目次
■過激なチューニングカーからキャンピングカーまで、何でもありの東京オートサロン2022出展車両のなかから選んだ3台
編集長から言い渡されたテーマは「東京オートサロン2022で見かけた私のベスト3」。さっそくいきましょう!
●1位:GR GT3 CONCEPT(TOYOTA GAZOO RACING)
東京オートサロン2022の直前にティザー告知が出された際にはレクサスの何かをベースに新たなGT3車両を作るのかな?くらいの認識でしたが、まさかこんなカタチで登場してくるとは思いもしませんでした。
FIA GT3カテゴリのマシンは、まず市販車ありきで、その市販車をレース用に仕立てるのが一般的な考え方です。それはAMGメルセデスでもフェラーリでもBMWでもホンダでも日産でも同じでした。
ベースとなる市販車は最低生産台数が決められていて、なおかつレース用マシンの上限価格が日本円で6000万円相当を上限とし、一度FIAの認可を得るとそのレース仕様は1シーズンのうちは変更ができなくなるなどといった厳しいルールがあります。
これにより、シーズン中に性能調整などを入れながらも各メーカーでの性能差が少なくできることで、イコールコンディションが保ちやすいという面があり、FIA GT3は世界のGTレースでも人気の中心となっています。
そんなGT3カテゴリーで、トヨタは全く逆の発想の開発を提案しました。
つまり、レースに勝てるパッケージを先に作って、それをベースにGT3カテゴリのホモロゲーションのための市販車を作ろうというのです。1980年代後半のグループBラリーカーのような発想です。
今回展示されたGR GT3 CONCEPTは、トヨタがGT3レースで勝てると考えたパッケージングといえます。そうやって見ると、フロントエンジンはマストながらも重心はなるべく後ろに持っていこうというパッケージングが見て取れます。
だったらミッドシップでいいじゃないか?とも考えられますが、ミッドシップにすると重心が後ろに下がりすぎるということなのでしょう。
あまりのロングノーズに異形を感じますが、理詰めで導き出したパッケージングをそのまま見せるというのは、大英断ではないかと考えます。
●2位:A-RF BILET 6 ROTOR COSMO(ロータリーエキシビジョン)
マツダがその昔、ラグジュアリーでスペシャリティなクーペとして「ユーノス コスモ」を発売していたということを知っている方がどのくらいいらっしゃるかわかりませんが、これを書いているわたくし自身がいつか買いたいと思っていた憧れのクルマでした。
そのユーノス コスモに6ローターを、まさに「ブチ込んだ!」と言えるのが、A-RF BILET 6 ROTOR COSMOです。コンパクトといわれるロータリーエンジンですが、さすがに6ローターとなればかなりの長さ。ロングノーズのコスモでもかなりギリギリな長さとなります。
この6ローターは39Bと名付けられています。13Bを3つかけたという意味でしょう。ちなみにユーノスコスモの純正エンジンは3ローターの20Bエンジンでした。20Bの2個掛けだと40Bになってしまうのですが、どちらのほうがいいのでしょうか?
こういった極端なクルマって、大好きです♪
●3位:AT-Z(A to Z)
A to Zはもともとキャンピングカー製作で知られるショップです。そのためNV200の荷台側をぶった切ってシェルを乗せ、ベッドキットなどと組み合わせるなどのキャンピングカーを製作することもありました。
その施工を行っていく際にシェルを乗せなければピックアップトラックだ、と気づいたスタッフが仕上げたのがAT-Zで、遊びのツールとしてのピックアップとしてはかなりかっこいいのでは?と思います。
いまやわが国で、新車で買えるピックアップトラックはライトエースしかないので、それ以外の選択肢としてはアリだと思います。
●もうすぐなのでBEST3番外編 YARIS jr(埼玉自動車大学校)
トヨタiQにGRヤリスの顔をつけただけ?と思われるかもしれませんが、実はリア駆動のコンパクトカーとして製作されています。
リアハッチの中、ラゲッジスペースをぶち抜いてカワサキのNinja1400のエンジンが搭載され、ディファレンシャルギアまでの駆動伝達は何とチェーン!
リアアクスルはヤリス4WDのもの、エンジンマウントなどは鉄パイプを溶接するなど、作り込みもかなりのもの。
ミッションはバイク用のシーケンシャルシフトからリンケージを伸ばして操作するため、リターン式のシフトをレバーで操作することになります。
なぜこのクルマが「もうすぐBEST3」なのかというと、まだ走行ができていないという点が気がかりとなったためです。もししっかりと走れていたならばベスト3となっていたでしょう。
それにしても、東京オートサロン2022がリアル開催されたおかげで、様々なクルマを見ることができました。単純に見るだけで楽しいクルマが本当に集まってくれる東京オートサロン。この感動と興奮はリアル開催でなければ味わえません。
(写真・文:松永 和浩)