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■創業100周年のモト・グッツィは高級ツアラー投入
アプリリアやモト・グッツィ、ベスパなど、さまざまなバイクブランドを手掛けるイタリアのピアッジオは、2022年に発売を予定する各ブランドの新型モデルを発表しました!
アプリリアでは、660cc・2気筒エンジンを搭載するスポーツモデル「トゥオーノ660」の上級バージョンなど4モデル、2021年で創業100周年を迎えたモト・グッツィでは、最新の電子制御を搭載した高級ツアラーなど注目モデルが目白押しです。
しかも、これらのほとんどが日本でも発売される予定とか。一体、どんなモデルが登場するのか紹介しましょう。
●アプリリア・トゥオーノ660ファクトリー
「トゥオーノ660ファクトリー」は、660cc・2気筒エンジンを軽量な車体に搭載するカウル付きスポーツバイクのトゥオーノ660に、高性能サスペンションなどを装備した上級バージョンです。
41mmのインナーチューブを持つKYB(カヤバ)製フロントフォークは、圧側および伸び側の減衰力とスプリングプリロードの調整が可能。
リヤショックアブソーバーは独立したリザーバータンクを持つザックス製で、こちらも圧側および伸び側の減衰力とスプリングプリロードを調整することができます。
また、バッテリーに軽量のリチウムイオンタイプを装備するなどで、総重量を約2kg軽量化(車両重量181kg)し、パワーウェイトレシオをさらに向上させています。
加えて、エンジンの最高出力も、トゥオーノ660の95馬力に対し、100馬力へアップさせ、さらなる動力性能の向上も図っています。
ほかにも、ライドバイワイヤ電子制御アクセルと6軸慣性プラットフォームを標準装備したAPRC電子制御装置、クラッチ操作なしでシフトのアップ/ダウンが可能なAQS(アプリリア・クイックシフト)なども採用。ワインディングやサーキットなどで、よりスポーツライディングが楽しめる仕様になっています。
●アプリリア・RS660リミテッドエディション
「RS660リミテッドエディション」は、スーパースポーツモデル「RS660」をベースとした限定バージョンです。
RS660は、トゥオーノ660と同じ660cc・2気筒エンジンを搭載し、サーキットなどでより楽しめる装備を満載したモデルです。2020年10月に発売されたこのモデルは、アメリカで開催されているミッドレンジ2気筒モデルを対象としたロードレース「ツインズカップ」の2021年シーズンで、優勝マシンの栄光を獲得。
今回登場するリミテッドエディションは、その勝利を記念したもので、1000台限定で発売されるものです。
特徴は、まず米国旗にインスパイアされたオリジナルの星条旗カラーリングを採用すること。ほかにも、シングルシート用テールピースカバー、大型のフロントシールド、クイックシフトの設定をサーキット向けの逆チェンジにも対応させるソフトウェアなど、数々のユニークな特徴を備えます。
●アプリリア・トゥアレグ660
「トゥアレグ660」は、こちらも660cc・2気筒エンジン採用の新型アドベンチャーバイク。
モデル名は、1985年にアプリリアが発表し、オフロード分野で伝説となったバイク「トゥアレグ」の名前を継承したもの。昔からのアプリリア・ファンには、おなじみのネーミングです。
エンジンの最高出力は80馬力で、乾燥重量はわずか187kg。低回転域からトルクが発生するパワートレインと軽い車体により、高速道路での高い巡航性能などツアラー的要素と、オフロードでの快適性といったエンデューロバイク的要素を両立しています。
このマシンには、さらに、最新テクノロジーも満載です。トラクションコントロール、クルーズコントロール、カスタマイズ可能なエンジンマップを含むAPRC電子制御装置を装備し、さまざまな道で高い走破性を誇ります。
前輪は2.5×21インチ、後輪は4.5×18インチのホイールを採用。燃料タンク容量は18Lで、ツーリングなどの長距離走行にも十分対応します。
