電気の供給始まる/探検家バードが南極点上空に到達/トヨタRAV4のEVが限定販売!【今日は何の日?11月29日】

■日本初の架空配電が始まる、米国探検家バードが南極点飛行に成功

昔の電燈
昔の電燈

1887(明治20)年11月29日、東京電燈株式会社(東京電力の前身)が、南茅場町に設置された日本最初の火力発電所である第二電燈局から、直流200Vの配電を開始しました。送電先は、日本郵船会社、東京郵便など大口需要先に限られましたが、空中に電線を張った架空配線による電力供給の始まりでした。東京電燈は、ドイツAEG製の50Hzの発電機を使用し、関西は大阪電燈が60Hzの米国GE製発電機を使ったことから、これが今も続く東日本と西日本の電力周波数の違いの原因となっているのです。

米国の冒険家R・バード(C)Creative commons
米国の冒険家R・バード(C)Creative commons

また1929(昭和4)年のこの日、前日に南極大陸の米国基地を出発した米国海軍少将で探検家でもあったR・バードが、南極点上空を通過して無事帰着しました。使用した飛行機はフォード4ATの3発機(発動機を3機搭載)「フロイド・ベネット号」で、往復15時間51分の飛行時間を要しました。南極への航路が開拓されたことで、その後南極の科学調査や気象観測が大きく進展しました。R・バードはこの年の3年前の1926年に、北極点の往復飛行にも成功しています。

さて、クルマ界の今日は何があったのでしょう?

●RAV4ベースの電気自動車RAV4 L EVを発売!

1991(平成3)年のこの日、トヨタ電気自動車RAV4 L EV」にインダクティブ充電仕様車を新設定して発売を始めました。

1999年発売のRAV4L V EV
1999年発売のRAV4 L EV
1999年発売のRAV4 V EVの運転席周り、バッテリー残量計を装備
RAV4 L EVの運転席周り。バッテリー残量計を装備

インダクティブ充電とは、トランスのように電磁誘導を利用して非接触で電力を伝える方式の充電器。GMが最初に実用化したもので、卓球のラケットのような充電プラグを、クルマ側に装着したスリット状の充電インレットに差し込んで充電します。EVが普及している現在は、国際的に標準化された接触充電のコンダクティブ方式が主流で、インダクティブ充電の採用例はほとんどありません。ただしインダクティブ充電を発展させた非接触のワイヤレス充電は、注目の将来技術として開発が進められています。

1994年にデビューしたRAV4。都会派SUVとして大ヒット
1994年にデビューしたRAV4。都会派SUVとして大ヒット

ベースのRAV4は、1994年に発売された乗用車ベースの都会派コンパクトSUVとして、大ヒットを記録しました。RAV4 L EVは、交流同期モーターやインバーター、シール型ニッケル水素バッテリーなどを搭載し、車重はベースに対して約360kg増大。モーターの最高出力は50kW(68PS)、最大トルクは190Nm(19.4kgm)、最高速度は125km/hを発揮しました。満充電に要する時間は約6時間、満充電時の航続距離は215kmです。

RAV4L EVは、特定の大口カスタマーに買い戻し権付で販売するフリート販売でした。車両価格は495万円に設定されていましたが、販売が目的でなく電気自動車の市場での実績を積んで、技術的なさまざまな情報を抽出するのが目的です。市場実績のない新しい技術を採用したクルマを、一般ユーザーに販売する前に、メーカーが行う手法のひとつです。

毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかも知れません。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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