まるでビリヤード!? リスタートでグリッド1人!? 珍光景続出だったハンガリーGP【F1女子のんびりF1日記】

■エステバン・オコン初優勝!

2021年F1第11戦ハンガリーGP(7/30〜8/1)でエステバン・オコン(アルピーヌ)が初優勝しましたね! いや〜、今回も面白かった。というか今年のF1、面白すぎませんか!?

この【のんびりF1日記】を執筆するにあたり「淡々としたレースだったらどうしよう」と毎戦思うのですが、今年はネタが豊富でありがたいかぎりです。

ハンガリーGP
エステバン・オコン(2021年ハンガリーGP)

●F1女子誕生の地

ハンガリーGPといえば、2006年にジェンソン・バトンがF1参戦115戦目にして初優勝した時のことを思い出さずにはいられません。

RA106
2006年ハンガリーGPで優勝したホンダRA106を見たくて、4月にホンダウエルカムプラザ青山へ行ってきました!

当時は深夜に地上波でF1が放送されていた時代。私は父が見ているのを横目でちらっと見ている程度でした。でもこの時のハンガリーGPは雨の影響で路面コンディションが変化していき、その中でのレースが面白くて父に色々教わりながら真剣に見ていたのを今でも覚えています。

表彰式で聞いた君が代、日本人のチームクルーが涙する姿に胸が熱くなり「F1ってこんなにドラマチックで面白いんだ!観に行ってみたい!!」と数日後には日本GPのチケットを購入していました(笑)。

そして何より衝撃的だったのがバトンのかっこよさ! まるで王子様のようなその姿に一目惚れし、私のF1女子人生がスタートしたのです。

●波乱の幕開け

おっといけない、話を現代に戻しましょう。2021年ハンガリーGP決勝日は小雨。スタンドは傘をさしたり、ポンチョを着ている人がちらほらいます。装着タイヤは全車、インターミディエイト。

ハンガリーGP
スタート前のセレモニーで傘をさすマックス・フェルスタッペン(2021年ハンガリーGP)

予報によると「このまま25分くらい雨が続き、その後少し強くなって最後には乾くだろう」とのことですが、まさに2006年を彷彿させるような天候ではないですか! ということは何かが起こる?もしかして初優勝者が誕生するのでは? これは面白くなるぞ〜。

ところが、です。スタート直後のターン1でバルテリ・ボッタス(メルセデス)がタイヤをロックさせてしまい、ランド・ノリス(マクラーレン)に接触。ノリスは前を走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に、ボッタスはセルジオ・ペレス(レッドブル)に激突してしまったではないですか!

さらに、後方ではランス・ストロール(アストンマーティン)がシャルル・ルクレール(フェラーリ)とダニエル・リカルド(マクラーレン)に激突。

ハンガリーGP
バルテリ・ボッタス(2021年ハンガリーGP)

まるでビリヤード台の玉のようにF1マシンがいろいろな方向にとんでいき(ルクレールは“ナイスボーリングゲーム”とSNSに呟いていましたね)、大波乱のスタートとなりました。これによりボッタス、ルクレール、ストロール、ペレスがリタイア。フェルスタッペンは13番手まで順位を落とします。

パーツがコース上に散らばり、赤旗中断。この時点の上位勢の順位は首位ルイス・ハミルトン(メルセデス)、2位オコン、3位セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)です。

そうこうしているうちに、空模様が明るくなって太陽が見えきました。各チーム、どのようなタイヤ戦略でいくのでしょう。スタート前にちょうど娘の寝かしつけが終わって(なんて親孝行なのかしら!)、眠くなっていたのですがワクワクしすぎて一気に目が覚めました(笑)。

ハンガリーGP
スタート直後のターン1(2021年ハンガリーGP)

レース再開のアナウンスがあり、全車フォーメーションラップへ。もう一回スタートが見れるの嬉しいなぁなんてのんきに見ていたら、なんとハミルトン以外がドライタイヤへ交換するためピットに入ったのです!

グリット上にはぽつんとハミルトン1人。通常通りスタートシグナルが点灯しレースは再開されましたが、こんなシーン初めてみたかも! F1の歴史上で語り継がれるであろう、珍光景になりましたよね。

ハミルトンはその翌周にドライタイヤに交換し、最後尾まで順位を落とすことに。スタートの混乱で何も被害を受けなかった強運はさすがと思っていましたが、ここにきてまさかの判断ミス……。チャンピオンシップ争いをしているフェルスタッペンに追いつくのかも見物ですが、首位を走るオコンも気になるし、2番手のベッテルも気になるっ!

ますます面白くなってきたぞ〜。

●チャンピオンシップバトルの行方は?

