新型ノア&ヴォクシーは、ミドルサイズミニバン史上、最高レベルの乗り心地、静粛性が光る

■ハイブリッド、ガソリンエンジン車の美点と課題は?

2022年1月13日に発売された新型ノアヴォクシーは、2月中旬時点で約7万台もの受注を集めているそうです。新型は全幅が全車3ナンバー枠に突入し、5ナンバーを基調としたミドルサイズミニバンというクラスを超えています。

トヨタ ノア&ヴォクシー
2.0Lガソリンエンジン車のヴォクシー(S-G)のFFモデル

それでも、5ナンバー枠の標準系を設定していた先代でも約80%が3ナンバーのエアロ系グレードだったそうで、全幅が1730mmに収まっていますから、これくらいであれば許容範囲という方も多いはず。もっとワイドになってくると、狭い場所での取り回しや駐車に影響も出てきそうです。

トヨタ ノア ヴォクシー
ノアのハイブリッド(S-Z)の走り

新型ノア&ヴォクシーは、「TNGA(GA-C)」プラットフォームを採用。パワートレーンは、新世代の1.8Lハイブリッド、2.0Lのダイナミックフォースエンジンが設定されています。

ハイブリッドは、後輪へのトルク配分を拡大した4WDのE-Four、ガソリンエンジン車には、発進時やスリップしやすい路面でトルクを後輪に振り分けるダイナミックトルクコントロール4WDが採用されています。

ハイブリッドの1.8Lエンジンは、98PS/142Nm。モーター出力はフロントが95PS/185Nm、E-Fourのリヤが41PS/84Nm。

トヨタ ノア ヴォクシー
最新世代の1.8Lハイブリッド。補機バッテリーがエンジンルームに移設された

ハイブリッド車、ガソリンエンジン仕様ともに印象的なのは、乗り心地の良さと高い静粛性です。

背の高い箱型ミニバンであり、クルマを取り巻く広大なウインドウスクリーンを備えるとは思えないほど上質でしっとり、静かな空間になっています。街中から首都高速の速度域までであれば、こうしたトヨタが得意とする快適性が存分に発揮されています。

トヨタ ノア ヴォクシー
2.0Lガソリンエンジン車のエンジンルーム

音・振動面で唯一といっていいほど気になったのは、ガソリンエンジン車のCVT由来の音で、首都高速の合流時や追い越し時にアクセルを踏む込むと「モー」っという音と共に音が高まります。エンジン回転が高まり、加速感がついてこない、いわゆるCVTの「ラバーバンドフィール」が感じられます。

先述したように、ウインドウや開口部が大きなミニバン離れした高い静粛性を誇るだけに、相対的にこの音が目立ってしまうという印象です。モーターアシストが加わり、バッテリー残量や速度域によってはEV走行も可能なハイブリッドは、ガソリンエンジン車よりも一段と静か。

トヨタ ノア ヴォクシー
EVモードスイッチを備えるハイブリッド

意外なのは、最新世代のハイブリッドシステムの搭載により、ハイブリッド車とガソリンエンジン車の車両重量の差が30kgしかない点です。従来、ハイブリッドとガソリンエンジン車の両方を設定するモデルでは、ハイブリッドの方が重く、モサッとした乗り味になりがちでした。路面によっては、床面下が重いことで、揺すぶられるようなマナーを示すシーンもあります。

しかし、新型ノア&ヴォクシーは、車両重量の差も少ないことで、こうしたネガをほとんど抱かせないのも美点です。

トヨタ ノア ヴォクシー
ハイブリッドのメーター内ディスプレイのエネルギーフロー

ハイブリッドは、街中で50〜60km/h程度であればEV走行のシーンも多く、高級車ともいえる乗り味を享受できます。一方の2.0Lガソリンエンジン車は、高速域のパンチ力に優れ、中低速域の力感でも手応えがあり、より力強い走りを求める層にオススメです。

●ボディサイズ:全長4695×全幅1730×全高1895mm
●価格帯:267万円〜389万円(ノア)、309万円〜396万円

(文/塚田勝弘 写真/井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる