30台限定の2代目NSXファイナルエディション「Type S」の販売方法と、金型を作り直したエクステリアのこだわりとは?

■3.5L V6ツインターボは22PS/50Nmアップし、インテリジェントパワーユニットもパワーアップ

以前お伝えしたように、2代目ホンダNSXは、2022年12月をもってその歴史に幕を閉じます。最終モデルである「Type S(タイプS)」は2021年9月2日に購入の申し込みを開始し、2022年7月に日本向けとして30台限定(世界限定350台)で販売されます。

ホンダNSX
2代目NSXのファイナルエディション「Type S」と開発責任者の水上 聡氏

日本限定30台となる「タイプS」は「NSX PERFORMANCE DEALER」で販売されます。価格は2794万円。

気になるのは限定台数の設定。NSXの日本での販売状況は、2020年暦年で16台だったそうで、倍近い30台という設定は、妥当といえるかもしれません。

なお、販売方法についてホンダはとくに触れていません。先着順や抽選などの方法もありそうですが、転売につながる可能性があるとして、販売会社(販社)に任せているそう。そのため、販社にあらかじめ台数が振り分けられるそうです。

販社などによっては、NSXの購入実績があるかなどを重視したり、複数の購入希望者がいる場合は、抽選の可能性もあったりするかもしれません。

ホンダNSX
「Type S」のリヤビュー

さて、2代目NSXの生産、販売が終わることになるわけですが、3代目NSXに関しては開発責任者の水上聡氏から明確なコメントは当然ありませんでしたが、EV時代を迎えつつある今、EVスポーツカーなども検討する必要があるとしています。

ホンダも、2代目NSXの終了とリリースに表記していることから、将来の3代目NSXの登場にも期待したいところです。

ホンダ NSX
「Type S」のフロントマスク

世界350台限定の「NSX Type S」は、フロントとリヤの外板パネルが刷新されるなど、大がかりな外観変更になっています。

前後のパネルとカーボンファイバー製エクステリアパーツの金型が新たに起こされています。前後バンパーのデザインが新しくなり、フロントロア部のセンターが大開口化されています。

主な狙いはエアロダイナミクス性能と冷却能力の向上で、エクステリアデザイナーとレース経験のあるエンジニアも一緒に風洞実験、シミュレーションに参加したそう。つまり、より速く走るためのデザインといえます。

大開口のセンター開口だけでなく、サイドにも大小2つの開口部が設けられ、より均一に風を通すことで冷却性能の向上が図られています。

ホンダNSX
専用の前後バンパーによりエアロダイナミクス性能を向上

サーキットなどを速く走るため、パワーユニットにも手が入れられています。3.5L V6ツインターボエンジンは、過給圧が5.6%アップし、燃料噴射流量は25%、放熱量は15%それぞれ向上。

ホンダNSX
出力向上が図られた3.5L V6エンジン

エンジンは出力が16kW(22PS)、トルクは50Nm増強。さらに、フロントに搭載されるツインモーターユニットが20%ローレシオ化され、リヤ(ミッド)のインテリジェントパワーユニット(IPU)は、バッテリー出力が10%アップ、バッテリー使用可能容量も20%向上し、7PSの出力向上となっています。

これらにより、システム最高出力は581PSから610PSに、システム最大トルクは646Nmから667Nmに向上。また、組み合わされる9速デュアルクラッチトランスミッションは、パドルシフトの減速側を0.6秒ホールドすることで、瞬時に5速飛びくらい一気に低いギヤに落とすことも可能になっています。

ホンダNSX
9速デュアルクラッチトランスミッション

(文:塚田 勝弘/写真:小林 和久、塚田 勝弘、HONDA)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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