■スマホやPC用にモバイルバッテリーを持ち歩く人が増えたことに着目
2021年10月7日に、東京や埼玉県の一部地域で震度5強の地震がありました。その際、帰宅困難者などにより都心からシェアリングサービスの自転車が消えたことで、話題を集めたのも記憶に新しいところです。
ホンダは、2021年10月21日、モバイルバッテリーを活用し、シェアリングサービス用の電動アシスト自転車の充電残量低下を解消する「シェアサイクル用2電源システム」を開発したと発表しました。
地震による帰宅困難者に注目されるのは想定外かもしれませんが、都市部ではコロナ禍で「密」を避けるというニーズをはじめ、クルマや公共交通機関ではカバーできない「ラストワンマイル」の移動を担うシェアサイクルが注目され、街中で見かけることが多くなりました。
同社は、「シェアサイクル」も重要なモビリティのひとつと位置づけているそうです。
一方、シェアサイクルの普及拡大に向けて、「電動アシスト自転車の充電不足で、ユーザーが乗りたい時に乗れない不便が発生している」「シェアサイクル事業者が車両を充電するためにかかるコストの削減」という課題があるそうです。
このような課題解決に向けて、ホンダは普段からスマホやタブレット用などの充電用として、モバイルバッテリーを持ち歩く人が多いことに着目したそう。
モバイルバッテリーをシェアサイクル用電動アシスト自転車に接続し、車両本体のバッテリーに加え、2つ目の電源として使うことで、走行時のアシストと車両本体のバッテリー充電に使用できる「シェアサイクル用2電源システム」を開発。
ユーザーは、コンパクトなモバイルバッテリーを持ち歩くだけで、安心してシェアサイクルを利用できるようになり、事業者も充電作業に関わるコストを大幅に削減できるようになります。
ホンダでは、この「シェアサイクル用2電源システム」を使い、2022年中にシェアサイクル事業者と共同で実証実験を実施し、将来の事業化に向けた検討を進めるそう。
「シェアサイクル用2電源システム」は、スマホやPCの充電に活用できるモバイルバッテリーを、シェアサイクル用の電動アシスト自転車に接続することで、バッテリー残量や充電切れを心配することなく走行が可能になります。停車中もモバイルバッテリーから給電し続けるため、自転車本体のバッテリー残量低下を抑えることができます。
さらに、車両の充電を含めたシェアサイクル事業者のコストは、売上の半分以上を占めるというデータがあるそう。同システムの導入により、これらのコストを大幅に削減することが可能になり、事業収益の改善にも貢献します。
ユーザーが充電切れの心配がなく利用でき、事業者にも大きな利点がある「シェアサイクル用2電源システム」をホンダは、モビリティサービスの新たな取り組みとして開発しています。
(塚田 勝弘)