■CO2排出量を抑えたレザーを追跡することも可能に
自動車の世界では、脱炭素(カーボンニュートラル)だけでなく、ボルボが脱レザー(レザーフリー)を表明するなど、素材への視線も年々厳しくなっています。このほど、ジャガー・ランドローバーもサステナブル(持続可能)なレザーサプライチェーンにおける完全な透明性確保のため、安全なブロックチェーン技術の使用を試験的に開始すると明らかにしました。
ジャガー・ランドローバーは、サプライチェーン・トレーサビリティ・プロバイダーのサーキュラー社(Circulor)の、英国のトップレザーメーカーであるブリッジ・オブ・ウィアー社 (Bridge of Weir Leather Company)、ノッティンガム大学(University of Nottingham)と提携し、本革(レザー)のサプライチェーンでトレーサビリティ技術を使用するそう。
このデジタルプロセスにより、ジャガー・ランドローバーは、コンプライアンスはもちろん、農場から製品化されるまでのすべての段階で、レザー・サプライネットワークのカーボン・フットプリントを確認することができるようになるそうです。
例えば、ブリッジ・オブ・ウィアー社と協力し、二酸化炭素(CO2)排出量を最小限に抑えたレザーを追跡することも可能になります。これは、ライフサイクル全体で環境、倫理的な影響を低減させるという同社の目標に基づいた活動になります。
すでに、ラグジュアリー・コンパクトSUVのレンジローバー・イヴォークのインテリアに採用されている天然繊維の「ユーカリメランジテキスタイル」や、ミッドサイズ・ラグジュアリーSUVのレンジローバー・ヴェラール、ジャガー初のフルバッテリーEVの「I-PACE」で選択できる、高い耐久性を誇るウール混紡の「Kvadrat プレミアムテキスタイル」などのほか、1台あたり53本分のリサイクルプラスチックと再生ポリエステルが活用された 「Dinamicaスエードクロス」が組み合わされた、高品質な素材をすでに具現化されています。
なお、今回のブロックチェーン技術は、クルマ以外にも応用が可能で、サーキュラー社ではすでに、ブロックチェーン技術を使い、EVのバッテリーに使われる鉱物のトレーサビリティを向上させているそう。ブロックチェーン技術は変更や改ざんが不可能で、サステナブルなサプライチェーンが本物で、すべての素材がサステナブルな方法で調達されたものであるということを証明することが可能になります。
(塚田 勝弘)