後方に沈んだハミルトンは、ファステストラップを更新しながらどんどん順位をあげていきます。19周目にピットインしてハードタイヤに交換すると、翌周にフェルスタッペンもピットイン。ここで前にでたのはハミルトン! アンダーカット成功です。

その後も首位オコンより2〜4秒速いタイムで怒濤の追い上げをみせ、なんと3位でゴール! レース再開時に1人だけスタンディングスタートをし、その後最後尾まで順位を落としたとは思えない圧巻の走りでした。

ハンガリーGP
今シーズンのチャンピオンシップ争いは面白い!(2021年ハンガリーGP)

一方のフェルスタッペンは10位フィニッシュ。やはりスタート直後の接触によるマシンのダメージが辛かったのでしょうか。これによりドライバー、コンストラクターズポイントが逆転。ハミルトン、メルセデスが再びトップに躍り出ました。

レース終了後、ハミルトンはインタビューで「今日はタフだった。誰もグリッドにいなくてびっくりしたよ。そこからはやれることを全てやった。もう何も残っていない。全力を出し切ったよ」とコメント。

見ていて心配になるほどフラフラ状態でしたが、この夏休み期間中にしっかり休息してもらってまた元気な姿を見せてほしいです!

●笑顔が最高に可愛い!

さてオコンはというと、順調に周回をこなすも2番手のベッテルが約1秒後方でずーっとチャンスを伺っている状態。時には1秒以内に入りヒヤリとする場面もありましたが、ミスせず最後までトップを守り抜きました! やった〜、おめでとう!! F1観戦で何度も会ったことがあるのですが、いつもとても優しく接してくれてとにかく笑顔が可愛いんです。女性ファンが多いの、よく分かる気がするなぁ。

日本GP
この笑顔がたまらないんですよね〜(2018年日本GP)

2016年ベルギーGPでマノーからF1デビューしたオコンはその後フォースインディアに移籍し、2019年にメルセデスのリザーブ兼テストドライバーに就任。レース中、チーム代表のトト・ウォルフの隣にいる姿を見て「きっと来年はメルセデスのドライバーになるんだろうなぁ」なんて思っていたところ、2020年にルノーへ移籍しびっくりしたのを覚えています。

最近ではあの可愛い笑顔をあまり見ていないような気がして少し心配していましたが、このハンガリーGPで久しぶりにとびっきりの笑顔を見せてくれました! 表彰式で国歌が流れると嬉しさのあまり思わず指揮しちゃうのも、おちゃめで最高(笑)。

ハンガリーGP
他のドライバー達が祝福しに来たのも、彼の人柄があってこそ!(2021年ハンガリーGP)

インタビューで「優勝できたのはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)の戦いのおかげでもある。彼にありがとうと言いたい。彼と一緒に働くことに関して、色々なことを言われたけどみんな間違ってるよ。一緒に働くのは素晴らしい」と話していたのには、ジーンとしちゃいました。

●アロンソらしい走りに大興奮!

オコンも最高だったけれど、一番興奮したのはチームメイトのアロンソ! レース終盤、4番手を走るアロンソの背後にせまるハミルトン。近づいては何度もしかけるも、アロンソの絶妙なブロックでなかなか抜く事ができません。ぶつかるんじゃないかとヒヤっとするほど近づくのですが、ぶつからないのはさすがチャンピオン同士!まるでフィギュアスケートの演技を見ているかのような美しいバトルでしたよね。

ハンガリーGP
フェルナンド・アロンソ(2021年ハンガリーGP)

しかし65周目にアロンソがミスしてしまい、4番手の座を奪われてしまいました。でもでも、最高にかっこよかった! このバトルがオコンの優勝に繋がったと言っても過言ではないですよね。

アロンソフィーバーはこれだけではありません。チェッカーを受け、その余韻にひたるかのようにウイニングランをするオコンの横にマシンを並べ、並走! さらにマシンからおりたオコンがチームの元へかけより喜びを分かち合っているところを、離れた場所で拍手をしながら見守っているではないですか(涙)。

ハンガリーGP
ファンの投票によるドライバー・オブ・ザ・デーを受賞!(2021年ハンガリーGP)

その姿に気がついたオコンは、両手を思いっきり広げて待っているアロンソの元へ! なんて良いシーンなんだと涙腺崩壊寸前でしたが、オコンを持ち上げた時には「身長差だいぶあるけど、ちゃんと持ち上がってる……?」と、心配になりました(笑)。

走りといい、行動といい、こういうところがアロンソの魅力なんだよなぁ。

シーズン前半ラストにふさわしいレースだったハンガリーGP。良い気持ちでサマーブレイクに入れますね。次戦はベルギーGP(8/27〜29)です。暑い日が続きますので、熱中症にはご注意を!

(yuri)

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
続きを見る
閉じる