日産フェアレディZと電気自動車アリアには意外な共通点があった!【週刊クルマのミライ】

■新型フェアレディZがオートサロンで公開

東京オートサロン2022の初日、日産ブースは完全に新型フェアレディZを大々的に推しまくりでした。

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ボディサイズは全長4380mm・全幅1845mm・全高1315mm。ホイールベース2550mm(写真はバージョンST)

午前中いっぱいブースに幕を張って、選ばれたメディアだけが取材可能という状況にしつつ、オンラインで新型フェアレディZを国内初公開するといった具合。

そんな日産ブースには右ハンドルの日本向け量産仕様と、メーカー自身がこだわって作ったカスタム仕様が並べられていたのです。

気になる新型フェアレディZの主要スペックも公表されました。

全長:4380mm
全幅:1845mm
全高:1315mm
ホイールベース:2550mm

「VR30DDTT」型3.0L V6ツインターボの最高出力は405kW・最大トルクは475Nmと発表され、トランスミッションは6速MTと9速ATを設定するということです。

●240台限定、プロトスペックは696万6630円

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東京オートサロン2022で日本仕様のフェアレディZが初公開された。特別仕様車の価格は696万6630円

グレード構成は標準車、バージョンS(MTのみ)、バージョンT(ATのみ)、そしてバージョンSTとなっています。

さらに、デビュー記念の特別仕様車として240台限定・6月下旬発売予定となる「Proto Spec」も表されています。

ボディカラーは、プロトタイプを思わせるイカズチイエローとスーパーブラックの2トーン。専用カラーのレイズ製19インチアルミ鍛造ホイール(チタニウムゴールド)や4輪アルミキャリパー対向ピストンブレーキ(イエロー)などを装備しているのが識別ポイントです。

インテリアも、本革・スエード調ファブリックコンビシート(イエローセンターストライプ、イエローステッチ、イエローアクセントライン)となり、インストパネル、ドアトリムクロス、MTシフトノブブーツ、ニーパッドなどに専用カラーステッチを施しています。

まさに新型フェアレディZのイメージそのままといった特別仕様車です。

カタログモデルの価格は未発表ですが、特別仕様車プロトスペックについてはメーカー希望小売価格696万6300円となることが発表されました。

●アリアリミテッドの価格帯は実質580~710万円

ARIYA limited
アリアの特別仕様車は660万円~790万200円。最大80万円の補助金が期待できる

およそ700万円という価格については、妥当という声もあれば、高すぎて買えないという悲鳴も聞こえてきますが、新型フェアレディZの価格が700万円を上限にするのだとすれば、同じ日産車で迷いそうなクルマがあります。

それが電気自動車のアリアです。

純ガソリンターボでMT設定のあるFRスポーツカーと、電気自動車を天秤にかけるユーザーなんていないと思うかもしれません。

しかし、アリアにしても前後にモーターを配したe-4ORCE仕様では超絶ハンドリング性能を持っていると日産はアピールしていますし、電動ならではのレスポンスやトルク感はスポーツカーを蹴散らすだけのパフォーマンスを持っていることは周知の事実。

日産のパフォーマンスモデルを買いたいという日産ファンであれば、フェアレディZとアリアの4WDモデルを比べることは決してあり得ない話ではないと思うのです。

なにしろアリアのラインナップにおけるハイパフォーマンスグレード「B9・e-4ORCE」のスペックは、290kW・600Nmです。バッテリー総電力量は91kWhで、一充電航続距離は580kmと発表されています。実用性もスポーツドライビングも楽しめる電気自動車になっています。

しかも、アリアとフェアレディZの価格帯は重なっています。

アリアのデビューエディションといえる特別仕様車「リミテッド」シリーズの価格帯は660万円~790万200円、カタログモデルのエントリーグレードは539万円です。令和3年度補正予算における電気自動車の補助金はアリアの場合で最大80万円となっています。

つまり、フェアレディZプロトスペックとアリアB9 e-4ORCE limitedの価格は、実質的に同じくらいといえるのです。

●いずれも栃木工場で混流生産される

ARIYA limited
2021年6月に発表されたが納車はこれからとなる新型EV「アリア」はフェアレディZと同じ工場で作られる

この2台の共通点は、同じ日産車で価格帯が700万円前後というだけではありません。

新型フェアレディZは従来通り、栃木県にある工場で作られるといいます。

日産の栃木工場といえば、2021年にニッサンインテリジェントファクトリーとして生まれ変わり、すでにアリアを生産しています。

というよりも、アリアを量産するために環境負荷が小さいインテリジェントファクトリーに進化したといえます。

つまり、アリアとフェアレディZは同じラインで混流生産されるというわけです。実際に、どのようにラインを流れるのかはわかりませんが、関係者に話を聞いたところ交互に流れてもおかしくないくらいのイメージなのだということです。

フェアレディZとアリアは同じ故郷を持ち、同時に作られる、血縁の濃いファミリーといえるのです。熱心な日産ファンならば、いっそ同じ日に生産されたアリアとフェアレディZが欲しいなどと思うかもしれません。

日産が以前発表した「NISSAN Next A to Z」という、新型モデルのシルエットを見せるという動画は、アリアにはじまりフェアレディZで終わるというものでした。

その意味でも、アリアとフェアレディZは日産というブランドを象徴する2台といえます。まったく異なるパワートレインですが、日産DNAの共通性があるのかどうか、非常に気になるといえそうです。

自動車コラムニスト・山本晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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