ヤマハ発動機がブラジルの農業系スタートアップ企業「ARPAC」に出資

■ドローンによる農薬散布事業を通じて世界でも農業ビジネスの基盤づくりを掲げる

ヤマハ発動機の産業分野は幅広く、ロボットや産業用無人ヘリコプターなど多岐にわたっています。産業用無人ヘリコプターは、実際に日本の稲作などの農業で活躍するなど、実績を積み重ねています。

同社は、このほど、農業用ドローン開発からサービス供給までの一貫したソリューションを提供するブラジルのスタートアップ企業「ARPAC INDÚSTRIA DE AERONAVES S.A.(以下、ARPAC)」に出資したと発表しました。

ヤマハ発動機
サトウキビ畑に農薬散布しているARPACのドローン

今回の出資は、CVC(Corporate Venture Capital)活動を行うグループ会社のYamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valleyの活動を通じて実現したものだそう。

この出資でヤマハ発動機は、ブラジルでの農薬散布事業における知見やネットワークの取得が期待できます。さらに、将来的には、ブラジル以外の国々への展開も見据えたグローバルな農業ビジネスの基盤づくりを目指すとしています。

ヤマハ発動機
グローバルで農業用ドローンの開発、ドローンを使った農薬散布などのサービス供給を目指す

世界有数の食糧庫といわれるブラジルでは、大規模農場を中心に、電動ドローンを活用した農薬散布などのスマート農業市場が急速に拡大しています。

同国のスタートアップ企業であるARPACは、2014年にブラジルのポルト・アレグレ市に設立された農業用ドローンサービスの会社。

サトウキビや大豆、コーヒーなどの農場における自社開発ドローンによる生育監視と、その分析結果に基づいた農薬のスポット散布を強みとし、ドローン開発からサービス供給まで一貫したソリューションを提供しています。

ヤマハ発動機もこれまで産業用無人ヘリを通じて、「水稲を中心とした30年以上の農薬散布機事業の展開」「火山の噴火や土砂崩れなどの災害現場の観測」「山間部の送電線鉄塔のメンテナンス資材の運搬」など、空からのソリューションの提供を続けています。

ヤマハ発動機
ブラジルでサトウキビ畑に農薬散布しているARPACのドローン

また、近年では衛星写真の解析を通じた効果的な農薬散布を目的としたスマート農業の開発も推進。

ヤマハ発動機は、今後も産業用無人ヘリやドローン、ロボティクス技術の開発、活用を通じて、産業分野での生産性向上、省人化、自動化といった価値を提供することで、社会課題の解決や持続可能な成長の支援に取り組むと表明しています。

日本では農業分野の担い手の慢性的な人材不足、海外では先述したように大規模農業のスマート農業市場の拡大が続いているなか、同社の高い技術でユーザーや市場のニーズに応える構えです。

塚田勝弘

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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