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■BMW Team StudieのSUPER GT2022参戦マシン、BMW M4 GT3
2月7日(月)、BMW Team Studieは日本に初導入しSUPER GTの2022シーズンに参戦するためのBMWの最新FIA GT3マシン「BMW M4 GT3」を、富士スピードウェイにてシェイクダウンしました。
BMW M4 GT3は、2021年のニュルブルクリンク24時間レースにも参戦していますが、実は試作バージョンのために賞典外ということになっており、またスーパー耐久2021最終戦・岡山(2021年11月13日~14日)のイベント広場で展示されていたものも試作バージョン。
本格的にデリバリが始まったのは2021年末で、BMW Team Studieが導入したこの個体は、2022年1月下旬に日本に到着したもの。
1月28日にすでに参戦発表をしているBMW Team Studieですが、その参戦発表の日がマシンの受け渡し日となっていました。
これまでGT3カテゴリーを走ってきたBMW M6 GT3よりもサイズアップしており、全長は何と5mを超えた5020mm、全幅は2040mm、ホイールベースも3mに近い2917mmとなっています。
サイズアップもさることながら、注目が集まるのはそのエンジンで、これまでのBMW M6 GT3のV型8気筒からBMW M4 GT3では新しい3リッターの直列6気筒に変更されています。
●超コンパクトな直列6気筒エンジン
その直列6気筒エンジンにツインターボで590馬力を発揮するとされますが、実際は性能調整などが入るはずなので、レース参戦にあたってフルパワーとなることはないでしょう。
それでもBMWの伝統ともいえる直列6気筒エンジン中で、幻と言われるM1のグループ5仕様を除けば、歴代最大のハイパワーエンジンとなります。
そのエンジンはかなりコンパクトで、フロントタイヤの車軸よりも内側にすっぽりと入るように、かなり後方に配置されています。
そのため、BMW M4 GT3のフロントノーズのほとんどがインタークーラーなどを通過した空気の抜け道となっているほど。
フロントカウルを外した状態のマシンをのぞき込んでも、インタークーラーなどの配管の下に隠れていて容易にその姿を見ることができません。
つまり、かなり後方に配置されながら、なおかつかなり低い位置に搭載されているということになります。なお排気は左フェンダーの後端から行うこととなります。
かなり後方に配置されているはずのエンジンですが、コクピットへの干渉は少ないように見えます。
着座位置やステアリングの位置などから察するに、ドライバーはリアタイヤのすぐ近くまで後ろに下がっているように見えますが、それでも従来のV型8気筒エンジンであれば、フロントノーズでもっとエンジンヘッドが主張していたはずです。
このフロントノーズ内で全く主張をせず、むしろ存在を隠しているともいえる直列6気筒エンジンは、かなりコンパクトであると言えます。
●2022シーズンはGT300唯一のミシュランタイヤ
SUPER GTのGT300クラスに参戦するにあたって大きなファクターとなるタイヤですが、BMW Team Studieはミシュランをパートナーとしました。
ミシュランの体制も、ただタイヤを供給するだけのパートナーではなく、レースごとにタイヤの仕様をマシンに合わせてくるフルサポート体制としてのパートナーとなるようです。
ミシュランがGT300クラスでこの体制を築くのは、2014年のSUBARU BRZ以来となります。
このミシュランタイヤをマシンとつなげるホイールにはBBSジャパン、そのタイヤとホイールにガッチリとした制動で止めるブレーキパッドにはディクセルと、BMW Team Studieならではの組み合わせが連なります。
BMW M4 GT3ではそれ以外にも様々な特異点があります。
たとえば、エアジャッキのエアホース差込口がテールランプ下にあったり、リアサイドウィンドウがカーボンとなるなど多岐にわたります。そんな違いも見ながら、開幕前の公式テストや開幕戦を楽しんでみるのも面白いのではないでしょうか?
SUPER GT2022の開幕戦は4月16日(土)~17日(日)に岡山国際サーキットで開催されます。
(写真・文:松永 和浩)