■装置の価格は52万8000円(取付費込み)で、工場出荷後の架装は不可
以前お伝えしたように、マツダは手動運転装置付きの「MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle(セルフ エンパワーメント ドライビング ビークル)」を開発。プレス向け公開や、「第48回 国際福祉機器展 H.C.R.2021」への出展など行ってきましたが、いよいよ2021年12月9日(木)に「MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle(MX-30 SeDV)」の予約受注を開始し、2022年1月以降に発売される予定です。
「MX-30 SeDV」最大の美点は、手動運転とペダルによる運転操作の選択が容易にできる点。足が不自由な方とそれ以外の人が1台をシェアできることです。家族で1台しか所有できないという場合、とても魅力的な選択肢になります。
また、MX-30が採用する観音開きの「フリースタイルドア」により、車いすによっては、自分の手で後席に車いすを搭載することができ、1人で移動したいというニーズにより容易に応えてくれます。
対応車種は、MX-30の全モデル(MX-30、MX-30 EVモデル)。通常のペダル操作と手動操作の切り替えは、レバーブレーキを押し込み、ブレーキロックをかけた状態でイグニッションをオンにすることで、アクセルリングによる手動運転が可能になります。
その際は、アクセルペダルでの操作はできなくなり、誤って踏み込む危険性を軽減。逆に、通常のモデルのように、フットブレーキを踏みながらイグニッションをオンにすると、アクセルペダルによる足での運転操作が可能になり、アクセルリングでの操作はできなくなります。なお、レバーブレーキを押し込み、フットブレーキを踏んだ状態でイグニッションをオンにすると、アクセルリングによる操作になります。
アクセルリングによる運転操作は、多少の慣れが必要ですが、比較的容易です。アクセルリングの反力に段差が設けられていて、加速フォールをわかりやすくする機能が採用され、細やかな操作と定速を維持しやすくすることの両立を可能としています。両手でステアリングを保持できることで、ステアリングスイッチの操作もしやすく、ロングドライブなどでも上半身の負担を軽減できるメリットもあるそう。
また、ブレーキは「レバーブレーキ(押し込み式)」で操作します。肩を起点に、力を発揮しやすい軌道にレバーが配置されています。シートスライドに影響が少ない場所に装着されていて、チルト&テレスコピックステアリングと合わせて、適切なドライビングポジションと良好な視界を確保できるのも美点です。
さらに、「ブレーキサポートボード」も備わります。こちらは、肘をサポートできるボードで、肘を支点に細かな操作のしやすさと安定したブレーキ操作を実現。
足の不自由な方はもちろん、そうでない筆者にも便利に感じられたのが、移乗ボードです。乗降時の身体や手を支える面積を確保しながら、足入れのスペースも確保した形状になっています。こちらは、ワンアクションで折りたたみ可能で、万一の衝突時にも、サイドエアバッグの展開に影響が少ない配置にされているそうです。
なお、購入する際は、オフィシャルWebサイトから申し込み、専門スタッフがオンライン上にて相談から商談まで、顧客それぞれのニーズにあったパーソナライズもサポートする体制も整えられています。
顧客からの要望に応じて、運転操作のサポート部品も用意されています。パーソナライズとして、「ケイレン止めプレート」、「チェンジレバーブラケット」、「ボディテープ(マジックテープ式)」、「ボディサポートシステム」、「助手席倒しレバー」、「リヤシートカバー」、「リヤゲート補助ベルト(リトラクタ式)」を設定。
また、購入の流れは、「MX-30 SeDV」サイトの「商談予約はこちら」より、商談希望日時、希望販売会社などを入力。その後、販売会社よりオンライン商談のURL(TEAMS)が送付されます。オンラインで相談などが受け付けられ、最後に販売店において契約となります。
●価格
・アクセルリング (直感コントロール機能付き)、レバーブレーキ、ブレーキサポートボード、移乗ボード:52万8000円(取付費込み)
※上記はワンパッケージでの装備、販売になります。また、工場出荷後の架装はできません。福祉車両を購入する場合や、障がいのある方が運転される場合は、国や自治体による減免、助成措置が受けられます。
(塚田 勝弘)