ワゴンR、28年の歴史のなかで初となるスライドドアを採用した「ワゴンR スマイル」【スズキ・ワゴンR スマイル紹介/基本編】

■全高はワゴンRより45mm高い1695mm、エンジンは自然吸気のみ

スズキワゴンRシリーズに、新たなモデル「ワゴンRスマイル」が登場しました。

ワゴンRは1993年に初代モデルが登場したモデルです。軽自動車はエンジンの排気量だけでなくボディサイズも限られているため、どうしてもユーティリティに限界があります。

そこでスズキは、規格サイズに余裕がある全高に注目、全高を高くするパッケージングを採用することでユーティリティを確保、トールワゴンという新たなジャンルを確立しました。

ワゴンRスマイル フロントスタイル
ワゴンRシリーズに新たに追加されたワゴンRスマイル。リヤドアハンドルが前側にあることで、スライドドアなのがわかる

初代モデルは、当時のアルトの基本コンポーネンツを用いて作られました。部品共有率はじつに70%と高いものです。

多くの部品を共有しつつ、まったく違うタイプのクルマを作るという手法は、当時社長だった鈴木修氏がフォルクスワーゲンの工場を視察した際の経験を生かしたと言われています。

初代ワゴンRでは右側のドアはフロントのみ、左側はフロントとリヤ(ともにヒンジドア)とした「ワンツードア」などが採用されたモデルも存在。アイディア満載のクルマ作りと、男性も乗りやすいスタイリングなどを背景に、軽自動車シェアの拡大に大きな役割を果たしました。

初代ワゴンR
初代のワゴンR.運転席側のドアがフロント側しかないワンツードアという新しい発想が導入されていた

初代ワゴンRは1993年~1998年の期間で販売、その後4年~5年ペースでモデルチェンジをくり返し、2017年に現行モデルとなります。

スズキは2021年5月に4輪車の国内累計販売台数で累計2500万台を記録、このうちワゴンRはアルトに次ぐ販売台数となる481万台に上ります。全国軽自動車協会連合会の統計によれば、ワゴンRは2004年~2011年の8年間、軽自動車でトップセールスを記録している、まさに「オバケグルマ」でした。

ワゴンRスマイル リヤスタイル
ワゴンRスマイルのリヤスタイル。曲面と曲線を上手に使って、かわいらしいスタイリングを実現している
ワゴンRスマイル 内装
明るくルーミーなインテリア

ワゴンRは派生モデルも含めて、初代から最近モデルまで一貫して変わらない部分がありました。それはヒンジ式ドアを採用するということです。初代モデルの象徴的な装備であったワンツードアもヒンジドアでした。

しかし、今回登場したワゴンRスマイルは、ワゴンR史上初となる後席スライドドアが採用されました。

詳しい内容はそれぞれ項目ごとに解説しますが、新型ワゴンRスマイルの最大の特徴はリヤの両側スライドドア、そしてワゴンRよりも45mm高い車高、丸形ヘッドライトを採用した親しみやすいスタリングなどが上げられます。

搭載されるパワーユニットは3気筒の自然吸気のみ。エンジンのスペックは49馬力/50Nmで、マイルドハイブリッドモデルの場合は2.6馬力/40NmのISG(モータージェネレーター)がアシストを行います。

グレード展開はエンジンモデルのG、ハイブリッドS、ハイブリッドXで、それぞれにFFと4WDを用意。価格は129万6900円~171万6000円となります。

ワゴンRスマイル エンジン
エンジンは自然吸気のみ。写真はマイルドハイブリッドモデル
ワゴンRスマイル ドア開放
ワゴンRスマイルはセンターピーラーがあるタイプのスライドドアモデル。フロアが低いことも確認できる

(文・写真:諸星 陽一

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この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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