レクサスのFFミドルサイズセダン・ESがマイナーチェンジ。“F SPORT”に搭載されたリニアソレノイド式の「AVS」とは?

■先進安全装備もアップデートし、低速域から緊急時まで万一に備える万全の体制に

レクサスが誇る、静粛性・乗り心地の向上に注力したFFミドルサイズセダン「ES」が、2021年8月26日にマイナーチェンジを受けました。今回の改良では、レクサスの美点である乗り心地や静粛性の向上をはじめ、ステアリング操作にリニアに反応するフットワークをさらに磨き上げたそう。

レクサスES
マイナーチェンジを受けたレクサスES(ES300h“version L”)

また、レクサスの基幹モデルとして、世界中のユーザーからのニーズに応じてデジタルアウターミラーの視認性向上や、“F SPORT”に新型のアクチュエーターを使った最新鋭のリニアソレノイド式の「AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)」が採用されています。

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雨天時のデジタルアウターミラーのイメージ

ESの特徴であるデジタルアウターミラー、デジタルインナーミラーは、両者ともにカメラ性能の向上が図られています。明暗が混在する場所の視認性を改善するため、ノイズ低減処理が施され、ノイズ感の少ないクリアな映像を実現。また、LEDライトのちらつきによる煩わしさを低減させています。

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「ES300h “F SPORT”」のリヤビュー

リニアソレノイド式「AVS」は、油圧制御用ソレノイドのオイル流量制御バルブの流路を拡大させ、低減衰力にも対応。

さらに、減衰力の可変幅を拡大することにより、上質な乗り心地とステアリングレスポンスや安定性を両立できるサスペンションシステムで、上質で滑らかな走りからスポーティな走りまで、シーンを問わず、高いパフォーマンスを発揮するとしています。

加えて、静粛性、乗り心地の向上では、リヤサスペンションメンバーブレースを1枚板による構造から2枚の板を合わせた構造に変更することで、剛性の向上が図られています。とくに、ねじりや曲げに対する剛性が引き上げられ、乗り心地を向上。高速のレーンチェンジなどのスタビリティも高まったそうです。

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マイナーチェンジを受けたESのインパネ

ほかにも電子制御ブレーキシステムの制御が変更され、ブレーキのコントロール性を向上。また、ペダルパッド形状変更によって足裏との接触範囲も拡大されています。さらに、ブレーキペダルのリンク構成内のブッシュ取り付け方法が変更されたことで、ペダルの横方向の剛性感が向上。

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電子制御ブレーキシステムの制御変更、ペダルの横方向の剛性感向上が図られている

ほかにも、先進安全装備の「Lexus Safety System +」のアップデートも盛り込まれています。

センシングを担うのは、従来どおり「単眼カメラとミリ波レーダー」の組み合わせですが、カメラとレーダーの性能向上により、昼間の自転車運転者や夜間の歩行者も検知可能な「プリクラッシュセーフティ」の対応領域が拡大されています。

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「プリクラッシュセーフティ」をアップデート

交差点右折前に、前方から迫る対向直進車や、右左折時に前方から来る横断歩行者も検知可能に。さらに、ドライバーの操舵をきっかけに車線内で操舵をアシストする緊急時操舵支援、低速時の事故予防をサポートする低速時加速抑制などの機能も加わっています。

同一車線内中央を走行できるよう操舵を支援する「レーントレーシングアシスト(LTA)」の車線認識性能が向上され、よりスムーズで途切れにくい操舵のサポートを実現。自動車専用道路などで設定された車速内で前走車との距離を一定になるよう加減速制御する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」に、コーナーの大きさに合わせてあらかじめ減速する「カーブ速度抑制」機能が採用されています。

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「プリクラッシュセーフティ」の作動イメージ

加えて、先行車や対向車を検知し、自動でハイビームを制御する「オートマチックハイビーム(AHB)」、マルチインフォメーションディスプレイに標識が表示される「ロードサインアシスト(RSA)」、ドライバー異常時対応システムを搭載。

こちらは、レーントレーシングアシスト(LTA)制御中に、ドライバーの無操作状態が継続すると、音と表示と緩減速による警告で操作を促すほか、ハザードとホーンで車外に異常を報知しながら自車線内に減速停車まで行うシステム。停車後は、ドア解錠や「ヘルプネット」の自動接続による救命要請も行われます。

駐車場などの低速域の事故予防では、駐車場などにおけるアクセルとブレーキのペダル踏み間違い時の衝突、接近する後方車両との接触被害の軽減に寄与する「パーキングサポートブレーキ」、車両周辺の安全確認をサポートする「パノラミックビューモニター」など、レクサスの最新安全装備が満載されています。

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「ブレードスキャンアダプティブハイビームシステム(AHS)」を採用した

そのほか、レクサスRXやLSに搭載された「ブレードスキャンアダプティブハイビームシステム(AHS)」もESに採用。同システムは、光源であるLEDからの光を高速で回転するブレードミラーに照射。ブレードミラーに反射した光が、レンズを介して高速移動しながら前方を照らす新機構です。

残像効果で光は動いているように見えませんが、ブレードミラーの回転に同期させて、LEDの光を適切なタイミングで点灯、消灯することで、配光を細かく制御することが可能です。従来の「AHS」よりも細かい遮光が可能になり、ハイビームの照射範囲を広げることで、対向車や先行車などを眩惑することなく、歩行者や標識をしっかり認識することができます。

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「ES300h “F SPORT”」のフロントシート

新型レクサスESの価格は、「ES300h」が599万円、「ES300h “F SPORT”」が651万円、「ES300h “version L”」が715万円。

パワートレーンは、従来どおり2.5L直列4気筒エンジンを積む「Lexus Hybrid Drive」のハイブリッドシステムになります。

塚田 勝弘

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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