第7戦もてぎでGT500・GT300ともにチャンピオンが決まる可能性あり!【SUPER GT 2021】

■第6戦オートポリスの順位でシリーズランキングが大きく動いた

●シリーズをかけた戦いは、サクセスウェイトが勝敗を握る!?

10月24日に大分県オートポリスで開催された、2021 AUTOBACS SUPER GT第6戦『AUTOPOLIS GT 300km RACE』。

第6戦オートポリスGT300優勝のTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT
第6戦オートポリスGT300優勝のTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT

GT300クラスで優勝したのは、31号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT。

第6戦オートポリスGT300ポールポジションのTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT
第6戦オートポリスGT300ポールポジションのTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT

31号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTはポールポジションも獲得していますので、優勝ポイント20点に加えてポールポジションポイント1点が加算され、第6戦オートポリスでは21点を獲得したことになります。

TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの優勝を喜ぶレースクイーン
TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTの優勝を喜ぶレースクイーン

このように、SUPER GTでは順位に応じたポイントが付与され、そのポイントにより年間のシリーズチャンピオンが決定することとなります。またこのポイントに応じてサクセスウェイトがそのマシンに搭載され、それまでの順位が下位だったチームも勝利を手にするチャンスが得られるようになっています。

なお、第2戦から第6戦のオートポリスまではGT300の場合で、ポイントの3倍の数値の重量がサクセスウェイトとして積まれることになっていました。これによると、GT300クラスのランキング上位3チームは、第6戦オートポリスでは100kgを超えるウェイトとなりますが、参戦にあたっての最大重量は100kgという上限が決められています。

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

その100kgのウェイトを積みながら、3位表彰台を獲得してしまった61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT。この3位により第6戦オートポリス終了時点での獲得ポイントは50点となります。

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

サクセスウェイトは第7戦もてぎではハーフウェイトということになり、獲得ポイントの1.5倍の数値の重量となるために75kgを積むこととなります。

リアライズ日産自動車大学校 GT-R
リアライズ日産自動車大学校 GT-R

第6戦オートポリスを11位という順位で終え、ポイント獲得ならずであったために、そのSUBARU BRZ R&D SPORTを追うシリーズランキング2位となったのが、56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-R。第6戦オートポリス終了時点での獲得ポイントは38点で12点差となり、サクセスウェイトは57kgとなります。

リアライズ日産自動車大学校 GT-R
リアライズ日産自動車大学校 GT-R
たかのこの湯 GR Supra GT
たかのこの湯 GR Supra GT

続くランキング3位は、こちらも第6戦オートポリスで17位となってしまった244号車 たかのこの湯 GR Supra GT。第6戦オートポリス終了時点での獲得ポイントは36点で14点差となり、サクセスウェイトは54kgとなります。

たかのこの湯 GR Supra GT
たかのこの湯 GR Supra GT

SUPER GTではドライバーポイントとして1位20点、2位15点、3位11点、4位8点、5位6点から10位1点というポイントが付与、ポールポジションには1点が付与されます。

これを見ていくと、SUBARU BRZ R&D SPORTがもし第7戦もてぎでポールtoウィンとなった場合、21ポイントが加算され71点、2位に56号車 リアライズ日産自動車大学校 GT-Rが入った場合で15点加算の53点ポイントとなり18点差となります。また、たかのこの湯 GR Supra GTが2位の場合は51ポイントで20点差ということになります。

リアライズ日産自動車大学校 GT-R
リアライズ日産自動車大学校 GT-R
たかのこの湯 GR Supra GT
たかのこの湯 GR Supra GT

SUBARU BRZ R&D SPORTが優勝しても、このどちらかが2位となれば、チャンピオン決定は最終戦の富士(11月27日-28日)に持ち越しということになります。

SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT

しかし、SUBARU BRZ R&D SPORTが優勝した上でこの2台が両方とも3位以下であればチャンピオンが決定するということとなり、第7戦もてぎはかなり緊迫した戦いになることが予想されます。

第6戦オートポリスではランキング上位3台が同じサクセスウェイトでしたが、第7戦もてぎではSUBARU BRZ R&D SPORTが20kg近く重い状態となり、そこがレースにどう影響するのかが注目のポイントとなるでしょう。

■GT500はSTANLEY NSX-GTがチャンピオンに王手か?

