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■スーパー耐久開幕戦で3社合同記者会見
2022年3月19~20日に鈴鹿サーキットで開催される「スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第1戦 SUZUKA 5時間耐久レース」に合わせて、トヨタ・スバル・マツダの3社が合同記者会見を開きました。
各社ともメーカー開発車両が競うST-Qクラスに参戦しているライバルです。
しかし、水素エンジンのカローラやカーボンニュートラル燃料のGR86を走らせるトヨタ、同じくカーボンニュートラル燃料で走るBRZ、そしてバイオディーゼル燃料で走るMAZDA2を走らせるマツダは、カーボンニュートラル時代のモータースポーツ、カーボンニュートラル時代のクルマづくりを研究する仲間ともいえます。
ですから、この記者会見では各社の立場は明確にしつつ、お互いにエールを送るといった和やかな雰囲気で進みました。
ここでは、バイオディーゼルによってカーボンニュートラル時代にチャレンジするマツダの丸本 明 社長 兼 CEOの発言に注目してレーシングディーゼルの進化について考察してみましょう。
●開幕戦はNOPROメンテのMAZDA2
さて、マツダのST-Qクラスにおける参戦体制は次のようになっています。
チーム名:MAZDA SPIRIT RACING
チーム代表:前田 育男(マツダ株式会社 常務執行役員)
車両:#55 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept
レース運営サポート:TEAM NOPRO(ノガミプロジェクト)
ゼッケン55といえば、マツダが1991年のル・マン24時間で総合優勝したときのマシンがつけていた伝統のナンバー。その数字からもマツダが本気でバイオディーゼルでのレーシング活動に向かい合っていることは感じられます。
マツダ社内のモチベーションも高いようです。現時点ではMAZDA2を走らせていますから、エンジンは1.5LのSKYACTIV-Dがベースになっているわけですが、丸本社長によれば「エンジン技術者からは300馬力の2.2Lディーゼルを作りたい」という声があがっているそうです。
●今シーズン中に300馬力のディーゼルで参戦
ST-QクラスのライバルとなるGR86は1.4Lターボに換装するなどパフォーマンスを上げています。
そこに対抗するためにはディーゼルの省燃費を活かした作戦を取るだけでなく、パワーで対抗できるマシンが必要ということでしょう。
あくまで耐久レースですからフィニッシュのときに前にいるほうが勝ちというレースですが、瞬間の速さでも競争できるST-Qクラスにしようという強い意志がマツダのエンジニアに滾っていることを丸本社長の発言は示しています。
2.2LディーゼルということはCX-5などに搭載されているエンジンをベースに、レーシングバージョンにするということでしょう。
参考までに、量産車に搭載されているSKYACTIV-D2.2のスペックは最高出力200馬力、最大トルク450Nmとなっています。
量産仕様では最高出力を4000rpmで発生するスペックとなっていますから、もっと高回転まで使えるようなセッティングにすれば300馬力を実現するというのはレースに求められる耐久性を考えても、けっして不可能な話ではないのでしょう。
おそらくトルクも太くなるでしょうから、非常に速いマシンになることが想像できます。しかもバイオディーゼルを使うということでカーボンニュートラルで速いディーゼルレーサーになるでしょう。
そんな2.2Lレーシングディーゼルエンジンを搭載するマシンは、MAZDA2になるのか、それともMAZDA SPIRIT RACINGに協力しているノガミプロジェクトがつて走らせていたアクセラディーゼルに載せるのか、はたまたニューマシンを投入するのか……。
様々な可能性が考えられますが、マツダ自身がバイオ燃料を前提としたレーシングディーゼルを開発するという宣言があっただけでも、マツダファンの期待値はマックスに高まっているはずです。
スーパー耐久におけるマツダの動きには大いに注目です。
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