営業再開したSTIギャラリーで「ドライビングの本質」を考えてみた【週刊クルマのミライ】

■ドライビングは物理法則であり速く走るためには反射神経が必須なのを実感できる

クルマ好きも細分化するといろいろな好みがあって、スタイリングなどの見た目重視な方もいれば、特定のブランドにこだわっている人もいます。チューニングやカスタムが好きな人、ノーマルでヒストリーを大事にする人、本当に様々です。

STI Gallery driving
緊急事態宣言に伴い一時休館となっていたSTI Galleryの営業は2021年10月2日から再開している。合わせて企画展示【What‛s Driving?「ドライビングとはなんだ」展】が公開されている

もちろん免許を持っていないクルマ好きもありですし、市販車には興味はないけれどモータースポーツは大好きという人もいるでしょう。

とはいえ、運転免許を有しているドライバーであれば、うまい運転ができるようになりたいという気持ちはどこかに持っているのではないでしょうか。

そんな人におすすめしたいイベントがあります。それが、SUBARUのワークスであるSTIの総本山に併設されたSTIギャラリーで開催されている【What‛s Driving?「ドライビングとはなんだ」展】です。

STIのチューニングパーツといえば、運転が上手くなると評判のフレキシブルタワーバーなどボディを上手に制御するアイテムで知られています。そして、今回の特別展示は「運転を趣味とするドライバーを増やそう!」がテーマとなっています。

具体的には、PlayStation®4用ソフトウェア『グランツーリスモSPORT』や特別製のハンドリングゲームマシンといった体感可能な企画が用意され、そこで疑似的にドライビングの楽しさを感じられることが展示の中心となっています。

STI Gallery GT4
グランツーリスモは2020 FIA GTCワールドツアーネイションズカップ シドニーで優勝経験を持つ宮園拓真選手が実際にギャラリーで走行したゴーストを追いかけることができる

グランツーリスモSPORTのほうは、コントローラーにFANATEC Podium racing wheel f1®を使い、GTマシンさながらのポジションを再現。そこに4Kモニターを組み合わせることで実にリアルにSTIモータースポーツの核の一つであるNBR(ニュルブルクリンク24時間耐久レース)の走りを疑似体験できるようになっています。

ここでは、速いドライビングには反射神経や正確な操作が必須であることを感じられるでしょう。もちろん、コースも熟知して、先読みする能力も大事です。とはいえ、モータースポーツの疑似体験は、ただただ気圧されるばかりで、日常のドライビングとは違う世界にあると感じてしまうのも事実です。

誰もがドライビングの神髄を感じることができる展示として体験してほしいのが、もうひとつの企画「ハンドリングマシンtS」です。

これは大きな板をハンドルとペダルで傾けることで盤上のコースをボールでなぞるという非常に原始的なゲームです。ボールもゆっくりと動きますからさほど反射神経も要しませんし、子どもでも楽しめるゲームになっています。

この企画の肝は、ハンドルの遊びがルーズな状態と、逆にリニアな状態を比較できるようになっていること。筆者も試してみましたが、ハンドルのリニアさを切り換えながらゲームをすると、ルーズな状態では思うようにコントロールできないボールが、リニアにすると狙い通りに転がすことができるようになりました(下の動画は前半がルーズな状態、後半がリニアな状態です)。

なるほど、STIパーツによって運転が上手くなるというのはこういうことかと膝を打つと同時に、ドライビングというのは物理現象のコントロールであることも再確認できました。感性の部分も重要ですが、そのほとんどはロジックで理解できるのがドライビングなのだと今回の体験であらためて整理できました。

もちろん、愛車との一体感やスピードによる刺激がドライビングの神髄という人もいるでしょう。そうした人それぞれのドライビングについての思いは、STIのスタッフやギャラリーの訪問者がコメントを寄せている展示にて見ることができます。実際にドライビングの何たるかを体感して、そして他の人がどのように考えているのかを知ることで自分なりのドライビング論が生まれてくるのかもしれません。

是非ともSTIギャラリーを訪問して、ドライビングへの考察を深めてほしいと思います。

なお、STIギャラリーは緊急事態宣言に伴い一時休館としていましたが2021年10月2日より営業再開しています。当面はスタッフの常駐が可能な、土日10:00~17:00の営業となっているそうです。

STIギャラリー所在地:東京都三鷹市大沢三丁目9番6号(※駐車場はないので公共交通機関をご利用ください)

自動車コラムニスト・山本晋也

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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