●アプリリア・SR GT
「SR GT」は、アプリリア初のアーバン・アドベンチャースクーター。エンデューロバイクに着想を得て設計され、都市部から郊外のダート走行まで幅広く対応するオールラウンドなバイクです。
エンジンは、174cc・単気筒で、最高出力は13kW(17.6ps)を発揮します。アクティブなライディングポジション、幅広なネイキッドハンドルバーが優れた操作性を実現。トラベル量の大きなサスペンションと高い地上高により、市街地の道路にある段差などを乗り越えるのも楽勝です。
幅広なオールテレーン対応タイヤを備えることで、舗装路、石畳、ダートまで、あらゆるタイプの路面に対応すると共に、アウトドアテイスト満点のスタイルにも貢献します。
●モト・グッツィ・V100マンデッロ
「V100マンデッロ」は、1921年に創業し、100年の歴史を持つモト・グッツィの伝統と最新テクノロジーを融合した1000ccの新型ツアラーです。
まず、スタイルは、モト・グッツィの伝統を活かしながら現代風にアレンジしたデザインが特徴です。1976年の「ル・マン」を彷彿とさせる3本のスリットが入ったシート下サイドパネル、1981年の「ル・マン850III」をオマージュしたトップフェアリングなど、かつての伝説的マシンをイメージした数多くのパーツを採用します。
新開発エンジンには、数々の名車を生み出してきた90度Vツインを採用。最高出力115ps以上・最大トルク105Nm以上で、3500rpmという低い回転数で最大トルクの90%を発生。コンパクトで扱いやすいフレームと相まって、スポーティな走りも楽しめます。
このモデルは、最新テクノロジーの採用もトピックスのひとつ。燃料タンク両側に位置するディフレクターを、速度や選択したライディングモードに応じて自動的に調整する「アダプティブ・エアロダイナミックシステム」を世界初採用。快適性とエアロプロテクションの向上に貢献します。
また、モト・グッツィとして初めて6軸慣性プラットフォーム、コーナリングABS、セミアクティブサスペンション、クイックシフトなども装備。快適な乗り心地や、高い安全性能などに寄与します。
●モト・グッツィ・V85TTグアルディアドノーレ
「V85TTグアルディアドノーレ」は、クラシカルなスタイルを持つアドベンチャーモデル「V85TT」の特別仕様車です。扱いやすい853ccの90度Vツインエンジンを搭載し、オンロードとオフロード両方での高い走破性が魅力のモデルです。
今回登場する特別仕様車は、モト・グッツィ創業100周年のとなった2021年に、V85TTがイタリア国家元首を警護する部隊用バイクに正式採用されたことを記念したもの。
大統領官邸のクイリナーレ宮殿に提供されたV85TTと同様に、ボディには黒のカラーリングを採用。それに、大統領警護部隊であるコラッツィエリが乗るモト・グッツィバイクをイメージした白のグラフィックを組み合わせます。
また、白のストライプは、フロントマッドガードから燃料タンク、サイドパネル、特大のツーリングウインドシールドにも施され、全体的なフォルムを引き締めます。
ウインドシールドのほか、センタースタンド、エンジンガード、LEDフォグライトを標準装備し、高い実用性も誇ります。
なお、このモデルは、コラッツィエリ連隊がモト・グッツィのバイクを採用した最初の年、1946年にちなんで1946台の限定生産となり、各車のハンドルバーライザーには、1から1946までのシリアルナンバーが刻印されるそうです。
これらモデルは、イタリア・ミラノで2021年11月25日から28日まで開催された世界最大級のバイクショー「EICMA」に出展されたもので、ほかにもピアッジオでは、「(ベスパエレットリカ)RED」や「ピアッジオ1フェン・チェン・ワン(日本未導入モデル)」など、電動スクーターも発表しています。
ピアッジオ1フェン・チェン・ワン以外のモデルは、2022年に日本での発売も期待されるところですが、日本総代理店のピアッジオグループジャパンでは、まだ発売時期や価格は未発表。今後の動向が気になります。
(文:平塚 直樹)