第6戦オートポリスのGT500で見事に優勝したARTA NSX-GT。こちらは予選4番手からの優勝であったためにポールポジションポイントは付きませんので、第6戦オートポリスでの獲得ポイントは20ポイントとなります。

第6戦オートポリスGT500優勝のARTA NSX-GT
第6戦オートポリスGT500優勝のARTA NSX-GT
ARTA NSX-GTの優勝を喜ぶレースクイーン
ARTA NSX-GTの優勝を喜ぶレースクイーン

この第6戦オートポリスでは、すでにランキングトップとして100kg相当のサクセスウェイトを課せられた1号車 STANLEY NSX-GTが、6位に入賞し5ポイントを獲得しています。

STANLEY NSX-GT
STANLEY NSX-GT

GT500の場合はサクセスウェイトの換算がGT300とは異なり、ポイントの点数の2倍の数値の重量が課せられることになります。その上限は100kg相当となるのですが、実際は50kgのウェイトしか積みません。

100kg相当の場合は残りの50kg分を燃料流量リストリクターというもので燃料供給を制限することで行います。STANLEY NSX-GTのようにサクセスウェイト100kg相当の場合は、50kgのウェイトと88.0kg/hの燃料流量リストリクターを組み合わせることで、100kg相当のウェイトの効果を出します。

STANLEY NSX-GT
STANLEY NSX-GT

現在ランキングトップのSTANLEY NSX-GTは、第6戦オートポリス終了時点で山本尚貴選手が60ポイント、開幕戦を欠場した牧野任祐選手が57ポイントとなっています。第7戦もてぎでのサクセスウェイトはポイント点数がそのまま重量の数値となるので60kg、正確には43kgのウェイトに92.6kg/hの燃料流量リストリクターとなります。

Astemo NSX-GT
Astemo NSX-GT

ランキング2番手はAstemo NSX-GTで、獲得ポイントが第6戦オートポリス終了時点44ポイント、トップとの差は16ポイント。第7戦もてぎでのサクセスウェイトは44kgとなり燃料流量リストリクターは装着されません。

au TOM'S GR Supra
au TOM’S GR Supra

ランキング3番手はau TOM’S GR Supraで、獲得ポイントが第6戦オートポリス終了時点41ポイント、トップとの差は20ポイント。第7戦もてぎでのサクセスウェイトは41kgとなりこちらも燃料流量リストリクターは装着されません。

Astemo NSX-GT
Astemo NSX-GT

STANLEY NSX-GTがもしポールtoウィンで21点を獲得した場合は81点、Astemo NSX-GTが2位で15点獲得の59点となり、STANLEY NSX-GTチャンピオンが決定します。しかしSTANLEY NSX-GTがポールポジションを獲れなかった場合は80点と59点で21点差となり、最終戦富士にチャンピオン決定が持ち越されてしまいます。

この場合Astemo NSX-GTがポールtoウィン、STANLEY NSX-GTがノーポイントであったならば同点ということになりますが、優勝回数が勝るAstemo NSX-GTがチャンピオンということになります。

au TOM'S GR Supra
au TOM’S GR Supra

またSTANLEY NSX-GTが優勝で20点加算の80点、2位がau TOM’S GR Supraだった場合は、15点加算の56点となり点差が24点でSTANLEY NSX-GTのチャンピオンが決まります。

STANLEY NSX-GT
STANLEY NSX-GT

ただし、STANLEY NSX-GTの山本選手は「ウェイトよりも燃料流量リストリクターの方がつらい」というコメントを残していますので、一筋縄では行かないことも予想できます。

しかしGT300、GT500ともに、もしかするとチャンピオンが決定してしまうのでは?という緊迫した展開になりそうな予感もする第7戦もてぎ。その開催は11月6(土)-7日(日)と、もうすぐです。

(写真・文:松永 和浩

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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