ヤマハが2輪最高峰レース「MotoGP」で18回目の栄冠!ワークスライダーのF・クアルタラロ選手が年間チャンピオン獲得

■フランス人初、ヤマハ6年ぶり快挙!

2021年10月24日(日)、2輪最高峰レース「MotoGP」第16戦エミリア・ロマーニャGPで、ヤマハのワークスチーム「モンスターエナジー・ヤマハMotoGP(Monster Energy Yamaha MotoGP)」に所属するファビオ・クアルタラロ選手が、2021年シーズンの年間チャンピオンを獲得しました!

ヤハマのF・クアルタラロ選手が2輪最高峰レースMotoGPで年間チャンピオン
レース中のクアルタラロ選手は後方からトップを追走

クアルタラロ選手は、伝説のライダー「バレンティーノ・ロッシ選手」の代わりとして、ヤマハワークスに加入した1年目にして、自身初の栄冠を手中にしたばかりでなく、最高峰クラスではフランス人初のチャンピオンに。

しかも、ヤマハにとっても、2015年のホルヘ・ロレンソ選手以来、6年ぶり18回目の快挙となりました。

●伝説的ライダーの役割を担い大活躍

クアルタラロ選手は、1999年フランス生まれの22歳。幼い頃からバイクに乗りレースに興味を覚え、2015年に16歳で世界選手権のMoto3クラス(250ccマシンで競うMotoGPの下位クラス)に参戦。

2016年〜2017年は、さらに上位クラスのMoto2に参戦後、2019年にはヤマハのサテライトチーム「ペトロナス・ヤマハSRT(PETRONAS Yamaha SRT)」に加入し、最高峰クラスのMotoGPにステップアップ。

2019年は7回の表彰台などで非凡なる才能を発揮、翌2020年にも3勝をマークするなどで大活躍します。そして、2021年シーズンは、ついにヤマハのワークスチーム「モンスターエナジー・ヤマハMotoGP」入りを果たします。

ヤハマのF・クアルタラロ選手が2輪最高峰レースMotoGPで年間チャンピオン
ファビオ・クアルタラロ選手

「生きる伝説」として数々の栄光を手にしてきた英雄的ライダー、バレンティーノ・ロッシ選手が、2021年シーズンはヤマハ・サテライトチームのペトロナス・ヤマハSRTに移籍することになり、入れ替わるようにワークスチームへ加入したのがクアルタラロ選手。

ヤハマのF・クアルタラロ選手が2輪最高峰レースMotoGPで年間チャンピオン
フランス人初のMotoGPチャンピオンとなったクアルタラロ選手

2021年一杯で引退も表明した伝説的ライダーの役割を、わずか22歳で担うことになったにも関わらず、初戦のカタールGPで5位獲得と健闘。第2戦ドーハGPと第3戦ポルトガルGPでは、2連勝も達成します。

第4戦スペインGPでは、アームパンプ(腕上がりと呼ばれる症状)に苦しめられ、その直後に手術を受けることとなりましたが、その後も好調さを維持。

第16戦終了時点で、3回の優勝(イタリアGP、オランダGP、イギリスGP)を含む8回の表彰台(フランスGP、イタリアGP、ドイツGP、オランダGP、スティリアGP、イギリスGP、サンマリノGP、アメリカズGP)を獲得し、第15戦アメリカズGPまでに254ポイントでライダーズチャンピオンシップのトップを維持します。

●最悪のスタートからの栄冠

そして、イタリアのサーキット「ミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ」で開催された第16戦エミリア・ロマーニャGP。

ヤハマのF・クアルタラロ選手が2輪最高峰レースMotoGPで年間チャンピオン
クアルタラロ選手の走り

クアルタラロ選手は、このレースで、ドゥカティ・ワークス所属でポイント2位のフランセスコ・バニャイア選手より前でフィニッシュすれば、2戦を残して年間チャンピオンが決まるという状況でした。

ところが、レースでは、バニャイア選手がポールポジションから飛び出して、序盤からトップを快走します。

一方、クアルタラロ選手は、予選の不調により2021年では最も悪い15番手スタート。レースでは、一時3番手にまで浮上する快走を披露しますが、トップを好調に走るバニャイア選手にはとても追いつけそうにありません。

レース終盤、チャンピオンは次戦以降におあずけか?と思われたラスト5周に、なんとバニャイア選手がまさかの転倒リタイア! その瞬間にクアルタラロ選手が自身初の年間チャンピオンを決めたのです。

ヤハマのF・クアルタラロ選手が2輪最高峰レースMotoGPで年間チャンピオン
ファンの声援に応えるロッシ選手

ちなみに、この大会は、ロッシ選手が地元で参戦する現役最後のレースでもありました。コロナ過の一部規制緩和により、会場には通常より少ないとはいえ3万人ほどのファンが集結。クアルタラロ選手とロッシ選手に惜しみない声援を送っていました。

●ヤマハ参戦60周年に華を添える

今回のクアルタラロ選手の活躍により、ヤマハは、2輪最高峰のロードレース世界選手権参戦60周年を迎えた2021年に、最高峰クラスでの表彰台獲得数を755回に伸ばしました。

また、ライダータイトルにおいては、これまでにMotoGPでホルヘ・ロレンソ選手が3回(2010、2012、2015年)、バレンティー・ロッシ選手が4回(2004、2005,2008、2009年)。

ヤハマのF・クアルタラロ選手が2輪最高峰レースMotoGPで年間チャンピオン
自身初の栄冠を獲得

MotoGPの前身であるWGPの最高峰・500㏄クラスではウェイン・レイニー選手(1990、1991、1992年)、エディー・ローソン選手(1984、1986、1988年)、ケニー・ロバーツ選手(1978、1979、1980年)がそれぞれ3回ずつ、そしてジャコモ・アゴスティーニ選手が1回(1975年)の栄冠に輝いており、クアルタラロ選手によって通算18回目のタイトル獲得となりました。

ヤハマのF・クアルタラロ選手が2輪最高峰レースMotoGPで年間チャンピオン
クアルタラロ選手(前)とチームメイトのモリビデリ選手(後)の走り

ちなみに、MotoGP2021年シーズンは残り2戦。ヤマハは今回のライダータイトル獲得のほかに、チームランキングとコンストラクターズランキングでそれぞれトップの可能性も残しています。

それら偉業がすべて達成されば、なんと「三冠達成」! 最終戦のバレンシアGP(2021年11月14日)まで、まだまだ目が離せないですね。

(文:平塚 直樹

この記事の著者

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平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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