■ルノー・日産・三菱アライアンスは、5つのEV専用共通プラットフォームをベースにした35車種の新型EVを投入
ルノー・日産・三菱アライアンスは、2022年1月27日、「Alliance 2030」と題して電動化戦略やプラットフォームの共有化など、新たなロードマップを示しました。
電動化を加速するため、今後5年間で230億ユーロを投資すると表明しています。2030年までに5つのEV専用共通プラットフォームをベースにした35車種の新型EVを投入し、世界中で加速する電動化に対応する構えです。
そのうち90%のモデルは、5つの共通EVプラットフォームをベースとし、ほとんどの市場、すべての主要地域をカバーするそう。
また、2030年に向けて、同アライアンスはEVとコネクテッド・モビリティに注力することを表明し、2026年までにプラットフォームの共用化率を80%まで向上させることを掲げています。
5つのプラットフォームをチェックすると、まず「CMF-AEV」は、世界で最も手頃なプラットフォームと位置づけていて、新型ダチア・スプリングのベースになります。さらに、2022年に発売される軽EV専用プラットフォームもあります。
「LCV(小型商用車)」のEV専用プラットフォームは、ルノー・カングーや日産タウンスターのベースになっています。
そして、グローバルでフレキシブルなEVプラットフォームである「CMF-EV」は、まもなく発売される日産アリアやルノー・メガーヌE-Techエレクトリックのベースになります。この「CMF-EV」プラットフォームは、革新的な技術とモジュール化がもたらす高い性能により、新世代EVのベンチマークとなるプラットフォームと自信を見せています。
EV用のパワートレインに求められるすべての要素を統合、最適化し、高性能な新型モーターや超薄型バッテリーを搭載。具体的には、2030年までに15車種以上に「CMF-EV」が使われ、最大で年間150万台が生産される計画の主力プラットフォームになります。
コンパクトEV向けの「CMF-BEV」は、2024年に投入される予定。最大400kmの航続距離と優れた空力性能を実現し、現行のルノー・ゾエ比でコストを33%低減し、消費電力を10%以上改善するとしています。
「CMF-BEV」プラットフォームは、ルノー、アルピーヌ、日産の各ブランドで年間25万台分のEVのベースになる見込みです。この中には、ルノー・R5や、日産マイクラの後継となる新型コンパクトEVも含まれます。
日産の新型コンパクトEVは、今回、デザインの一部を披露されています。各社は共通プラットフォームを採用しながら、モデルごとに独自のスタイリングを追求することで、ブランドの個性を大切にすることを強調。
この新型コンパクトEVは、デザインは日産、開発はルノーが受け持ち、フランス北部のルノー・エレクトリシティでの生産が予定されています。
一方の三菱は、ルノーの最量販車をベースとする新型車2車種を欧州市場へ投入。
また、電動化で欠かせないバッテリーについては、2030年までにグローバルで220GWhのバッテリー生産能力を確保することを掲げ、共通のバッテリー戦略を強化。その中で日産は、全固体電池の技術開発をリードし、アライアンスでそのメリットを享受するとしています。
一方のルノーは、一体型の共通電気・電子アーキテクチャーの開発をリードし、2025年までに完全にソフトウェア定義(software defined)された車両を投入する予定です。
以前お伝えしたように、トヨタは、2030年までにバッテリーEVを年間350万台販売する戦略を披露していて、各社のバッテリーEV戦略が次々と更新されています。
(塚田勝弘)