ヘッドライトの保安基準とは?光量や発光色、昼間の点灯義務などを規定【バイク用語辞典:カスタム化・保安基準編】

■保安基準を満たせば、一般的なハロゲンからHID、LEDへ交換可

●2005年以前製造のバイクは白色もしくは淡黄色、2006年以降製造のバイクは白色に規定

ヘッドライトは、バイクの外見を印象付ける顔であり、カスタム化しやすい部品です。最近普及しているHIDやLEDへの交換も、保安基準で規定されている光量や光色、数や位置、光軸などを満たせば可能です。

ヘッドライトのカスタム化に関わる基本的な保安基準について、解説していきます。

●ヘッドライトに関する保安基準

ヘッドライトに関する保安基準には、前照灯としての様々な要件が定められています。代表的なのは、明るさ(光量)や発光色、光軸(照らす方向)、ライトの数などです。これらがヘッドライトのカスタム化や交換の際に問題となります。

ヘッドライトの取り付け位置
ヘッドライトの取り付け位置
光軸の規定
光軸の規定

・光量(明るさ)
最高光度点で1万5000cd(カンデラ)以上の光度

・光色
発光色は白色のみ(2005年12月31日以前に製造されたバイクは、白色もしくは淡黄色)

・数と位置
ハイビームは2個以下、ロービームは2個以下、合計で4個以下です。位置は、全高より低い位置、ライトの中心が左右対称、車体の正面であること

・光軸
車検の時に引っかかりやすいのが、ヘッドライトが照らす方向の光軸です。走行していると、振動で少しずつ光軸がずれることがあります。保安基準では、最高光度点が前方10mの位置において左右27cm以内、上方向は10cm以内、下方向は地上からライトまでの距離の1/5以内の枠内に収まることが規定されています。

●HIDやLEDに交換しても車検に通るか

クルマではLEDが普及していますが、バイクでも徐々にHIDやLEDを純正で装備しているモデルが増えています。ハロゲンからHIDやLEDにカスタム化する場合は、先述した保安基準を満たさなければいけません。カスタム化は、長寿命で消費電力が少ないLEDに交換するのが一般的ですが、HIDを好むユーザーもいます。

3種のランプ
3種のランプ

・ハロゲン(電球)ライト

現在主流は、安価なハロゲンライトです。不活性ガスとハロゲンガス(ヨウ素・臭素など)を封入した電球のフィラメントに電流を流し、発光する仕組みです。明るさでHIDやLEDに劣り、発熱量と消費電力が多く、寿命が短いのが欠点です。

・HID(キセノン)ライト

アーク放電を利用したHIDは、ハロゲンライトに対して約2倍の明るさを持ち、少し青みがかった発光をします。消費電力が比較的少ない、フィラメントがなく、球切れの心配がないので寿命はハロゲンライトより長いです。一方、放電のための制御ユニットの取り付けスペースが必要です。

・LED(発光ダイオード)ライト

LEDは、電気を流すと発光する半導体の発光ダイオードで、最近クルマでは軽でも採用されています。ハロゲンより明るくHIDよりやや劣りますが、最大の特徴は15年という圧倒的な長寿命で、消費電力はハロゲンライトの1/3程度です。一方、課題は価格が高いことです。

LEDライトは、複数個のLED発光素子を組み合わせたマルチチップタイプなので、その中のひとつでも発光しなくなると車検に通りません。

●その他の法規

・昼間のヘッドライト点灯(保安基準)

バイクの昼間のヘッドライト点灯が義務化され、1998年以降に製造された日本製バイクは、エンジンをかけると点灯するような構造になっています。そのため電気系のトラブルさえなければ、気にすることはありません。

ただし、1998年の法改正以前のバイクは適用外で、ライトを点灯しないで走行しても違反ではありません。

・ハイ/ロービームの切り替え(道路交通法)

ヘッドライトは、ハイビーム(走行用前照灯:100m先まで照射)とロービーム(すれ違い用前照灯:40m先まで照射)の切り替えができなければいけません。昼間はロービーム、夜間は視認性と安全性を高めるためにハイビーム走行が基本です。ただし、対向車とすれ違う際には眩しいのでロービームにすることが規定されています。


ヘッドライトは、保安基準を満たしていれば種類やデザインを変えてカスタマイズ、ドレスアップできます。特に、最近普及しているHID化やLED化は、夜間走行時の安全性向上が期待できるので、お薦めです。

Mr.ソラン

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Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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