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■エンジン縦置きのプラグインハイブリッドが発表された
マツダが直列6気筒エンジンと、そのエンジンを縦置きする新型プラットフォームを開発していることは知られています。
ラージ商品群と呼ばれる、そのバリエーションとして4気筒エンジンを縦置きしたプラグインハイブリッドを登場させることも以前からアナウンスされていました。
そして、このたびプラグインハイブリッドの量産モデルであるミドル級SUV「CX-60」が欧州で先行発表されました。電動化が必須の欧州市場に先行投入することは自然な流れといえますが、CX-60については日本でも発売されることが公言されています。
ここでは、国産車のプラグインハイブリッドとしてライバルとなるであろうモデル「トヨタRAV4 PHV」「三菱アウトランダーPHEV」と比較しつつ、CX-60の日本での位置づけを考察してみましょう。
●電動パワートレインの考え方は三社三様
CX-60のパワートレインについては公表されている情報を整理すると、2.5L4気筒ガソリンエンジン+8速AT+モーターとなります。
4WD仕様を用意するのかどうかは不明ですが、4WDにするとしてもトランスミッションからフロントにプロペラシャフトで駆動力をデリバリーする設計となっていることがメカニズムの画像からわかります。
一方、RAV4 PHVとアウトランダーPHEVはフロントに4気筒ガソリンエンジンを横置きにしてモーターを配置。リヤについても独立モーターを置いた電動4WDのメカニズムを採用しています。この2台については基本的な考え方は似ているといえます。
もっともRAV4 PHVはフロントモーターの最高出力が182馬力でリヤモーターは54馬力となっているのに対して、アウトランダーPHEVではフロントモーターが85kW(約115馬力)、リヤモーターは100kW(約136馬力)と後輪駆動を強くしています。
プラグインハイブリッドの4WDといっても、それぞれ考え方は異なることがわかります。
●システム最高出力は327馬力とリードする
設計思想の違いはバッテリー搭載量にも現われています。各車のバッテリー総電力量を整理すると次のようになっています。
CX-60:17.8kWh
RAV4 PHV:18.1kWh
アウトランダーPHEV:20kWh
この数字から想像できるようにアウトランダーPHEVは電気自動車に近い走りを見せます。ただし、EV走行距離ではアウトランダーPHEVが83~87kmとなっていますが、RAV4 PHVは95kmとリードします。必ずしもバッテリー総電力量が大きいほうが電気だけで走れる距離が伸びるというわけではありません。
それでもCX-60のバッテリー総電力量と電動メカニズムの構成を考えると、ここでライバルとして想定する2モデルよりはEV走行距離は短いでしょう。ちなみに、イギリス仕様ではEV走行距離は39マイル(約63km)が発表されています。
一方、プラグインハイブリッド車のパフォーマンスを示すシステム最高出力(エンジンとモーターを合わせて出せる出力)は327馬力と発表されています。これは同じ2.5Lエンジンを積むRAV4 PHVの306馬力を上回るものです。なおアウトランダーPHEVのシステム最高出力は、おおよそ250馬力程度と考えられます。
●イギリスでの価格帯は672万円~735万円
パフォーマンスを考えると、RAV4 PHVやアウトランダーPHEVよりも高価格になってもおかしくありませんが、はたしてCX-60の価格はどうなるでしょうか。
イギリスでの価格帯は43,950ポンド~48,050ポンドとなっていますから、日本円にすると672万円~735万円相当となります。ただし、イギリスでの価格は他のメーカーでも日本国内の価格より高くなりがちなので、この金額を日本仕様の価格として想定するのはミスリードとなるでしょう。
大まかな価格帯でいうと、RAV4 PHVは470万円~540万円、アウトランダーPHEVは460万円~530万円と非常に近くなっています。
ミドル級の2.5L 4気筒エンジンを積んだプラグインハイブリッドSUVを日本で売ろうと思うと、このあたりが妥当な価格帯だとトヨタも三菱自動車も判断しているのだとすれば、マツダも同様の見方をするのではないでしょうか。
誰もが手の届く価格帯とはいえませんが、RAV4 PHVもアウトランダーPHEVも順調に売れています。500万円台前半でCX-60を日本市場に用意できればヒット間違いなしといえるでしょう。そうした戦略的な価格が実現することを期待したいと思います。