■ヤマハ発動機グループの環境経営にも貢献する取り組み
ヤマハ発動機は、「グローバルな視野と多様性の尊重」という理念のもと障がい者の雇用促進とモチベーション向上を掲げ、実績を積み重ねています。今回の「ニュースレター」では、特例子会社ヤマハモーターMIRAIの挑戦についてレポートされています。
ヤマハモーターMIRAIでは現在、知的障がい者30名、精神障がい者2名、身体障がい者1名を含む52名がオフィスサポート業務やオフィス清掃、部品包装などの仕事に取り組んでいて、社員として働いているそうです。
同社では、新たにPCの再生業務を始めていて、変革を目指す同社のチャレンジのひとつと位置づけているそうです。同社社長の高橋愛さんは、「中古パソコンのリユースは、社会課題の解決につながると同時に、ヤマハ発動機グループの環境経営にも貢献すると考えています。
こうしたエシカルな価値を持つ取り組みの一端を担うことで、私たちMIRAIの新たな価値を生み出していきたいと考えています」とその狙いを明かしています。
PC再生という新たな業務領域は、就労選択肢の拡大にもつながるそうで、高橋さんは、「持ち味や適性の異なる社員たちがいきいきと働くためには、仕事の選択肢は広いほうがいい。こうした業務領域の拡大を社員の能力開発やスキルアップの動機づけにもつなげていきたい」と期待を込めています。同時に新規事業にもなっているそう。
ヤマハモーターMIRAIにPC再生業務を委託しているポンデテック社は、教育現場における端末の不足や障がい者の雇用、さらには循環経済形成など、さまざまな社会課題をPC再生処理技術でつなぐことを目指したスタートアップ企業。ヤマハ発動機が出資するベンチャーファンドをきっかけに出会いが生まれ、両社の協業がスタートしています。
今回の取り組みでは、まずヤマハ発動機で不要になったデータ消去済みの古いPCをポンデテック社が回収。再生処理の技術指導を受けたMIRAI社が業務を受託し、再生されたPCはポンデテック社を通じてICT教育の現場などに安価で販売され、再び活用されることになります。
企業が業務で使う端末は、比較的ハイスペックなモデルが多く、同一機種を大量に仕入れられることから再生処理工程の省力化にも結びつきます。ヤマハモーターMIRAIでは、月間50台規模のトライアルを10月からスタートさせ、今後、人材育成に取り組みながら本格稼働させていく計画になっています。
ヤマハモーターMIRAの高橋社長は、「このスキームを軌道に乗せることができれば、全国のさまざまな特例子会社の新規事業として応用できる可能性が広がります。ヤマハ発動機にとっても使用済みのPCが利活用されるのは良いことですし、まずは足元を固めて、その後はグループ企業や地域の自治体にもPCリユースのアプローチを拡げていきたいと考えています」とコメントしています。
(塚田勝弘)