ダイハツ・エッセによるオールジャパンエッセカップ、激闘の2021年シーズン最終戦が終了

■2代目・日本一のエッセ遣いが決定

AJEC
日本一のエッセ遣いを決めるAJEC。今シーズン4戦で争われた

オールジャパンエッセカップ(AJEC)の2021年シーズン最終戦となる第4戦が、12月12日(日)、愛知県にあるキョウセイドライバーランドで開催となりました。

その名の通り、ダイハツ・エッセを中心としたシリーズで、一戦一戦各イベントで違うカテゴリーの競技を行うスタイルを取っています。

5月2日に行われた開幕戦(岐阜県・恵那モータスポーツランド)はパイロンジムカーナ、6月6日の第2戦(長野県内)は林道トライアル、10月16日に開催の第3戦(三重県・モーターランド鈴鹿)はサーキットトライアル。そして最終戦はSSジムカーナで争われました。

●SSジムカーナって何?

完熟歩行
完熟走行は一度で2本のコースを覚える必要があって、いつも以上に完熟歩行が重要となった

SSジムカーナと聞きなれない言葉ですが、これはこのAJECが発案した競技で、ラリーのSSのように連続して走行することを指します。

通常、ジムカーナ競技というのは様々なパターンの設定できるコースを使って、設定されたコースをドライバーが覚え、そのコースでタイムアタックを2~3回行います。その後、次のレイアウトのコースに移っていくわけです。

ですが、このSSジムカーナはセクションとしては独立してタイム計測は行っていきながらも、2本の設定コースを一気に走行してしまいます。

今回は最初に設定されたAコースでSS1とSS2を連続してアタックした後、設定を変更したBコースでSS3とSS4を連続して走行することになります。一度に2回の走行(もしくは長い設定コース?)を覚えなければなりませんが、SS1で失敗してもSS2は挽回できます。

●エッセ以外の軽自動車でも参加OK!

#21 Konno
今回、krt.66クラスに唯一参戦したのが27アルトバンで参戦した今野貴史選手(#21 タカツカスピードアルトバン)

AJECは2020年に初めて開催され、今シーズンが2年目のシーズンとなっています。当初はダイハツが2005年から2011年に掛けて販売した5ドアハッチ軽自動車である「エッセ」によるワンメイクシリーズとして開催されましたが、門戸を開放する形で、エッセ以外の軽自動車(krt.66およびkrt.66t)とコンパクトカー(C1.5/C1.6)によるクラスも開設していっています。

#8 イージュ
今シーズンは、第3戦からの参戦で、2位、そして今回1位と優勝でシーズンを締めくくったイージュ選手

エッセのクラスは、車検適合範囲でのカスタム改造を行った車両のE1と、ノーマルかノーマルプラスαのE2という2クラスに分けられ、さらに車両規定とは別に初心者やエンジョイしたい人向けのE3クラスも用意されています。

#10 Muto
E1クラス開幕優勝した武藤功二選手(#8 K’s BRIG BILSエッセ)は今回2位で18ポイントを獲得しランキング2位

基本的にはワンカーアタックでのイベントですので、一つの車両をシェアするダブルエントリー、トリプルエントリーもあり、さらに、一人で複数クラス参戦も可能で、今回は、全27台のエントリーとなりました。

このうち今回12台がエントリーしたエッセのE1クラスはまだシリーズチャンピオンが確定しておらず、し烈な争いが展開されることとなりました。

●シリーズタイトルをかけた熱い戦い

#12 Nishiwaki
今季3戦目にしてようやく優勝し、E1クラスのポイント争いでトップに立った西脇裕一選手がそのままシリーズタイトルを獲得

この最終戦当日は、冷え込みは厳しくもなく、朝こそ好天に恵まれましたが、雲が出てきてなかなか気温が上がらない中での競技となってしまいました。

午前中に行われたAコースは、SS1、SS2ともに1分ほどの短めのコース設定、BコースはSS3、SS4ともに若干長いコースです。この会場となるキョウセイドライバーランドのコースは大きな自動車教習所のようなコースとなっており、通常のジムカーナでは使用しない坂道発進などに使用する丘も使った特色あるコースともなっています。

表彰台
イージュ選手が優勝。2位に武藤功二選手、3位に西脇裕一選手が入った

E1クラスでタイトル争いをしているのは、ポイントリーダ-の西脇裕一選手、そして2番手につけているのが行徳聡選手(#11 K’sパープルエッセ)、そして武藤功二選手(#8 K’s BRIG BILSエッセ)が続いています。

ただ、今回西脇選手は前回のエンジンブローが間に合わず、なんとランキング暫定3位の武藤選手と車両をシェアしての参戦となりました。

#11 Gyotoku
今回4位に入った行徳 聡選手も武藤選手と同点の18ポイントを獲得し、同着ランキング2位となった

この一本目の走行では、SS1トップが武藤選手(51.76秒)、SS2トップが西脇選手(60.08秒)でしたが、合計タイムでまずは西脇選手(112.36秒)がトップ。

続く2本目では、その西脇選手がSS2で痛恨のパイロンタッチで5秒加算となり大きく後退。武藤選手はSS1でまたしてもトップ(51.88秒)。SS2ではイージュ選手(#6 やまびこっ!大福エッセ)の60.69秒がトップタイムとなりました。

このAJECでは基本的にタイム差ではなくポイント制になっており、このAコースの1トライ目のタイムで西脇選手がトップ(10ポイント)、2位には武藤選手が1トライ目の112.98秒のタイムで9ポイント。そして2トライ目の113.83秒のタイムでイージュ選手が3位(8ポイント)を獲得しました。

#16 Yuppi
ノーマルエッセのE2クラスでは、すでにタイトルを決めているゆっぴ選手(#16 Bay-G Tribeエッセ太郎)が優勝

そして、変更となったBコースでは、1本目のSS3では武藤選手がトップタイム(66.76秒)、SS4ではイージュ選手がトップタイム(67.72秒)という結果。Aコースでトップに立っていた西脇選手は、両選手に及ばずともに3番手。

実はAコース2本目に西脇選手が所有し貸し出しているレンタル・エッセが大転倒し、ドライバーは無事だったものの車両は廃車という状況であったので、これがもしかしたら影響しているのかもしれません。

そして続く2トライ目では2本ともにベストタイムを出したイージュ選手がトップとなり、武藤選手、西脇選手という順でポイントを獲得。結果、トップ3が同点となり、3選手によるサドンデスとなりました。

サドンデスでは、SS3のコースで行われたものの、西脇選手は「これでタイトル確定しましたし、借り物の武藤選手の車両を壊しちゃいけないんで」と、このサドンデス進出を辞退。武藤選手とイージュ選手の対決は、まさかの武藤選手のマシンのドライブシャフト折れという結果でイージュ選手の優勝となりました。

これで今シーズンのAJECは終了。来シーズンのスケジュールはまだ発表されていませんが、年間6戦でのシリーズとさらに開催レースを増やす予定のようです。

また、エッセを中心にしたことは変わらないものの、他の車両がもっと参戦しやすい環境の模索もしているようです。この日もアバルトのオーナーグループに声掛けを行っており、このAJECのコースを使用しての試走も行なわれました。

試走
アバルトのオーナーの集いである「チーム東海トリコローレ」のメンバーが試走を行った

2022年シーズンのスケジュールは間もなく発表される予定です。

青山 義明

この記事の著者

青山 義明 近影

青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
続きを見る
閉じる