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■伝統のヤマハワークスカラーで参戦
世界最高峰の2輪レースといえば、現在は「MotoGP」ですが、その前身となるロードレース世界選手権が「WGP」です。
ヤマハは、WGP初参戦から最高峰レースを戦い続けて2021年で60周年となりますが、それを記念して、「WSBK(スーパーバイク世界選手権)」と「EWC(世界耐久選手権)」に、60周年記念カラーのワークスマシン「YZF-R1」を投入することを発表。
現地の9月18日-19日に開催されるWSBK第9戦カタルニア大会(スペイン)と、同日開催のEWC第3戦ボルドール24時間耐久レース(フランス)に出場させることを公表しました。
しかも、今回採用されるのは、伝統のヤマハワークスカラーである通称「白赤ストロボ」をモチーフとしたカラー。昔からのヤマハファンやバイク好きにはたまらない演出がなされているのです。
●最高峰レースで517勝を獲得
ヤマハが、最初にWGPへ参戦したのは1961年のフランスGPから。1963年には初優勝も果たしています。
そこから長い年月を経て、バレンティーノ・ロッシ選手、ケニー・ロバーツ選手、ウェイン・レイニー選手、フィル・リード選手、ジャコモ・アゴスティーニ選手など、数多くの有名ライダーを輩出。
これらレジェンドライダーたちの活躍もあり、今までで517勝を獲得しています。
また、ライダー、コンストラクター、チームの各タイトルを獲得した合計は82回にものぼり、今では2輪モータースポーツ界において最もよく知られ、最も成功したブランドのひとつとして世界中に知られています。
なお、ヤマハは、2021年初旬に、現在の世界最高峰レースMotoGPへの参戦を、少なくとも2026年まで続けることも発表しています。
●懐かしのレプリカバイクにも採用されたカラー
そんなヤマハが、今回投入するYZF-R1の記念カラーは、1980年のWGP500ccクラスに参戦したファクトリーマシン「YZR500(0W48)」をモチーフにしたものです。
現在のヤマハMotoGPワークスマシンなどは、青を基調としたカラーが多いのですが、当時は、白地のボディに、ストロボが点滅するかのような断続する赤のラインを入れたマシンを投入していました。
つまり、今回の記念カラーは、ヤマハが長年行ってきたレース活動を象徴する伝統のカラーリングなのです。
このカラーは、前述の通り、ファンの間では通称「白赤ストロボ」カラーと呼ばれており、レーシングマシンだけでなく、ヤマハ市販車の多くにも採用されてきました。
特に、1980年代後半から1990年代前半のレプリカバイクブームでは、このカラーを採用したヤマハの「TZR250」などを、いたるところで見るほどの人気ぶりでした。
また、今までヤマハは、その他の機種でもアニバーサリーモデルなどに白赤ストロボを採用。そのため、日本はもちろん、世界中のモータースポーツやヤマハのファンにはおなじみのカラーなのです。
ちなみに、1970年代に、ヤマハはアメリカのレースには黄色地に黒のストロボラインを入れたワークスマシンを走らせており、WGPにもアメリカ出身のケニー・ロバーツ選手がそのカラーで参戦。
こちらのカラーも今まで市販車に取り入れられた例も多く、白赤ストロボと同様に人気が高いカラーです。
●市販車ベースの世界最高峰レース
今回そのマシンを投入するWSBKは、市販車をベースとしたマシンで競う世界最高峰のロードレース。また、EWCも市販車ベースのマシンで闘う耐久レースで、中でも今回参戦するボルドール24時間は、欧州で長い歴史を誇る伝統の大会です。
記念カラーのYZF-R1で参戦するチームは、WSBKが「Pata Yamaha with Brixx WorldSBK」と「GRT Yamaha WorldSBK Team」。EWCでは「YART Yamaha Official EWC Team」が、同じカラーのマシンを投入します。
いずれのチームも、マシンに加えライダーたちが使用する装具などにも特別なカラーリングを施し、スタッフたちもまた白と赤のチームウエアを着用するといいます。
ちなみに、ヤマハは、国内の全日本ロードレース選手権にも、最高峰クラス「JSB1000」に記念カラーのYZF-R1を投入しています。
しかも、2021年7月の第5戦(鈴鹿サーキット)では、このマシンを駆る中須賀克行選手がシーズン途中ながら年間チャンピオンも獲得。
ヤマハの記念する年に花を添えただけでなく、中須賀選手自身も通算10度目の栄冠を獲得するという偉業を達成しています。
さて、この栄光の白赤マシンが、世界のWSBKやEWCでも大活躍するのか? かなり期待が高まります。
(文:平塚直樹)