都議の問題で改めて重大性が問われる「無免許運転」、実は同乗者も同罪?

■意外と知らない? 無免許運転は5つのパターンに分類される

●無免許運転とは、どのような状態に該当する違反行為なのか?

無免許運転
都議の無免許運転問題。今、あらためて無免許運転について再確認

2021年7月2日の東京都議選期間中に、無免許運転で人身事故を起こした都議会議員の木下富美子氏が、11月9日、およそ4ヵ月ぶりに公の場に姿を見せました。

木下氏は、2021年2月から道路交通法違反による免許停止処分となっており、停止処分になってからも6回ほどクルマを運転していたとされています。

今回の事故によって、大きな話題となっている無免許運転。その定義について、SNSでは、「改めて定義が知りたい」といった声も見られます。

無免許運転については、道路交通法第68条において決められています。

「無免許運転等の禁止」
「運転免許を持っていない場合」
「免許の取り消し処分中の場合」
「免許の停止処分中の場合」
「自身が取得した免許外の自動車である場合」

この5つについて無免許運転になるとされています。

海外の運転免許証
これは中国の運転免許証。このような海外の免許証でも、日本国内では無免許運転となる

また、この5つに加え、保有しているのが海外の運転免許の場合も、日本国内では無免許運転とみなされます。

上記の規定からも分かりますが、今回の木下氏のケースのように運転免許は取得済でも、取り消しおよび、停止処分中の場合は無免許運転に該当するので注意が必要です。

●免許更新忘れも無免許運転に!

さらに注意が必要なのが、免許の更新を忘れてしまって、うっかり無免許の状態に陥ってしまうことです。

運転免許の更新は、免許取得から3年で1度、その後さらに2年後に1度、その後は5年ごとに必要となり、毎回自身の誕生月から前後1ヵ月以内に行います。

無免許運転
誕生日前にはがきで届く、免許更新通知案内

更新時には、免許証に記載された住所に、事前に通知のはがきが届くようになっていますが、引っ越しなどで住所変更を行っていない場合は、はがきが自宅に届きません。

そのために、更新のタイミングに気が付かず、知らず知らずのうちに免許の有効期限が切れてしまっているという人もいるようです。

有効期限が切れてしまっている場合は、免許証としての効力をもたないため、そのまま運転してしまうと、思いがけず無免許運転とみなされてしまうため要注意といえます。

●無免許運転の違反点数はどれくらい?

もし、無免許運転を行ってしまった場合、違反点は25点加点となり、一発免許取り消しになります。さらに、その後2年間は欠格期間として、免許証の取得ができません。

無免許運転
無免許、しかも事故を起こしたとなっては、普通は厳重な処分が下される…ハズ

つまり、無免許で運転してしまうと、その後2年はさらに無免許の状態が続き、改めて運転免許試験を受ける必要が発生するということです。

そのような事態に陥らないことはもちろん、無免許での運転は、周囲のクルマにも危害を加える恐れがある危険極まりない行為です。

運転免許の有効期限などを常に意識するとともに、例え、ほんの一瞬であっても無免許での運転は行わないようにしましょう。

●「免許条件違反」とは?

さらに、無免許運転に近いものとして、「免許条件違反」というものがあります。

免許の条件
眼鏡等、AT限定…などの条件を満たさない場合も違反の対象

免許条件違反は、例えば、普通自動車免許を「AT限定」で取得した人が、公道でMT車を運転するといった行為を指しており、自身の取得した免許では、運転が認められていない自動車を運転するという違反行為です。

無免許運転
種類に記載のないものを運転しても違反対象

ATかMTかだけでなく、排気量の上限を越えた自動車を運転している場合、運転免許の「免許の条件等」の欄に「眼鏡等」といった条件が記載されているにもかかわらず、眼鏡を着用せずに運転した場合なども、免許条件違反にあたります。

このように、自身の保有していない条件の自動車の運転、認められていない状態での運転は、免許条件違反となります。

免許条件違反では、違反点2点に加え、普通車の場合では、違反金として7000円が科されます。

違反点や違反金を見ると、一見、無免許運転に比べて軽微な違反に感じるかもしれませんが、免許条件違反の場合も、自身の運転できない状況で運転をしていることになるので、非常に危険な行為であるといえます。

運転免許の条件は、改定されていることもあり、自身が運転できるクルマの種類を厳密に把握できていない人もいるかもしれません。

いま一度、自身の運転免許の条件を確認し、例えば仕事などで普段運転しないようなクルマを運転する際などは、特に排気量や車重などに注意するように心がけましょう。

●無免許の人の運転、運転者だけでなく同乗者にもペナルティが

実は、無免許運転によって、法律違反を問われるのは運転者だけではありません。

前述の道路交通法第68条には…。

「何人も、自動車又は原動機付自転車の運転者が第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けていないことを知りながら、当該運転者に対し、当該自動車又は原動機付自転車を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する自動車又は原動機付自転車に同乗してはならない」

つまり、運転者が無免許であることを知りながら、そのクルマに乗ったり、運転を促したりすることも違法行為になるということです。

このような違法行為を「無免許運転幇助行為」といい、無免許運転を助長するものとして、違反点25点が加点されます。

違反点25点ということは、違反の重大さは無免許運転を行っている運転者と同等ということで、もちろん、一発免許取り消しのうえ、欠格期間も2年間となります。

無免許運転
運転するのも、同乗するのもNGな無免許運転

無免許の運転者への同乗は、非常に危険な違法行為に加担しているという意識を持って、絶対に避けるとともに、まずは無免許で運転しようとしている人に対して、自制するようにしっかりと注意を促しましょう。

もし、事故が起きてしまった場合には、周囲の人も巻き込む可能性があるということを自覚し、改めて同乗者も運転者と同じように、安全かつ円滑な交通を実現させるという意識を持ちましょう。

(梅村 ゆき)