■環境に配慮した新型モーターを搭載
ルノーは、ドイツ・ミュンヘンで開催されている「IAA MOBILITY 2021」において、バッテリーEVの新型「メガーヌ E-Tech エレクトリック」を発表しました。
EV専用の新しい「CMF-EV」プラットフォームをベースに仕立てられ、2種類のバッテリー容量が設定され、最大航続距離292マイル(約470km)、130kWの急速充電によりわずか30分で186マイル(約300km)の航続距離を実現します。また充電機能が搭載されていて、最終的には「V2G(ビークル・トゥ・グリッド)」技術により、必要に応じて電力を送電網に戻すことができます。
パワートレーンは、最高出力160kW、最大トルク300Nmを発揮する新型モーターと4段階の回生ブレーキにより、EVらしい走りを実現。「EESM(electrical excited synchronous motor)」と呼ばれる新型モーターは、永久磁石式モーターよりも優れた出力を誇り、レアアースを必要としないため、環境への影響や大規模生産のコストを削減することができます。
また、出力、トルクともに大幅に向上しているにもかかわらず、重量は145kgと、現行Zoe(ゾエ)に搭載されているモーターよりも10%軽くなっています。96kW(130PS)/250Nmと、160kW(218PS)/300Nmの2種類が用意されていて、後者の0-62mph(0-100km/h)加速はわずか7.4秒。
もちろん、回生ブレーキシステムも搭載されています。ギヤセレクターが「D」ポジションの時に作動する回生ブレーキは、減速時にエネルギーを回収し、ブレーキの使用量を減らしながら、バッテリー効率と航続距離を向上させることができます。また回生ブレーキをさらに最適化するために、4つの回生レベルを設定し、ステアリングホイールの後ろにあるパドルで操作できます。レベル0(回生ブレーキなし)からレベル3まで用意されています。
外観をチェックすると、新しいロゴが冠された新型「メガーヌ E-Tech エレクトリック」は、全長4.21mとコンパクト。新しい「CMF-EV」モジュラープラットフォームによるホイールベースの延長とオーバーハングの低減により、バッテリーの厚さを110mmと大幅に薄くすることが可能になり、プロポーションに磨きをかけています。同時にキャビンも広くなり、重心を低くすることで、走りの良さも得ているそう。足元には20インチの大径ホイール、ボディ下側とホイールアーチに施されたプロテクション、高いベルトラインなど、クロスオーバーから影響を受けた要素により、タフな印象を受けます。
さらに、ルーフライン、ワイドなボディ、フラッシュドアハンドルなどによりクーペルックの見た目も得ています。外観の装備では、プロジェクターヘッドランプの採用がトピックスで、6枚の反射板を使ったアダプティブヘッドランプにより、ハイビームとロービームを切り替える必要はなく、すべてオート化されています。
また、インパネには、マルチメディア・インターフェースが一体化された「OpenR」と呼ぶスクリーンを備え、Googleと共同開発された「Android オートモーティブOS」をベースにした新しい「OpenR」ディスプレイと「OpenR」リンクマルチメディアシステムにより、いつでもサービスを享受できます。そのため、各ユーザーのプロフィールを個人のGoogleアカウントにリンクさせて、多様な体験ができるようになっているそう。「Googleマップ」や「Google Play」のアプリに加えて、Googleの内蔵音声アシスタントや「My Renault」のアプリも使えます。
インテリアでは、ギヤのセレクターがステアリングコラムの後ろに移動され、「MULTI-SENSE」ボタンがステアリングホイールに移動したことで、フロントシートの間に7Lの収納スペースが確保されています。
また、センターアームレストの下には、2つのカップホルダーと3Lの収納が追加され、キャビンに30Lの収納が確保されています。また、トランクは440Lの容量が確保され、充電ケーブルは22Lのスペースに収まります。
居住性の高さも見どころです。バッテリーの高さが抑えられたことで運転姿勢が低くなり、ダイナミックな走りの感覚が得られるそう。また、リヤシートの傾斜を27度として、後席の乗員は膝を上げることなく、足をフロアにフラットに保つことができ、長時間の移動でもかなり快適に過ごすことができるとしています。ほかにも、26個の先進運転支援システム(ADAS)による高い安全性も特徴となっています。
(塚田 勝弘)