目次
■原付2種EVスクーターのニーズなどを検証
ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、車両固定式バッテリーを搭載する原付2種クラスのEV(電動)スクーター「E01(イーゼロワン)」を3月17日に発表しました。
都市型コミューターの実証実験向けに、7月から日本、欧州、台湾、インドネシア、タイ、マレーシアへ順次導入することを明らかにしました。
●独自開発のモーターを搭載
E01は、原付2種クラスのスクーターとしての実用性と、都市間の移動に適した走行性能を備えるEVスクーター。
ヤマハでは、EVインフラやシェアリングビジネスなどの構築にあたって、顧客ニーズの把握やそのほか周辺ビジネスの可能性の探求、新たな市場開拓などの実証実験用として、事業所、自治体、官公庁などに向けて導入するモデルだといいます。
主な特徴は、まず、専用開発した高回転型の空冷永久磁石埋込型同期モーター(IPMSM)を搭載すること。
ヤマハが長年培った鋳造技術と加工技術に加え、新たに独自の「平角太巻き線技術」を融合し、2輪EV用空冷モーターとしてトップレベルの出力/トルク密度、高効率化を実現。街中の渋滞路や低速走行時の扱いやすさ、全域でのリニアな加速感に貢献しています。
モーターの最高出力は11ps、最大トルクは3.1kgf-mを発揮。「VCU」「BMS」「MCU」といった電子制御デバイスを搭載することで、バッテリーエネルギーの高効率と高出力を両立しています。
ちなみに、VCUとはガソリン車のECUに相当するデバイスで、速度センサーなどの情報と推定値を統合演算。制御信号を、バッテリーの安全制御を行うBMS(バッテリーマネージメントシステム)と駆動用モーターを制御するMCU(モーターコントロールユニット)に送ることで、バッテリーにかかる過度な負担を抑え、性能安定化を図っています。
●満充電での航続距離104km
電源は、大容量と高出力を両立する車両固定型リチウムイオンバッテリーを採用。満充電での航続距離は104kmを実現します。
バッテリー充電は、「急速充電器」「普通充電器」「ポータブル充電器」の3つの充電システムに対応し、使用環境や用途に応じて選択が可能です。
事業所や2輪販売店などへの設置に適する急速充電器では、1時間で残量0%→90%までの充電が可能。
自宅など、私有地への設置に適する普通充電器は、5時間で残量0%→100%の充電が可能です。
さらに、シート下収納に収まることで携帯性に優れるポータブル充電器は、14時間の充電で残量0%→100%の充電を可能とします。
なお、充電コネクターは各充電器で共通です。
●車体にスポーツバイクのノウハウも注入
車体では、強度・剛性バランスに優れた新開発バックボーンフレームを採用。ヤマハ製スポーツバイクで実績のあるCFアルミダイキャスト製スイングアームを装備することで、軽量化も図っています。
スタイリングでは、東京モーターショー2017に出展したMOTOROiD(モトロイド)を頂点とする、ヤマハのEVシリーズデザインコンセプト「人機官能EVデザイン」に基づいたスタイリングを採用。
特にE01では、バッテリーとモーターエリアを一直線に配置することで、EVの「機能」であるパワートレインを視覚化。また、EVのクリーンさとモーターサイクルの逞しさを無機的な表情と情緒的なラインを併せ持つデザインで表現しています。
ほかにもこのモデルでは、エンジンブレーキの感覚を再現した回生ブレーキ、走行状況に応じて選べる3つの走行モードなども採用するなど、数々の最新機能が満載です。
●7月から国内でリースによる実証実験を開始
なお、ヤマハでは、このE01をリースして行う、国内の実証実験を7月から実施することも発表。
これは、「E01」を利用してもらったユーザーに意見や使用状況を聞くなどで、原付2種クラスEVや急速充電の市場受容性を探ることが目的。
利用期間は、7月の車両受け取り(受取期間2022年7月1日〜7月31日)から3か月間で、取次窓口は、ヤマハスポーツバイク専門店「YSP」となります。
なお、応募期間は2022年5月9日〜5月22日。参加条件は、満20歳以上、小型限定普通二輪免許(AT限定含む)以上の二輪免許保有、応募者名義のクレジットカード保有、利用開始後のアンケートへの回答です。
応募の詳細は、以下の公式ホームページを参照下さい。
(文:平塚直樹)
【関連リンク】
E01実証実験の詳細および応募ホームページ
https://e01lease.yamaha-motor.co.jp/top