アウディらしいスポーティなフットワークを味わえる新型A3の走り

■新型フォルクスワーゲン・ゴルフとの走りの違いは?

2021年4月に日本に上陸した新型アウディA3は、新型フォルクスワーゲン・ゴルフ(ゴルフ8)と同様に、横置きエンジン用プラットフォーム「MQB」が採用されています。新型A3には、先代同様に5ドアハッチバックのスポーツバックと4ドアセダンが設定されています。

アウディA3
新型アウディA3の走り

今回、新型アウディA3のスポーツバックとセダンの両方に試乗できました。乗ったのは、ローンチエディションの限定モデルである「1st edition」で、ベースは「A3 30 TFSI advanced」。

価格は、スポーツバックが453万円、セダンが472万円となっています。

アウディA3
1.0Lの直列3気筒ターボは、48Vマイルドハイブリッド化されている

搭載されるパワートレーンは、1.0Lの直列3気筒DOHCターボで、110PS/5500rpm・200Nm/2000-3000rpmというスペック。組み合わされるトランスミッションは、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)の「7速Sトロニック」。

直列3気筒でもラフな音・振動はほとんど感じられず、DCTはCVTやトルコン付ATに慣れきった人だと、発進時や極低速域で少し慣れが必要になるかもしれませんが、神経質になる必要はありません。

アウディA3
A3スポーツバック「1st edition」の装着タイヤは、ピレリ「チンチュラートP7」の224/45R17

主な試乗ステージは箱根の山道で、大人3人に撮影機材を積んでもグイグイと力強く加速していきます。新型ゴルフと同様に、ベルト駆動式オルタネータースターター(BAS)と48Vリチウムイオンバッテリーからなるマイルドハイブリッド化されたこともあり、低速域からスムーズな出だしを披露します。ターボの過給を実感できるまでは、ベルト駆動のアシストが利いている印象。

さらに、常用域であれば1.0Lターボとは思えないパンチ力もあり、山道でも加速の伸びを堪能できるのも美点。DCTは、発進してしまえばダイレクト感のある変速フィールを味わえますから、こうしたスポーティな加速フィールに貢献しています。

アウディA3セダン
新型アウディA3セダンの走行シーン

新型ゴルフと共に、アウディA3も1.0Lターボ(マイルドハイブリッド)が主力エンジンになっていて、110PS/200Nmのスペックは同じですから、動力性能に関するフィーリングも当然ながら同じです。

新型ゴルフと比べると、新型A3はよりスポーティなフットワークが強調されている印象を受けます。同じコースや天候下で乗り比べたわけではありませんが、ゴルフはスポーティで快適な乗り心地のバランスに秀でている印象。

一方のA3は、より引き締まった乗り味で、山岳路でよりキビキビとした動きを披露します。リヤにバルクヘッドを備えるセダンは、よりボディの剛性感があることから、さらにその傾向が顕著に感じられます。

また、ハッチバックとセダンの後席を乗り比べると、音・振動面ではやはりセダンに軍配が上がります。後席の快適性をより重視するのならセダンを選択する手もありそうです。

アウディA3セダン
アウディA3セダン「1st edition」のタイヤは、225/45R17。試乗車はブリヂストンの「トランザT005A」を装着

そのほか、A3はゴルフと比べると100万円程度(単純比較はできませんが)上乗せされています。エアコンの操作系がゴルフの方が「デジタル化」されているのは意外ではあるものの、内外装の加飾やデザイン、インテリアの装備やシートなどのほか、より充実した装備が与えられています。

スポーティな走りやデザインは、最新アウディにふさわしいクオリティにあり、新型アウディA3もプレミアムコンパクトを名乗るのにふさわしい仕上がりになっています。

アウディA3
新型アウディA3のインパネ

(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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