■「日本らしさ」を感じさせるオリジナリティで大成功
「レクサスLS」はレクサスのフラッグシップサルーンで、ベンチマークは「メルデス・ベンツSクラス」とか「BMW7シリーズ」になる。つまり、ドイツのプレミアムブランドが用意するハイエンドサルーンがライバルだ。
それは悪い言い方をすれば「ドイツに追いつけ、追い越せのクルマ」ということになるけれど、よくよく考えれば海外向けの初代LS(日本では初代「セルシオ」)は、そうではなかった。「日本の高級車とは何か」を徹底的に考え、振動の少なさや快適さ、運転の疲れにくさで勝負に出た。
ドイツ車ともイギリス車とも、アメリカ車とも違うそのオリジナリティが認められて大成功したはずだ。
●贅沢と日本らしさ
そんなことを思い出したのは、最新のLSに「ジャパンオリジナル」を感じたからに他ならない。たとえばインパネは、中央から助手席へ水平に広がるラインがまるで水引のようで、日本らしさを感じさせる。
ドアトリムも凄い。このクルマにはオプションで「プラチナ箔&西陣」をコーディネートしていて、ドアハンドルまわりのパネルはプラチナを金沢の伝統工芸品「箔」で仕上げて貼ったもの。
ドアトリムは銀箔糸を織り込んだ京都の西陣織だ。なんという贅沢。そして日本らしさ。
オプション価格は66万円だけど、着物の裏地のオシャレを奥ゆかしく楽しむような感覚が味わえる。
余談だが、ドアトリムは「切子細工」も選べ、そちらの価格は100万円オーバー。納期もかなり長いらしい。
「これが日本の高級車だ。ドイツ車の背中を追うのではなく、独自路線で存在感を出していこう」
現行モデルのLSからは、そんな決意を実感できる気がする。そして、自分たちの独自の魅力を、自信を持って作り上げてほしいと思える。
「よくわからないけど、乗り心地が良くて快適だから私は好きよ」
そんな彼女のLS評価も、それはそれで大いに“あり”だ。あまり難しく考えずに、雰囲気を楽しめばいいと思う。(おしまい)