションシステムやオーディオ、ライトなどに電力が供給されています。
豊田自動織機は、車載充電器は1990年代に初めてトヨタRAV4 EV向けに開発、生産を行い、2011年のプリウスPHVで本格的な生産に着手。現在は、プリウスPHV、レクサスUX 300eなど、搭載車種を増やしています。
同社は、このようにパワーエレクトロニクス技術をブラッシュアップしてきました。
今回、蓄積された技術と経験が活かされ、新ユニットでは、専用の制御IC、パワーモジュールを開発。加えて、ユニットケース内に冷却水路を形成し、水路両面に車載充電器とDC-DC コンバーターを立体配置して放熱性を高めるなどの設計により、大幅な小型、軽量化を実現しています。
一体型の新ユニットは、バッテリーEVの走行に必要な2つの部品が一体化されたことで、従来の別体での搭載と比較して23%の小型化と17%の軽量化を実現したそう。
従来は、車載充電器に3.3kWの回路が2つ使われていましたが、今回、6.6kWの回路を1つにすることで、部品点数とコストの削減にも寄与しているそうです。なお、一体型そのものは同社初ではなく、日産リーフにも採用されています。
新ユニットのキモは、小型・軽量化となっています。今回、bZ4Xから採用された新ユニットにより、車両への搭載性が向上し、車内空間の自由度確保や、 bZシリーズに初採用されたバッテリーEV専用プラットフォームの低重心化にも貢献するそう。
先述したように、コストの削減もメリットのひとつです。電動化戦略が欠かせなくなっている今、同社は、トヨタが掲げる2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、電動車市場が世界的に急成長する中、自在な電気エネルギーの変換や制御、効率的な利用など、電動車を支えるパワーエレクトロニクス技術の重要性がより高まっているとしています。
豊田自動織機は、今後も小型、軽量、高効率なパワーエレクトロニクス技術の開発に推進し、今回発表された車載充電器、DC-DCコンバーター一体ユニットをはじめ、カーエレクトロニクス製品の提供を通じて、電動車の進化や普及に貢献すると表明しています。
(塚田 勝弘)