■車線からはみ出さない追い越しは禁止されていない
しばらく運転しなかったり、おさらいしないとおぼつかなくなってしまう交通ルール。
今回は、対向車線との間に引かれている中央線「センターライン」について復習しましょう。
センターラインは基本的に、白い破線、白い実線、黄色い(オレンジ)実線の3種類があります。さっそく実際の交通ルールを見てみましょう。
【センターライン】
白い破線:はみ出し可・追い越し可
白い実線:はみ出し禁止
黄色い実線:追い越しのためのはみ出し禁止
どうでしょう? あっていましたか?
なんとなく、白の実線と黄色の実線の区別にもやもやしている人もいるかもしれません。「あれ、センターラインの黄色い実線もはみ出し禁止じゃないの?」という声も聞こえてきそうです。
実は、黄色の実線でも路上駐車のクルマなどを避けるために、はみ出すのは問題ありませんし、はみ出さずに前の車両を追い越しするのも、禁止されているものではありません。
逆にいえば、路上駐車のクルマが走り出すまで停止して待ち続けた結果、後続車がみな一緒に停止することになってしまったり、前を走る自転車の側方を安全に通過できるのに、抜かずに低速で走り続け後続車が渋滞になったりというのは、道路交通法の狙いである「円滑な交通」を妨げることになるかもしれません。
そして、実はこのセンターラインの区分には、道幅が大いに関係しているのです。
先ほどの一覧に、道幅を加え、順番も入れ替えてみます。
【センターライン】
白い実線:道幅6m以上・はみ出し禁止
白い破線:道幅6m未満・はみ出し可・追い越し可
黄色い実線:道幅6m未満・追い越しのためのはみ出し禁止
自由度の高い白い破線と、制限のある黄色い実線。このふたつが道幅6m未満の道に引かれるセンターラインなのがわかります。
つまり、白い破線は狭い道ながら、見通しなどがよく安全確認がしやすい場所を示し、黄色い実線は実質的に「はみ出すと危険なシチュエーションであるから注意しなさい」ということを、伝えているともいえます。
道幅6m以上の道に引かれる白い実線は、道幅が広いところに引かれる分、油断しがちですが、どんなシチュエーションでも「はみ出し禁止」ですから、考えようによってはこちらの方がシビアともいえるかもしれません※注(ただし道路工事などで通行できない場合を除きます)。
さらに、黄色の実線と白色の破線が組み合わされているセンターラインの場合、白色の破線側から右側へはみ出しても違反になりません。黄色の実線側から追い越しのために右側へはみ出すと違反になります。
なお、白い破線を含めて、追い越し可能な場合でも、ウインカーを出し、周囲の交通状況を見て安全を確認の上、追い越しをする必要がありますし、みだりに行われる進路変更は違反となりえますから注意も必要です。
※注:例外として、道路の片側の幅が6m未満の道路に白色の実線が標示されている場合、次の条件下においてのみ、右側へはみ出しての追い越しが可能。道路の右側部分を見通すことができ、反対方向からの交通を妨げるおそれのないときで、左側部分の道幅がその車両の通行のため十分でないとき。かつ「はみ出し禁止」場所でないとき。
※2021年8月23日の記事を2023年2月22日に追記・再編集しました。
(古川教夫)
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