フルモデルチェンジを受けた新型FIAT 500eは、最大335kmの航続可能距離を確保

■従来型のガソリンエンジン車も併売

当初、2021年末までの日本導入が予告されていた、3代目となる新型FIAT 500eが、2022年4月5日(火)、日本でも発表されました。なお、販売開始は6月25日の予定となっています。

発表会の後、早速公道で走らせる機会がありましたが、ここでは、フィアット初のバッテリーEVであるFIAT 500eの概要をお届けします。ちなみに、ガソリンエンジン仕様のFIAT 500も当面の間、併売されるとのことです。

FIAT500
新型500eと従来型の500C(カブリオレ)

新型500eは、従来型のガソリンエンジン仕様のFIAT 500よりも60mm長く、60mmワイドで、15mm低くなっています。新型500eは、フロントマスクこそ最新世代らしい先進的な印象を受けるものの、全体のフォルムやディテールは、従来型のFIAT 500とよく似ています。

FIAT 500e
新型FIAT 500eのカブリオレ(Open)のエクステリア

とはいうものの、500eはフルモデルチェンジであり、バッテリーEVに生まれ変わっています。つまり、ひと目でFIAT 500の新型と分かるエクステリアではあるものの、完全新設計となっていて、ホイールベースも20mm延長されています。

ボディバリエーションは、3ドアハッチバックと電動開閉式ソフトトップを備えたカブリオレの2タイプ。バッテリーEVのカブリオレは、現時点で唯一となる存在で、EVならではのスムーズで静かなドライブと、オープンエアの爽快感が得られます。カブリオレモデルのソフトトップの開閉は、前席頭上にあるスイッチ操作で完了します。

FIAT 500e
FIAT 500eカブリオレモデルのリヤビュー

エクステリア以上に新しさを感じさせるのがインパネです。シフト操作はインパネにあるスイッチ式で、電動パーキングブレーキの「P」スイッチも別途コンソールに配置されています。オートパーキングブレーキなので、アクセルを踏んでも解除できるほか、オートホールド機能が備わり、信号待ちでブレーキペダルを踏み続ける必要はありません。

インパネ中央には、ワイドな10.25インチの「Uconnect」ディスプレイが鎮座し、「Apple CarPlay」はワイヤレス接続が可能で、「Android Auto」は有線接続で対応。

FIAT 500e
新型FIAT 500eのインパネ

バリエーションは、ハッチバックが2タイプ、カブリオレが1タイプの3タイプです。

16インチアルミホイールや7インチフルカラーTFTマルチインフォメーションディスプレイ、衝突被害軽減ブレーキ、従来型のクルーズコントロールなどを備えたエントリーモデルの「Pop」は受注生産。

さらに、LEDヘッドライトやオートハイビーム、17インチアルミホイール、レザーシート、シートヒーター、アダプティブクルーズコントロール(ACC)などの上級装備を搭載する「Icon」、Iconと同等の装備を持つカブリオレモデル「Open」の3タイプです。

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ハッチバックモデルのフロントビュー

パワートレインは、最高出力87kW(118ps)・最大トルク220Nmのモーターが搭載されています。床下に積まれるバッテリーは、42kWhのリチウムイオン。低重心化と優れた重量バランスを実現し、コンパクトサイズながら最大335kmの航続可能距離(WLTC)が確保されています。

充電は単相交流200V用の普通充電、付属のCHAdeMOアダプターを介した急速充電に対応します。

走行モードは3つ用意されていて、ペダルの応答性が高く、エンジン車のような運転感覚の「NORMAL」をはじめ、回生ブレーキが強まる「RANGE」、最も航続距離を延ばせる「SHERPA」という2つのエコモードから選択できます。

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200V用の普通充電、付属のCHAdeMOアダプターを介した急速充電に対応

先進安全装備も搭載されています。先行車をはじめ、歩行者や自転車も検知可能な衝突被害軽減ブレーキ、車線から外れそうになるとステアリングの振動や警告音で注意を促すレーンデパーチャーワーニング、リヤパーキングカメラ(ステアリング連動ガイドライン付)、オートマチックハイビームなどを全車に標準化。

既述のように「Icon」と「Open」には、アダプティブクルーズコントロールを用意。さらに、レーンキーピングアシスト、サイドミラーの死角にある並走車の存在をミラー内のアイコンで確認できるアクティブブラインドスポットアシストなどが設定されています。

●新型500eの販売は、2種類のカーリースのみ

新型FIAT 500eの発表に伴い、サブスクリプション型カーリース「FIAT ECO PLAN」がスタートします。すでに運用されている「パケットFIAT」でも新型500eが選択可能になっています。

FIAT 500 e
前席のシートサイズは大きめ

要注意ポイントは、新型500eの販売は、この2種類のカーリースが前提である点。

その狙いは、シンプルな定額プランとすることで、より手軽にエコなEVに乗れるようにという配慮からだそう。バッテリーのコストが嵩むことで、車両価格が高くなってしまう点をより気軽なカーリースで補う、という狙いもありそうです。

さらに、充実したメンテナンスをパッケージ化することで、バッテリーを含めた車両のコンディションを長く最適に保つことができるとしています。

「パケットFIAT」と「FIAT ECO PLAN」は、頭金の用意や複雑なEV補助金申請、税金の支払い、契約期間中の整備点検費用(充電費用などは除く)が必要なく、月々の定額利用料で車両に乗ることができるプログラム。主な相違点は、任意自動車保険を含むか否か、また途中解約が可能であるかどうかです。

FIAT 500e
ひと目でFIAT500と分かる500eのスタイリング

サブスクリプション型リースの「FIAT ECO PLAN」には、年齢や保険等級が問われない任意自動車保険がセットになっています。車両保険や万一の際の弁護士費用、ボディやガラス、タイヤまでを含む安心の補償を享受できます。

契約期間中に車両が不要になった場合には、6ヵ月ごとの更新月に清算金を支払うことで、早期の契約終了も可能になっています。

月額利用料(すべて消費税込)の例として、サブスクリプション型の「FIAT ECO PLAN」で「500e Pop」が5万3900円(ボーナス払い10回/11万円)、「パケットFIAT」で「500e Pop」が3万4000円(ボーナス払い10回/11万円)となっています。契約終了後は、車両を返却することになります。

●ボディサイズ
全長3630×全幅1685×全高1530mm

●価格
「500e Pop」:450万円
「500e Icon」:485万円
「500e Open」:495万円

(文:塚田 勝弘/写真:Stellantisジャパン、塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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