日本でタクシー営業開始/本田宗一郎逝く/MRワゴン燃料電池車が70MPaタンクで初認可!【今日は何の日?8月5日】

■営業開始を記念した「タクシーの日」

タクシーに使われたT型フォード
タクシーに使われたT型フォード

1912(大正元)年8月5日、東京数寄屋橋のタクシー会社が日本で初めて営業を開始しました。当初は、「T型フォード」6台で最初の1マイル(約1.6km)までの初乗りは60銭、以降は約0.8kmごとに10銭増しの料金でした。当時1銭は現在の40円程度なので、初乗りは2400円ぐらいです。現在は地域やタクシー会社によって多少異なりますが、概ね約1kmで400~600円ぐらいなのでかなり高いですね。それでも、物珍しさのためか利用者は多かったそうです。

さて、クルマ界の今日は何があったのでしょう?

●ホンダの創業者本田宗一郎氏逝去

本田宗一郎氏
本田宗一郎氏

1991(平成3)年のこの日、ホンダの創業者で日本の自動車業界の発展に大きく貢献した本田宗一郎氏が84歳で逝去しました。浜松の自動車修理工場からスタートして、1948年にホンダの起源となる本田技術研究所を創立。2輪車のドリームD型やスーパーカブの成功を基盤として、1963年に4輪車事業に参入しました。2輪・4輪で数えきれないほどの名車を世に送り出し、また数々の世界的なバイクレースやF1を制覇して、1代で世界のホンダへと成長させました。ホンダだけでなく、日本の技術力を世界に知らしめたその功績は、容易に言葉では言い表せません。

●スズキのMRワゴン・FCVが国内初の70MPa水素タンクの認可を取得

2004(平成16)年のこの日、スズキがGMと共同開発した「MRワゴンFCV(燃料電池車)」用の70MPa圧縮水素タンクについて、日本で初めて高圧ガス保安協会の認可を取得したことを発表しました。

2004年MRワゴンFCV(70MPa水素タンク認可車)
2004年MRワゴンFCV(70MPa水素タンク認可車)
高圧水素タンク構造(例)
高圧水素タンク構造(例)

FCVに搭載する水素タンクは、充填する水素の圧力を高めるほど密度が上がり水素質量が増えるので、1回の水素満充填時の航続距離が伸びます。一方で水素は可燃性で着火しやすいので、圧力を高めると水素漏れやタンクの破損のリスクが高まってしまいます。したがって、水素タンクには高い強度と信頼性、漏れ検知機能など厳しい基準が、高圧ガス保安規則によって定められています。

2001年発売のMRワゴン(ベース車)
2001年発売のMRワゴン(ベース車)

スズキとGMは、1981年に提携して以降、多くの共同開発車やプロジェクトを手がけてきました。FCVについても、2001年から共同開発しており、2003年には35MPaの水素タンクを搭載した「ワゴンR・FCV」の認可を受けて公道試験を行っています。同様に今回認可を受けた70MPaの「MRワゴン・FCV」についても翌年から公道試験を開始しました。MRワゴン・FCVの最高出力は38kW、最高速度110km/h、満充填時の航続距離は35MPa仕様の2倍に相当する200kmです。

FCVについては、従来から10年周期でブームが起こっています。最近では、2014年にトヨタの「MIRAI」が発売された時、また2002年にはトヨタとホンダがFCVのリース販売を行い、当時の小泉首相が試乗したことで一気にブームが起こりました。MRワゴン・FCVの開発もこのブームの影響があったのでしょう。FCVは、長く究極のエコカーと言われていますが、膨大な費用のかかる水素インフラとのセットなので、実用化への道はまだ遠いように思いますね。

毎日が何かの記念日。それではまた明日!

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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